「そうかい……ん?」
少女の顔の一部が黒くなっているので、
路夏はポケットからハンドタオルを出した。
「頬が煤(すす)で汚れてるよ」
「……あなたはできているようですね。ですが……」
少女は透けるような白い手でハンドタオルを
受け取って、そのまま路夏の横をすり抜けた。
「脇(わき)が甘い」
少女は周囲に展開している蔓(つる)を伸ばして、
路夏の背後でけん銃を構える小男を
鞭(むち)でやるように打った。
「はっ?」
路夏も最初何が起こったのかわからなかったが、
すぐに頭が回った。
保護対象者が自分にけん銃を向けていた――
きなくさい話――最初から配置されていた狙撃手――
その意味する所――この仕事の裏が見えてくる。