慌ただしい一日が終わった
母親の通夜
骨折入院から一ヶ月
全くもって 予想外だった
まさかの一ヶ月で急変
骨折で入院して2日後には手術を受け
手術以降も担当医から何度か説明を受けていた
レントゲンフィルムを指しながら
「手術は成功しました、骨盤と 大腿骨が噛み合った部分が折れている」 とのこと
「年齢的に骨は再生はしないので 代替としてその形のものに付け替える」
ということらしい
リハビリについて伺うと 少しトーンが落ちて、、、ような気がした
「もちろん やれるところまでやります
が、認知症があるとの事で 本人の意思が重要になります」
ケアマネージャー、 病院の専門担当者にも 伺ってみると 同じような答え
その後 たくさんの方に 情報を聞いて回った
知り合いの そういった経験を持つ人からは
「認知症で骨折したら終わりやで」 と脅され
「リハビリ失敗したら地獄やで」
確かに 、、、元気に元の状態で戻ってくれば 問題無いが
どうやら 考えが甘いらしい
中には 「施設の申請は早めに」 と勧める人も多かった
ご近所の 開業医の先生にも ぶっちゃけたところを聞いた
認知症での介護認定を 申請するにあたり
お世話になったので様子は分かってくれている
「病院は痛みを取る治療をするだけ、リハビリは本人の意思次第ですよ」
更に 深く突っ込んで聞いてみた
先生は長く総合病院で勤務され ある程度 どれぐらいのものか分かると思いますが
実際 母を見て どのように感じますか? と尋ねてみた
「私は内科なので はっきりした事は言えないし 医者の立場としては言いづらいですが
この場なので 、認知症があると どうしても リハビリが上手く行かない事が多いですよ
お母さんの様子を見ると厳しいかもしれません
もちろん 人によってはちゃんと回復して普段の生活に戻る方もおられます」
雰囲気的に たぶん 無理かもしれない気がした
施設等の申請も始めておいた方が良さそうだと思ったのは この時
その後、10日後ぐらいか、、病院から連絡が入った
「本人には会えませんが
本人が日頃好んで食べるようなものを持ってきて欲しいのですが」 と
どうやら 食事が あまり喉を通らないらしい
あれだけ食欲旺盛だったのに
体も健康そのもの 悪いところは全く無かった 強いて挙げれば 血圧か、、
その頃には 術後の痛みも取れて 「痛い」 とは言わなくなったようだ
が、その後
病棟の看護婦さんの話からは
自分が知っている母親とは かけ離れた 、様子だった
言うことを聞かない リハビリを嫌がる 病院食を一切受け付けない
おそらく 骨折した事さえ忘れ 手術した事も忘れているのだろう
それどころか 知らない人たちに 痛い事をされた 閉じ込められた
そんな気分になっていた、かもしれない
2週間後 3週間後 と 同じ状態のようだ
その頃には 自分も ある程度 覚悟を決めていた
食べなくてもいい 眠るように 逝ってくれればいい
出来れば 骨折などせずに 痛みなく 逝ってくれれば良かったのだが
そこだけは 気の毒だった
最後の日
病院から話があるとの事
先生を待っていると エレベーターで検査を受けるらしき患者が運ばれてきた
ふと、
「お母様をご覧になりますか?」
目の前のキャスターで運ばれてきた人は 母だったようだ
すっかり変わってしまって 全く分からなかった、面影だけは残って、、いる
先生がやってきて
「いつ急変するか分かりません 心づもりをしておいてください」
その数時間後 「息を引き取られました」 と電話があった
たぶん 患者と会えない規制もあり 会わせてくれたのだと思う
認知症、
思えば 一昨年あたりから 兆候はあった
が、勘違い 物忘れは 自分もあるので それほど気にも止めていなかった
それまでは、というと
同じ敷地内に住んでいても 顔を合わす事は ごく、 たま
妹がたまに来ておしゃべりをしていたが 自分は特に話もしなかった
時々 お友達も来ていて 話したり笑ったりしていた
カラオケにも誘われてよく行っていた
どうやら、人と話しているのが好きなようで
今思うと常に誰彼なしに おしゃべりしていたような、、、
おっとりしていて 人の前ではニコニコしていたのを思い出した
去年 コロナ禍で 外出しなくなり
好きなカラオケ パチンコに行く事さえ忘れてしまったようだ
ここ 2~3年の間に カラオケ仲間や 親しくしていたお友達も他界した事もあるが
驚いたのは テレビのリモコンで電話をかけようとしていた時だ
これは まずい! ここら辺で ようやく気付いた
認知症での介護認定を受け デイサービスに通わせたのが 去年の秋
やはり 人と交わるのが好きなようで 誰かと喋ることが 好きな母
週二 のデイサービスは ものの見事に ハマったようだ
毎回 楽しかったようで その時ばかりはよく 話していた
ただ、しばらくすると 「次はいつ?」 「今日はあるんか?」
ひどい時は 帰ってきた その日のうちに 「今日は行くんかの?」
あまりに楽しそうに喜んでいる姿を見て
「これで 認知症が回復すれば」、、と思ったが
これは間違いだった
認知症は治らない
頑張っても 症状が進むのを遅らせるのが せいいっぱい
もっと早く気付いていれば なんらかの 方法があったのかもしれない
骨折もしていなかったかもしれない
実際に目の前で 起こり ようやく 認知症の恐ろしさを目の当たりにした
Happy Dance ☆ Enjoy Dancing ♪