初回授業だった。緊張というよりは不安の大きかった昨夜であるが、そうたからの誘いのラインでそれも和らいでいた。そうたは僕の話を正面から聞いてくれるし、数日ながらとても良いやつであると思っている。すでにクラスはグループ化が進んでいる。今のクラスの状況を見ると高一の春を思い出す。あの時と同じ状況で、同じ立ち位置にいることを考えると、僕はあまり人間的に変わっていないのだと思えてくる。

 大学の授業は何を伝えたいのかわからない。話を聞いて、そこから何を学んで欲しいのかがはっきり理解できない。これが受験というものへの道具としか見ていない、高校での学習との差なのかも知れない。(おそらく違うだろうけれど)

 受験から解放されると心も晴れ晴れとするように思っていたけれど、なぜだろうか何かに飢えているように感じる。どこかに穴が空いているようだ。これが五月病なのか。いや、おそらく違う。なぜなら、これは半年間ほど僕が抱えている悩みなのだから。

 昨日、何となく気が向いたから干していた洗濯物は、昼間の突如降り注いだ雨によってまだ湿っていた。そして、それに気づいた僕は、乾ききっていないタオルを再び干した。