【中村久子女史の言葉】

 

「私を救ったものは、手足の無い私の体。この逆境こそ感謝すべき私の師でありました」

 「ある ある ある」さわやかな秋の朝

「タオルとってちょうだい」「おーい」と答える良人がいる

「ハーイ」という娘がいる

歯をみがく、義歯の取り外し、顔を洗う

短いけれど指のないまるい強い手が何でもしてくれる

断端に骨のないやわらかい腕もある、短い手もある

ある ある ある みんなある

さわやかな秋の朝

 

*中村久子女史;幼少の時期、病気で両手両足を失い壮絶な人生を生きる。見世物小屋で「だるま娘」と呼ばれたこともあった。数度の離婚も経験したが、母親による厳しい躾もあり、晩年はヘレンケラー女史に出会った事で福祉に一生を捧げる。