山中耕作先生が、寮誌VOL3に寄稿されたものです。

 

 記録のために残します。

 

 当時の学生にとっては、難しすぎますよね。

 

 寮生に対する信頼と期待の証と思います。

 

 

 中国の宋の時代の高僧、法演(ほうえん)和尚の四つの戒めの言葉、"法演の四戒"

 この四つの戒は、法演(ほうえん)が、宋代の僧・仏鑑慧懃(ぶっかんえごん)が、太平寺というお寺の住職になられる時に示された言葉です。弟子の新たな出発に当たり、師匠として示された教えです。

"法演の四戒"

一、<勢い、使い尽くす可からず。勢い、もし使い尽くさば、禍い必ず至る>。
 勢いとは、相手を支配する力、権勢、時勢ということです。自分の勢いをすべて自分で得た力だと思って、傲慢になり行動すると、かえって周囲の反発を招き、禍を招くことになる。今の自分の勢いは、多くの人の支えのおかげと受け取る謙虚さを持つべし、ということでしょう。

ニ、<福、受け尽くす可からず。福、もし受け尽くさば、縁、必ず孤なり>。
 福とは神仏の助け、幸福、ということです。現在の幸福も、目に見えない大いなる神仏のご加護、良きご縁のたまものと感謝し、自分一人で受け尽くすのではなく、すこしでも人様にお分けする心を持つべし。そうでなかったら結局孤立してしまう、ということでしょう。

三、<規矩、行ない尽くす可からず。もし規矩、行ない尽くさば、人必ずこれを繁とす>。
 規矩とは規則、きまりのことです。規則もあまりに厳格に決めて、厳格に実行すると人は規則に縛られ息苦しくなり、ストレスを感じる。また、規則さえ守っていればよい、という消極的な考えになってしまう。やはり、人を信じて、多少の自由、余裕が必要ということでしょう。

四、<好語、説き尽くす可からず。もし説き尽くせば、人必ずこれを易んず>。
 好語とは、良い言葉、良き教えといったことでしょう。良い言葉、教えもあまりに微に入り細に入り詳細に説くと、聴く人も簡単にわかったような気持ちになり、その言葉、教えの深い意味、重みが感じられなくなる。
 あるいは、説く人の実践が伴わないで、言葉だけを説いても、人はあまり感朊しないということでしょう。

 以上の四つの戒めです。