会場に入ると1200人程度のキャパに椅子が並べられている。バックにはスタンディング席。
ステージには『OHASHI TORIO I GOT RITHM?』の垂れ幕。様々な楽器が所狭しと並べられ、ステージを囲むように様々なライトが置かれている。
赤、緑、黄色、青、ピンクのライトが淡く灯り、落ち着いた空間の中にポップな印象を与えていた。

開演時間ちょうどに曲がかかりステージのライトを残して会場の明かりが落ちる。
メンバーが入場し、拍手で迎えられる。少し遅れて大橋が登場すると歓声が上がった。
彼はいつものように独特なスーツに少し長めのハットだ。ステージと衣装がマッチして独特の世界観が出来上がる。バンドというより楽団のようだ。
印象よりも背が高く、スラリとしたシルエットに丁寧で細やかな立ち振舞い。挨拶はなく、大橋がギターを弾き始める。

彼はいきなり曲を始めない。曲に導く微かなメロディーを奏でながら、会場と自分達がその世界観にスーっと入り込むのを待つ。そして絶妙な瞬間から曲に入っていく。
彼らの奏でる音は決まったものをいつも通りやるというより、セッションをしてるようだ。
ゆったりした雰囲気の中、ステージには緊張感がある。メンバーは絶妙なタイミングを逃すまいと時折目を見合せ、大橋の動きと音に意識を集中させている。
そうした緊張感のなか生まれる音の中に、大橋の声がスッと乗っかる。柔らかで伸びのある声は、音を邪魔しない囁くような音量だ。
音にこだわる彼は、自分の喉さえ楽器のような感覚を持っているのだろうか。声帯をゆっくりと操る。

曲に合わせて使用する楽器も変わり、アップテンポでカラフルなライトやフワリと全体を包む灯りで曲の持つ世界観が作り出されていく。
時には手を叩くしぐさで観客に手拍子を求め、曲にさらなるアクセントを加える。
時折入るMCだが、彼はあまり得意ではないようだ。よく噛み、沈黙する姿もみられたが、ゆっくりとした柔らかい話し方や人懐っこい笑顔から彼の実直でお茶目な性格が伺える。そして曲が始まると、スッと音楽家の顔になっていく。

全ての曲が終わり、メンバー全員が観客に向かって長いお辞儀をした後そでへはけた。アンコールを求める手拍子に、すぐに応えて再び入場。
優しいギターの音色がHappy Trailのイントロに繋がり、観客の顔には「おっ!」という表情が浮かんでいる。
歓声さえなかったが、その心の盛り上がりに気付いたのか、「立ちましょうか」と一言。座っていた観客は嬉しそうだ。みな曲に合わせて揺れていた。
更にカバー曲を披露した後メンバーがはけ、ステージには大橋1人。ゆっくりとお辞儀しステージ袖に入っていくかと思いきや、くるりと方向転換しピアノに向かう。
ゆっくりと座り「ライブの最後にやろうと思って作りました」と一言話して、ピアノと彼の声だけで音を紡ぎだしていった。繊細な印象のその曲に、みな耳を傾ける。


大橋は最後に満面の笑顔でダブルピースをかざしてステージを後にした。会場には笑顔が溢れていた。

ほっこりと暖かな余韻を残してショーは終了した。