窓の外を伺いながら男が苛立っていた
「ちくしょう……なんでこんなことになったんだ……」
そうつぶやく男の左手には大ぶりの鋏があり、そしてその刃先は男が右腕で押さえつけている人質の首元へと添えられていた。

人質に恨みがあった訳ではない。偶然そこにいた、ただそれだけの理由で拘束した
「…………」
人質はすでに抵抗する気も失せたのかしゃべることもなくただ大人しくしていた
まだなのかよ……まさかあいつ、バラしたんじゃ……っ!?
そんな考えが脳裏を掠めた。その時、勢い良く部屋のドアが開け放たれ一人の男が飛び込んできた。
「動くなッッ!!!」
飛び込んできた男が鈍く黒光りするものを男に向けて叫んだ
「畜生ッッ!!やっぱりあいつサツにチクってやがったな!!」
どうすればいい―――どうすれば――あ!?
「テメェは……Mェ……!!?」
男は飛び込んできた男が旧知の仲であることに気づいてしまった
「やめるんだ!!S木!!俺はお前を撃ちたくない!!!人質を開放しろ!!」
「五月蝿い!!お前のせいで俺はこんな道を歩くことになっちまったんだ!!お前があの時止めてくれていれば!!!」
「それは……あの時は俺の力じゃどうすることもできなかった!!」
「うるせぇぇぇぇぇぇぇえええええ!!!」
激昂した男の鋏が振り上げられ、容赦なく人質の首元へと向かう
「S木――っ!!!」
すべてがスローモーションになっていくなか、Mの人差し指に力が込められ

まるで風船の割れるような乾いた音が響きわたり

S木が倒れた

とぅーびーこんてぃにゅー?