ヒミズ レビュー
映画化が発表され、監督、キャストが発表され、公開日が発表され、少しでも情報が更新されただけでワクワクしていた映画『ヒミズ』を見てきた。
元々、原作のファンであるのに加えて、監督が、あの園子温ときけば、もう何も言うまい。
そして、この映画を見たら自分はきっと泣いてしまう。
そう思ったので、1人で見てきた。
この作品を見終わった後、面白いよりも先に一番初めに思ったことは「疲れた。」そう思った。それは精神の奥底までえぐられたからだ。
映画の冒頭というのは大切なものである。それは音楽にも言えることだが、どれだけ受け手を引き込むかにかかっているからだ。
ヒミズは、どうだったかというと、案の定すぐに心を鷲掴みにされストーリーに引きこまれた。
震災により破壊された建物から始まり、住田らしき少年が立ち尽くしている。ここまで震災の映像を使っているのには、驚いた。
映画の住田は原作よりも感情が外に漏れている。
心の叫びや、つぶやきが声として外で出ている。
しかし同級生で友達であった夜野がホームレスとなっていることで学校では、より浮いている存在にも見えた。
冴えない主人公に美女が迫ってくるという古谷実作品の個人的な謎がある。
しかし映画では、原作にはない茶沢の異質な家庭の事情をえがくことにより、何故、住田に興味を持ち迫っていったのかが、より具体的に想像することができた。
全身に絵の具の塗りたくって、街を徘徊する住田。
絵の具を利用することにより視覚的にも異常性を見てとらえることができ、恐怖感がすごかった。
子供の頃トラウマになったドラゴンヘッドようでもあった。
そして、紙袋に包丁ひとつを入れ街を徘徊する住田。
紙袋に包丁という組み合わせは最高に恐怖だと感じた。
古谷実の作品は、社会の底辺をリアルにえがき、一歩間違えれば自分もその中に入ってしまうのではないかという所に感情移入ができる。
原作のラストは、住田が最愛の人と幸せな未来を想像し、物語はハッピーエンドで終わるかとおもいきや。
そこにあったのは、結局、絶望。
住田は死んでしまう。
しかし、映画で住田は生きていた。
住田くん頑張れと茶沢さんが、走りながらはちきれんばかりに叫ぶ。住田自身も自らを奮い立たせるよう同じく叫ぶ。それが、被災地の映像へとつながる。
それは、あたかも日本を応援している声にきこえた。それがこの作品のテーマなのかと思えた。
園子温監督は、震災後に急遽ストーリーを変えたという。
だからこそ、原作とは異なり、最後に救いがあったのかもしれない。
ヒミズを見ることにより、生きていく力をもらえた。
号泣ではない、ストーリー半ばから、目から涙が出続けていた。
キャラクターのちょっとした言動、セリフに心をうたれ涙が止まらなかった。
2012年が始まり、見た映画は未だ20本弱。
これから良作も多々公開されるであろう。
しかし、このヒミズが今年最高の傑作だということを信じて疑わない。
最後に。
二階堂ふみが途中から、宮崎あおいに見えて仕方なかったです。ヘ(゚∀゚ヘ)