今の世の中はSNSの影響で欲しいものが沢山あって困ってしまうと言う人がいるかもしれないし、「いいね」を貰いたいがためにお金をつぎ込む人もいる。そんな世の中を生きる人の物語。


 床に散らばったゴミ、髪の毛が付いた洗面台、そしてまるで色褪せてしまったかのような無造作に積まれたブランド品の山、散らばった書類、そして外は明るいのに日の光が入ってこない部屋。そんな中で沙羅紗は生活していた。
  「お金がない、どうしよう」彼女は絶望感の中に苛まれていた。散らばった書類の殆どは金融会社やクレジットカード会社からの督促状。ブラックリストに入ってしまったので、もうヤミ金にしかお金を借りることができない。でも、沙羅紗は絶対にヤミ金にだけはお金を借りたくなかったが、お金がなく買い物ができないのも嫌だった。


  沙羅紗は両親のもとで兄1人、姉1人の末っ子として生まれてきた。兄や姉とは年が5つ以上離れていたので、好きなものを買ってもらえたりして比較的裕福な家庭で育ってきた。
  高校を卒業して、大学もごく普通に卒業して今の事務系の就職先に就いた。
  沙羅紗の性格は面倒なことが嫌いで嫌なことは早く済ませたいというタイプ。だから、就職活動も内定が出た途端にやめて、残りの大学ライフをエンジョイした。
  でも、そんな彼女にもひとつ突出してハマれるものがあった。それがファッション。幼い頃から興味があり、姉のお下がりは嫌だと駄々をこねては新しい服を買ってもらっていた。両親も甘かった為、お下がりは殆ど着たことがなかった。


  C商社の事務で働く沙羅紗は今流行りのInstagramにのめり込んでいた。フォロワーは3500人。煌びやかなアクセサリーに新作のブランド品、夜景を見ながらのディナーなど世の女性が羨む投稿をしている。
   InstagramのユザーネームはSara_official。言うなれば彼女は「キラキラ女子」であった。彼女の生活はもはやインスタのために生活をしているようなものであった。お昼は会社を出てすぐのところにある“Azul”というカフェでカフェランチ。それを気の済むまで写真を撮り、食べたらお店を出てスターバックスのコーヒーと持参したChloéのサングラスと共に川岸の公園で自撮りをし、加工して優雅な生活として投稿。
  その加工と羨むような生活を映し出す写真のおかげで彼女のインスタのコメント欄には「Saraさんのような生活に憧れます」「いつも綺麗ですね」などというコメントに溢れて沙羅紗は優越感に浸っていた…


続く