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50代からの読書

子どもの頃から本が好き。若い頃はおもしろいと思えなかった本も今なら感動することもあり、読書を通して自分の変化を感じます。読書の記録を通して、50代の心の一端を残してみます。

 

 オカルトチックな大人のファンタジー

 

 

「途鎖」という地域には超能力を持つ人が多くいて、そのことは一般に広く認められています。日本のどこか山がちな地方が舞台ですが、「途鎖」を「とさ」と表記している箇所もあるので、私は土佐をイメージしながら読みました。ただ、時代は全く限定されていないし、「途鎖」はひとつの国として独立しているようで、この本の中だけの独自の世界です。

 

この世界にしかない単語がいくつも出てきたり、独特の状況がつかめなかったり、序盤から登場人物が多めだったりで、入り込むのに少し苦労しました。さらに、派手な乱闘シーンが何度もあり、描写が生々しいです。

途鎖国の状況や人々の特殊能力の状況は緻密に設定されていて、もっと詳しく知れたらおもしろそうだと思いましたが、物語としては、主人公の行動の動機がもうひとつピンと来なかったため、消化不良感が残りました。

 

 

 

 

 

 

恩田陸

1964年、宮城県生まれ