前に、病院でよく会う人がいた。
息子さんと私の年齢が近くて、会う度に仲良くなっていった
その人はとても大らかな人で、説明下手であり話し下手でもある私の話を、頷きながら聞いてくれた
私の話に一緒に笑ってくれた
ある日突然、彼女に会わなくなった
気にはしていたんだけど、私以外の人と話してるのを見た事がなかったので、誰かに確認する事もできなかった
そんなある日彼女はひょっこりと病院に来た
元からすごく細かったのにガリガリになって、顔色が見た事ない程青かった
最初はいつも通りだったんだけど、彼女はぽつりぽつりと話し出した
親1人子1人で生きて来た仲良し親子
その子である息子さんが、事故に合い急死した
まだ30歳だった
ここでは息子さんとの思い出が多すぎてしんどい
から、田舎に帰りたいと言っていた
でも、カウンセラーさんも先生も反対するんだ
そう聞いた時、私も反対だった
このまま放っておいたらいつ死ぬか分からない
私の目にはそう見えた
高校卒業以来一度も田舎には帰った事がないと言っていた
仲のいい1人とは連絡をとっているけど、それ以外に知り合いはいないそうだ
田舎に帰るのに反対の声をあげていいのか悩んだ
本音を言えば反対
でも、彼女の言っている事も理解できる
だから私は、1つだけ約束してもらうことにした
いつか息子さんとの思い出が優しい思い出に変わった時、必ず会いに来て
私はここでずっと待ってるから、約束して
本当は死ぬなと言いたかった
だけどその時の彼女にそんな無責任な言葉は言えなかった
だから約束してもらった
多分、言葉の真意は伝わったと思う
最後にハグをして分かれた
見た目以上にガリガリだった
でも、大きくて暖かかった
貴女へ
約束、忘れないでね
次に会えた時、また沢山お話ししようね