チャラ男×健気平凡
はい、王道の、チャラ男からの告白は罰ゲームだったパターンw
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放課後。夕暮れ。
部活をしている生徒の掛け声、友達とふざけあいながら帰宅する子達の和気あいあいとした声。様々な音をBGMに、放課後無人の教室でアイツは告げてきた。
『前からお前の事、良いなぁって思ってたからさ。俺と付き合わない?』
目の前には、学校で一番、いや、もしかしたら今人気の若手俳優よりも格好良い、誰もが見惚れる美男子『藤間 仁』。
高い身長、長い手足、適度に筋肉がついた胸板、夕暮れ時のオレンジ色の光を浴びキラキラと輝く赤色の髪、目鼻立ちは整いすぎていて恐いぐらいだ。
まさに、『完璧』だ。
こんな完璧な、神様が特別に作ったような人に愛の告白をされてドキドキしない人がいたら見てみたい。
「うん。付き合うよ」
平々凡々な僕に何故こんな事を言うのだろうと疑問に思う前に俺は、気がつくと相手からの告白にYESの返事をしていた。
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僕『宇津木 優(うつき ゆう)』は、1週間前、藤間から告白をされた。告白を受けてから、恋人らしいことをしたかと言うと、そうではない。だって、今まで通り僕は、僕と似たような平々凡々な友人と昨日あったテレビや、好きなゲームの事を話して、放課後は一人で帰る。
藤間は藤間で、チャラチャラしたような、クラスでも中心的なグループにいて、その中で笑顔を振り撒いている。
そんなチャラチャラとした雰囲気が苦手な僕が自分から藤間のグループに入り、話し掛けるのは、無理だ。
それに、藤間から話し掛けてくれる事も殆ど無い。
唯一学校で話す時、それは昼休みだけなんだ。
でも、俺はその昼休みが楽しみで仕方がない。告白をされた次の日に『お弁当ぐらい一緒に食おうぜ。』と藤間に唐突に言われ、最初の頃は二人きりという空間に緊張していて吃りがちだった僕だったが、今はちょっとずつだけど会話のキャッチボールができるようになったんだ。
「...い、おいっ。ねぇ。」
「あっ...ご、ごめんね!ちょっとボーっとしてた」
俺はハッと下を向いていた顔を上げ、藤間君を視界に入れと、藤間君は不機嫌そうに眉を寄せている。
今は空いている教室で二人きりで食事中。ちゃんと藤間君の話を聞いてたつもりだったけど、考え事しちゃうと駄目だな。こんなんだと嫌われちゃう。
おろおろとして様々な考えが頭の中をループしていた。
「ふーん。ねぇ、あんたさ何時ものクッキー持ってる?」
「うんっ。ちょっと待っててね。はい、どうぞ。」
「ん。」
そういって手渡したのは、僕の手作りクッキー。勿論、僕の手作りというのは藤間君には内緒。
僕は、母に似た地味な容姿と比例するかのように昔から何をやっても平凡な結果しかでなかった。勉強にしても。運動にしても。
それに比べて美形の父に似た美人の妹は、勉強もできて、運動もできた。
そんな、なんの取り柄もない僕の唯一得意な事、それは料理。
その中でも一番得意なお菓子のクッキーを藤間君にあげてから、何やら藤間君はそのクッキーを気に入ったらしく、今みたいに『欲しい』と言ってくれるんだ。
それが嬉しくて嬉しくて、幸せなんだ。だから、俺が作ったって言って、要らないって言われたらショックだから、お店で売っているヤツと藤間君には伝えてあるんだ。
藤間君は、モグモグと無言で食べていたが、そんな横顔もとっても格好良いんだ。
俺、こんな幸せで良いのかな?