(Noel_00から引用)
ルハンはクラスの影響力のある存在だった。
可愛い顔してケンカが強かった。
彼に対して「可愛い」は禁句だった。それは彼を最も怒らせる言葉だった。
彼がキレると机が飛んだ、窓が割れた。
そのたびに父親が学校に呼び出された。
ルハンの父は素朴な人だった。
5年前ルハンの母親が死んでから、彼の母、つまりルハンの祖母に家事を頼み、自分は1日中工場で汗を流した。
ルハンが思春期に入ってから会話は減り、気づけば口をほとんどきかなくなっていた。
ルハンは死んだ母親にそっくりだった。
小さい頃から「お母さんにそっくり」と言われて育った。
母が死んでから、それを言う人はいなくなった。
ルハンの父以外は。
ついに停学になったルハンは父と共に家に帰った。
その日の夜、ルハンの部屋の前に父がやってきてドア越しにポツリポツリと話はじめた。
それはこんな内容だった。
「ルハンは本当に母さんそっくりだなぁ」
ここまで聞いてルハンはドアを蹴飛ばそうとした。
話には続きがあった。
「母さんも学生時代ヤンチャだったんだよ。問題ばっかり起こして、警察にもお世話になりかけたって言ってたっけなぁ...お爺ちゃんも手を焼いたらしい...。それに比べたらルハンはいいこだな、ははは......ルハンはお母さんそっくりだ。」
停学最後の日、外出禁止をやぶってルハンは外に出た。
気付けば母の墓前に立っていた。
墓の周りはきれいで、新しい花と菓子が供えられていた。
誰が手入れしているのか考えなくてもわかっていた。
帰りに美容室に寄り、伸ばしていた襟足を切った。
停学が明けて登校した。
居心地は悪かった。
「おおルハンちゃん来てたのか、今日も可愛いねぇ」
と嫌味を飛ばされ、周りが「またキレるのでは」と身構えるのを感じた。
しかし、そうはならなかった。ルハンは言った
「ああ母さん似なんだ。」と。



