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Born to Run

人類は走るために進化してきたらしい。

日本にいる時からどんな気持ちでスタート地点に立つんだろうかと想像を巡らせていました。
このレースは映画「300」の主人公であるレオニダス王の像目指して走ります。
実在の英雄王です、100万の軍勢を300人足らずで迎え撃ったそうです。
歴史には尾ひれ付くものですし、何しろ昔のことなので映画のようだったかは分かりませんが、強くてカッコイイ人だったんだろうなと思います。
像の台座には「MOΛON ΛABE」(欲しくば獲りに来い)というペルシャ軍に放った力強い言葉が書かれてるそうです。しびれますね。
もちろん私達ランナーに向けての言葉ではありませんが「獲りに行ってやろうじゃないの!日本人舐めてもらっちゃ困る!」と勝手に熱くなってました。

断続的に起きる事を繰り返して4時頃起床。HOTELのロビーに降りてみると人がいっぱいいました。前日からの雨予報が心配だったので外に出て確認してみると弱い小雨が降っているだけで走るのにはそれほど影響無さそうでした。前日説明会で言われた通り玄関先にゴール地点スパルタ行きの荷物を置きました。


ホテルの風呂場で撮影。


ホテル前に迎えに来てくれていたバスの運転手さん、スタート地点までぶっ飛ばしてくれました。



ライトアップされたパルテノン神殿が上に見えるスタート地点にたどり着くとこれから走る大勢のランナーとその応援者が集まっています、久々の再会を喜んで記念撮影しているランナー達でいっぱいでした。
弱い雨が振り続けていて、毎年暑さが心配されるSpartathlonでは珍しい事だそうで「涼しければ高い完走率が期待できる」と皆様言っていました。



緊張感はあまり感じること無く、見たこともないギリシャの道を走れるワクワク感でいっぱいでした。色々な言語が飛び交うザワザワしたお祭り騒ぎの中スタート。アテネ市街地へ、大きな通りを前のランナーに続いて走ります。

コリントス(約80km地点)通過を9時間30分というのが難関のレースだと聞いていたので、私のざっくりしたレースプランは最初の40kmまではキロ5分40秒~キロ6分、80kmまでキロ6分30秒に落として余裕持って80km通過してそこからは歩きも入れつつ195kmまで進み、最後の50kmは余力を全部使い切って走ろう。と思ってました。
サンガス山を越えるのが寒くて大変というのも聞いてましたが、寒さを我慢するのは得意な方なので上着は持ちませんでした。

市街地を走っていると5km辺りで「若木くるみ」さんに追い付きました、まだ始まってから30分も経ってないのに泣きそうな声で完走できるのか心配していました。後頭部に顔書いてあるのに何でか人見知りする面白い人です。しばらく一緒に話しながら走ってましたがゆるい登りで離れてしまいました。



どの交差点でも警察官が車を止めてくれていて、全てランナー優先です。通勤の時間なんでしょうに申し訳なくなるくらいでしたが、応援してくれる町の人もたくさんいました。
小江戸大江戸200kmで毎年一緒に走っているS倉さんとペースが同じくらいで、追いついたり離れたりしながら予定通りのペースで刻みます。


3~4km毎に設置されたエイドでは水を飲んだりオレンジジュースを飲んだりしました。40km地点まで私の荷物は無いのでクラッカーやレーズン、フルーツ等を軽く頂いて次を目指します。すぐに次のエイドに辿り着けるので補給の心配はせずギリシャ語で書かれた落書きや、日本ではお目にかかれない景色を見ながらゆったりした気分で走れました。


ほぼ予定通りの時間でフルマラソンの距離を走り、デポジットしてあるエイドに辿り着くと私のゼッケン番号を遠くに確認したエイドスタッフの方がエイドに着いた瞬間にデポジットした物を手渡してくれました。私が置いた荷物はどのエイドでもすぐに手渡されて、自分で探す必要もなくとってもスムーズで有難かったです。

50km地点辺りでポツポツ降ったり止んだりしていた雨が豪雨に変わり、靴の中もびしょびしょになりました。道行く人が「レインコート居らないか?」と渡そうとしてきたり見ず知らずの海外ランナーにここまでしてくれる事に感激でした。


しばらくすると雨は上がり、海を左手に見ながら走ります。エーゲ海は青くて波が全然無いです。


日陰も無くさっきまでの雨が嘘のように強い陽射しが出てきて、一気に気温30℃超えました。日本と違って湿度が低いので汗やかぶり水はすぐに乾いてしまいます。手に持ったソフトフラスクから水を首の後や顔、腕にかけて冷やしながら走りました。例年に比べて涼しいし、雨上がりで風があったので何とかなりましたが、無風でもっと暑かったら熱中症になってたんじゃないかと思います。

外国の方とも片言の英語で簡単な会話をしながら色んな方のブログで見かけた運河まで辿り着きました、ここを過ぎたらやっと難関の80km地点通過です。

この時前を走っていたランナーはスパルタ出身だそうです、もうスパルタ教育じゃないんだろうなぁ、と思いながら付いて行ってました。



印象的な運河



何とかコリントスに辿り着くと、先に着いていたS倉さんが休憩中、応援で来られていたY谷さんのお母さんに写真とってもらいました(指が入ってますねw)。


事前に聞いていた難関をあまりダメージを感じずにクリアできたのでここからペースを落としてじっくり次に向かいます。エイドでは休むこと無く補給だけ済ませて歩き出しました。S倉さんもそろそろ行くということで話しながら並走します。
日本のぶどう畑とは違った背の低いぶどう畑と遠くに見える岩肌の山の景色を見ながらゆっくりと走りました。ここから暫くはキロ7分~8分程度だと思います。


どの場所でも温かく迎えてくれて、「toilet?」と聞くとカフェや店舗のトイレを貸してくれたりしてとても有り難かったです。

子どもたちからサインを書いてくれと言われるのは事前に聞いていました。私がギリシャ語の落書きを新鮮に感じるように、漢字で私の名前を書くと喜んでくれて、求められた全員に「長谷川 108」などと書きました。
たくさんの子供たちに迎えてもらった100km地点辺りのCP28に夜に備えたハンドライトを置いておきましたが着いた時にはまだまだ全然暗くなくて、もう少し先に置いても良かったなと思いました。

110km過ぎた辺りから一気に暗くなってきて夜間走行に入ります、ポツポツと明かりのあるだけの夜道は日本の山道を走っているようで帰ってきたような錯覚に陥ります。

それでも数キロごとに設置されたエイドに辿り着くと現地の人たちが温かく向かい入れてくれて、お昼までと変わらないサポートをしてくださいました。
CP35 124km地点のネメア教会で戴いたピラフとスープはとっても美味しかったです。
現地の方も気さくに話しかけてきてくれて、日本に仕事で何度も行っているというギリシャの方と片言の英語で話しました私もたまにいただくサプリメントのMAGMAに関する仕事をされているとかで日本を知ってるギリシャの方がいると嬉しくなるものです。「ごちそうさまでした」と言ってエイドを後にしました。



夜間走行は本当に景色が日本と変わりません、気温も大体同じです。同じ方向に走っている時折出会うランナーが殆ど外人さんっていうくらいのもので日本の夜間走と同じように坦々と前を向いて次のCPを目指すことを繰り返しました。

あれ?ここさっきも来たような気がする・・・、という似たような景色が続いて、CP43 148kmリルケア到着。ここでもS倉さんと付かず離れず、ペースが同じくらいになったら話しながら進んでぼんやりしてくる頭が回復しました。難関のサンガス山へと続く九十九折を殆ど歩いて登って山の麓CP47 159kmベースオブマウンテン到着。

座って補給してるところを現地の方に撮ってもらいました。



硬くなった靴下を換えて足にワセリンを塗りなおして補給をしてゆっくりとリスタート、一緒に来たS倉さんは先に行ってもらいました。
夏のスパルタ練習会でご一緒させてもらったエリートランナーのO島さんは以前参加したSpartathlonでサンガス山のトレイル区間を全て走って登ったとおっしゃってたので、私も出来る限り走って寒い思いをするのを回避しようと思いながらエイドを後にします。

出来る限り走ってたので一枚しか撮りませんでしたが、トレイルランをされてる方なら走っても登れる程度の上り坂です。ただし100マイル走った後にですけど。




本当に急な所以外は走って登って頂上まで20分はかかってなかったと思います。あんまり駆け上る人は少ないようで、何人も外国の方をパスしました「Nice work!」「Good job!」などとお褒めの言葉を頂けました。
ほぼ走った事もあって全く寒さは感じずに頂上でオレンジジュース一杯貰ってすぐに下山します、これも富士山の下山道より走り易いくらいの幅の広いトレイル区間で楽しんで走りました。

遠くに見える景色を見ながら飛び跳ねていたら一度だけ足を捻って転びそうになりましたけど大事には至りませんでした。トレイル区間を丁度終えた辺りで先行していたS倉さんに追いついてまたしばらく話しながら並走します。

CP52 172km辺りのネスタニで美味しそうだけどちょっと脂っこそうなポテトがあったのでたくさん頂きました。でもこれが失敗でこの先数時間は胃のもたれに苦しみました。
色々なレースで脂っこいものや補給のし過ぎのしっぺ返しは受けてきているはずなんですが安定の学習能力不足です。

お腹がおかしくなって来るとペースが落ち、だいぶ前から足の裏の痛みもあるので歩きたくなり、走りたくなくなり・・・、眠くなり・・・、そういえばちょっと寒い・・・。と順調に悪循環のスパイラルに陥っていきます。

そんな状況でも3km、長くても4km先に待っていてくれる見も知らぬCPスタッフの皆様のお陰で走ったり歩いたりを繰り返して何とか朝を迎えました。