ホテル夢への意見

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公共的報道と云っても併し決して単純ではない。一般的な不定読者を予想すると云っても、その不定読者の私的[#「私的」に傍点]――個人的及び市井民的――生活に直接影響を有つような、私的興味[#「私的興味」に傍点]に関わる場合と、不定読者の公的[#「公的」に傍点]――国家的及び市民的又は社会党派的[#「社会党派的」に傍点](例えばプロレタリアの党派の如き)(ブルジョア政党は多く私党[#「私党」に傍点]にすぎない)興味に関わる場合とは区別されねばならぬ。前者はブルジョア大新聞紙の大部面を占める記事であって、市井の諸現象・経済記事・政治記事等々の私的報道[#「私的報道」に傍点]であり、後者は官報[#「官報」に傍点]に於ける通知[#「通知」に傍点]や、公的政党の機関紙に於ける指令[#「指令」に傍点]の如き公的報道[#「公的報道」に傍点]に相当する(吾々は公私の区別を必ずしも政治学的・国家学的に決定しない)。
 官報(官報は世界に於ける新聞紙の始めをなす――例えばカエサルの Acta diurna や前唐玄宗帝の「邸報」の如き)や政党新聞紙(之はブルジョア・デモクラシーの所産と考えられる)は併し、その読者必ずしも不定[#「不定」に傍点]ではない。成る程一定の限られた読者にだけ限定するのではないという意味に於ては不定であるが、少なくとも[#「少なくとも」に傍点]国民の凡て[#「凡て」に傍点]に又は党員の凡て[#「凡て」に傍点]には読まれねばならぬという点では(そして当然国民乃至党員以外のものも亦之を読むだろう)、実は或る意味の総体[#「総体」に傍点]読者を有たねばならぬのである。この公的報道は最も狭い著しい意味に於ける公共的[#「公共的」に傍点]報道である。