やっぱり凄い 劇団四季「オペラ座の怪人」(2016年1月10日 名古屋) | オンナひとり気まま日記

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「オペラ座の怪人」って、あれだけ熱狂的なファンが多くいるにもかかわらず、個人的にはそこまで入りこめない作品でした。

何というか、結局最後まで回収されないままの謎が多いでしょ。説明しきられていない部分をあれこれ解釈する余地があることこそがまた良いのだろうと思いつつ、何かモヤモヤ感が抜けなかったのです。物語の筋自体は複雑でないどころか、むしろシンプルであるがゆえに、余計に。

が、本日の劇団四季名古屋公演「オペラ座の怪人」、そんなモヤモヤを吹っ飛ばしてくれる舞台でした。

今日のキャスト。


佐野正幸さんのファントム、想像以上でした!以前、「美女と野獣」のビーストで拝見して、繊細なお芝居をされる方だなあと思ったのですが、ファントムの何とエモーショナルなこと。

前回同作品を見たのはもう6年くらい前で、その時はファントム高井治さん、クリス沼尾みゆきさん、ラウル中井智彦さんというキャストでした。
今の四季で、おそらくファントム役者筆頭のポジションにいるであろう高井さんは、どちらかというと内に狂気を秘めた、ミステリアスな要素が強い印象ですが、佐野さんはもっと激しく、そして切ないですね。

もちろん好みもあると思いますが、何というか、佐野さんは非常にセクシーで、「男」として惹かれるものをクリスも感じたのだろうと思わせます。そして、おそらくファントム以上にラウルこそが強烈な嫉妬心を感じていたのだろうとも。

佐野さん自身、お顔そのものが分かりやすいイケメンではないと思うのですが(失礼)、スタイルよく、姿勢がよいので、いつまでも若々しいですね。
長年ラウルの役をやっておられたのも納得です。

(と言いつつ、「美女と野獣」で人間の姿に戻ったビーストを見て、王子であると最初認識できなかった執事のコッグスワースが、「あの若い人は誰だ」とか何とかいうシーン、佐野さんの時は一瞬吹き出しそうになったのはナイショ)

何だか佐野ファントムを讃えてばっかりですが、他のキャストの皆様も素晴らしかったです。ラウル役の鈴木さんはさすがの安定感。あと、クリス役の久保さん、今まで存じ上げませんでしたが、かなりいいです。

この方、いわゆる脳天突き抜けるが如きハイパーソプラノではないですが、耳に心地よい声。The Phantom of the Operaラストの超高音だけが若干辛い感じはしましたが、既に結構連投されているようなのに、小柄な体から溢れんばかりのパワーがありました。

演技の方も、最初は亡き父の面影を求めたファントムが自分への想いを暴走させる姿を見て恐怖を募らせるものの、最後は「父」ではなく「男」としてのファントムの感情を受け止めつつ、毅然と「醜さとは、顔ではなく心にあるもの」と諭す大人に成長したクリスを表現されていたと思います。

…今まで、何かクリスティーヌって、私の中ではイマイチ何を考えているか分からない不思議ちゃん指数の高いキャラだったのですが、久保さんのは意志のはっきりした、強い女性といった感じです。
また、この方で違う役も見てみたい。大好きな「ウィキッド」のグリンダなんてやってほしいけど。

…というわけで、カーテンコールは確か7回くらい?最後はほぼ総立ち状態で幕を閉じました。

いや、満足満足。第一幕終了後の休憩中、トイレ待ちの女性二人組の片方が、「私ねー、いつも初めのオークションシーンのラウルを見て、その日の全体の出来を占うんだけど、今日はかなり良いぞって思ったの!」と連れ合いに言ってたが、まあ当たりだったね。でも、どうやって占うんだろう。

ロビーには、クリスティーヌの楽屋。


昨秋の名古屋通算100万人達成記念。
ファントムは芝さん。


今年秋の新劇場柿落としは、リトルマーメイドだそうです。


しかし、この「劇団四季のオペラ座の怪人は凄いらしい」ってコピー、初演からずっと同じだよね。未だに古くなってないのが、また凄い。