さて、すでにニュースなどでもご存知の方も多いと思いますし、
WOWOWでご覧になった方もいらっしゃるかと思いますが、
日本時間で去る2月13日(月)の午前から昼にかけて、
ロサンジェルスのステイプルズセンターで、
「第54回グラミー賞授賞式」が開催されました。
司会は、ベテランラッパーでもある、LL.クール・J。
ご存知の通り、前日のホイットニー・ヒューストンの急逝という
ショッキングなニュースを受けて、
授賞式スタッフやテレビ局、マスコミ、
ノミネート歌手やパフォーマンスアーティストなどの間に、
かなりの動揺があったことと思われましたが、
急きょ、ホイットニーを追悼するスペシャルパフォーマンスが行われたり、
受賞スピーチなどで彼女への弔意を表したりと、
この日は色々な形で、ホイットニーを偲ぶ授賞式コンサートとなりました。
数々のパフォーマンスは、
後日いくつかまとめてブログにアップする予定ですが、
まずは、すでに報道されている通りの、
主要4部門を含むグラミー各賞の受賞結果について、
前々回ブログでの一週前予想との比較もしながら、
ここに紹介したいと思います。
なお、授賞式シーンの動画については、
各プレゼンターのノミネート紹介も含めた受賞スピーチは、
リンク先からご覧ください。
一部のものに、リンクとは別に、直接貼ったものもありますが、
アップロード元が異なり、またこれらは削除される可能性もあるので、
ご了承ください。
まずは主要4部門。
①最優秀レコード賞
☆◎「ローリング・イン・ザ・ディープ(Rolling In The Deep)」アデル
▲「ホロシーン(Holocene)」ボン・イヴェール
○「グレネイド(Grenade)」ブルーノ・マーズ
・「ザ・ケイヴ(The Cave)」マムフォード&サンズ
・「ファイアーワーク(Firework)」ケイティ・ペリー
「最優秀レコード賞発表&スピーチ」
※プレゼンターは、昨年の最優秀レコード賞を獲得した、
レディ・アンテベラムの3人でした。
②最優秀楽曲賞
・「オール・オブ・ザ・ライツ(All Of The Lights)」カニエ・ウェスト
▲「ザ・ケイヴ(The Cave)」マムフォード&サンズ
・「グレネイド(Grenade)」ブルーノ・マーズ
○「ホロシーン(Holocene)」ボン・イヴェール
☆◎「ローリング・イン・ザ・ディープ(Rolling In The Deep)」アデル
「最優秀楽曲賞発表&スピーチ」
※プレゼンターは、俳優のニール・パトリック・ハリス。
楽曲賞であるため、共同ライターでプロデューサーのポール・エプワースも
登場しています。
③最優秀アルバム賞
☆○「21」アデル
▲「ウェイスティング・ライト(Wasting Light)」フー・ファイターズ
・「ボーン・ディス・ウェイ(Born This Way)」レディー・ガガ
◎「ドゥー・ワップス&フーリガンズ(Doo-Wops & Hooligans)」ブルーノ・マーズ
・「ラウド(Loud)」リアーナ
「最優秀アルバム賞発表&スピーチ」
※授賞式の最後に発表された賞で、
プレゼンターはダイアナ・ロスと司会のLL.クール・J。
アデル、見事な主要3部門独占でした。
ほとんど予想できてたんですけどね。
アルバムだけ、ひねくれてブルーノ・マーズを本命にしたけど、
今年は至極順当に決まってしまいました。
それにしても、アデルの感激っぷり。
しばらく喉を痛め、ポリープの手術からしばらくステージで歌っていなかったので、
いわゆるマスコミ取材もほとんど受けてなかったようです。
それゆえ、この日は一気に爆発した感じでした。
この日の「ローリング・イン・ザ・ディープ」のパフォーマンスです。
きちんと準備してきたようで、手術明けを感じさせないステージでした。
素晴らしかった。
この主要3部門のほか、「最優秀ポップパフォーマンス」、
「最優秀ポップアルバム」「最優秀ショートミュージックフィルム」の
計6部門ノミネートで全て受賞を果たしました。
④最優秀新人賞
☆◎ボン・イヴェール
・ニッキー・ミナージュ
・J・コール
○ザ・バンド・ペリー
▲スクレリックス
「最優秀新人賞発表&スピーチ」
※プレゼンターは、トニー・ベネットとキャリー・アンダーウッドです。
実はこの発表の前に、二人でパフォーマンスしてたんですよね。
こちらも、主要部門のノミネートから、ボン・イヴェールが予想通り受賞しました。
最優秀オルタナディブアルバム部門と合わせて2部門を獲得しています。
ボン・イヴェールは、ウィスコンシン州出身のシンガーである、
ジャスティン・バーノンを中心としたバンドで、
2006年に結成され、2008年にはインディーズからデビューアルバムを発表しており、
実は今回対象となっているアルバム、曲は、
昨年発表のセカンドアルバムである「ボン・イヴェール(Bon Iver)」からのもので、
そういう意味では純粋な新人というわけではないのです。
(でも、今回の新人賞ノミネート者のほとんどが、
実は同じようにかなり前から活躍しています)
ジャスティンの独特のファルセットボイスを、
カニエ・ウェストに気にいられ、2010年のカニエのシングル、
「モンスター feat. ジェイ・Z、リック・ロス、ボン・イヴェール
& ニッキー・ミナージュ (Monster)」で、
彼の声がフィーチャーされたことで、大いに話題となり、
この「ボン・イヴェール」というアルバムは、
Billboard Top200のアルバムチャートで、インディーズながら、
初登場2位の快挙を成し遂げています。
実は、グラミー賞の少し前に、彼にこの日のステージで、
他のアーティストとのコラボパフォーマンスをしてくれという
オファーがあったそうなのですが、
自分の曲を自分で演奏できないのかという不満から、
このオファーを拒否し、そればかりか、
グラミー賞という権威に対しての批判的発言を繰り広げていて、
当日はいったいどうなることと思ったのですが、
この日の最優秀新人賞受賞のスポットを浴びて、
壇上に上がった彼は、とても恥ずかしげに、
「ボクなんかが個々に立つのはおかしいんじゃないか。
もっと素晴らしいアーティストはたくさんいるのに。」
とちょっと抵抗してみたものの、
最後は関係者への感謝の言葉とともに、笑顔で締めくくりました。
これからも爆発的人気とはいかないだろうけど、
じわじわと支持されるアーティストになると思われます。
今回の受賞で、日本でもようやくラジオでかかりだしました。
ということで、彼のライブパフォーマンスはなかったので、
昨年暮れのブログで、グラミー賞ノミネートを紹介した際に、
ぜひ見てほしいと書いた、その話題のPVを載せたいと思います。
「ホロシーン(Holocene)」
「ホロシーン」とは、地質学上の「完新世」という、
最後の氷期である約1万年前から現代までの時期をさすのだそうです。
それが歌とどういう関係があるかはわからないんですが。
詞は今回はのせませんが、
目の前に広がる風景やそれに関した思い出など、
私的イメージから作られた、
自然と自分を対峙させた内容になっています。
このPVはアイスランドで撮影されたそうで、
ぜひPCの画面いっぱいにしてご覧になってほしいです。
さて、その他の部門でも、ポイントがいくつかあったので、
紹介しておきたいと思います。
◎POP部門
○最優秀ポップソロパフォーマンス
アデル「サムワン・ライク・ユー(Someone Like You)」
○最優秀ポップデュオ/グループパフォーマンス
トニー・ベネット&エイミー・ワインハウス「ボディ・アンド・ソウル(Body And Soul))」
○最優秀ポップインストゥルメンタルアルバム
ブッカー・T・ジョーンズ「ザ・ロード・フロム・メンフィス(The Road From Memphis)」
○最優秀ポップヴォーカルアルバム
アデル「21」
○最優秀ダンスレコーディング
スクリレックス「スケアリー・モンスターズ・アンド・ナイス・スプライツ
(Scarely Monsters And Nice Sprites))」
○最優秀ダンスアルバム
スクリレックス「スケアリー・モンスターズ・アンド・ナイス・スプライツ
(Scarely Monsters And Nice Sprites))」
○最優秀トラディショナルポップアルバム
トニー・ベネット「デュエットII(Duet II)」
最優秀ポップデュオ/グループパフォーマンスを受賞した、
トニー・ベネットと、故エイミー・ワインハウスの両親が、
受賞スピーチの席で、色々と語っています。
エイミーにとっては、このデュエットが遺作ということで、
今年の最初のブログでも紹介していますが、
エイミー自身の最新作にも収録されています。
トニー・ベネットの「デュエットII」は、
レディ・ガガなども参加しているアルバムで、
予想通りの受賞となりました。
◎ROCK部門
○最優秀ロックパフォーマンス
フー・ファイターズ「ウォーク(Walk)」
○最優秀ハードロック/メタルパフォーマンス
フー・ファイターズ「ホワイト・リモ(White Limo)」
○最優秀ロックソング
フー・ファイターズ「ウォーク(Walk)」
○最優秀ロックアルバム
フー・ファイターズ「ウェイスティング・ライト(Wasting Light)」
○最優秀オルタナティブアルバム
ボン・イヴェール「ボン・イヴェール(Bon Iver)」
「最優秀ロックパフォーマンス発表&スピーチ」
今回、色んな意味ですごいと思ったのが、このロック部門。
これまでに比べて、随分と部門縮小されていて、
ハードロックとメタルが一緒になってしまうという、
ある意味暴挙ともいえるわけ方になっているのですが、
決してメタルとはいえないけど、
20世紀の終わりから、ずっとハードロックシーンを引っ張ってきた、
グラミー賞も何度も受賞しているフー・ファイターズが、
ロック関係の賞を総なめです。
「最優秀ロングフォームビデオ」も受賞しており、
アデルとかぶった「最優秀アルバム賞」のみ逃しているものの、
アデルに次いで、5部門の受賞となりました。
この「最優秀ロックパフォーマンス」での受賞スピーチで、
デイヴ・グロールが、こんなことを言ってます。
「機械の手を借りずに、また特別なスタジオで録音したわけでもなく、
自分たちのガレージの中に作ったスタジオで手作りで作り上げた作品。」
ロックがまだ人の手でつくられる重要さを語ってくれた、
今回一番素敵な受賞スピーチだったと思います。
この日のステージでは、彼ら自身の曲のパフォーマンスはもちろんですが、
トリビュートなどにも顔を出して大活躍していました。
彼らの曲も、後日ぜひ紹介したいと思います。
◎R&B部門
○最優秀R&Bパフォーマンス
コリーヌ・ベイリー・レイ「イズ・ディス・ラブ(Is This Love)」
○最優秀トラディショナルR&Bパフォーマンス
シー・ロー・グリーン&メラニー・フィオナ「フール・フォー・ユー(Fool For You)」
○最優秀R&Bソング
シー・ロー・グリーン&メラニー・フィオナ「フール・フォー・ユー(Fool For You)」
○最優秀R&Bアルバム
クリス・ブラウン「F.A.M.E.」
「最優秀R&Bアルバム発表&スピーチ」
2005年にデビューしたクリス・ブラウンにとって、
この「最優秀R&Bアルバム」は初めてのグラミー受賞になるのですが、
同時に、今年このグラミーのステージに立ってことは大きな意味がありました。
2009年のグラミー賞の前日のパーティで、
恋人であったリアーナとの口論から暴行事件に発展し逮捕され、
グラミー賞当日の出演をキャンセルした彼(リアーナも)。
裁判で有罪となり、保護観察処分になるとともに、
リアーナへの接近禁止令も出ていました。
だから、この日グラミーに帰ってきたことそのものが、
クリスにとって意味があったのでした。
彼もまた、この日のパフォーマンスで活躍していました。
◎RAP部門
○最優秀ラップパフォーマンス
ジェイ・Z&カニエ・ウェスト「オーティス(Otis)」
○最優秀ラップ&シングコラボレーション
カニエ・ウェスト feat. リアーナ、キッド・カディ&ファーギー
「オール・オブ・ザ・ライツ(All Of The Lights)」
○最優秀ラップソング
カニエ・ウェスト feat. リアーナ、キッド・カディ&ファーギー
「オール・オブ・ザ・ライツ(All Of The Lights)」
○最優秀ラップアルバム
カニエ・ウェスト「マイ・ビューティフル・ダーク・ツイステッド・ファンタジー
(My Beautiful Dark Twisted Fantasy)」
この部門もカニエ・ウェストの独占状態となり、
彼は4部門の受賞となりました。
ただ、この日は授賞式は欠席していたようです。
◎カントリー部門
○最優秀カントリーソロパフォーマンス
テイラー・スウィフト「ミーン(Mean)」
○最優秀カントリーデュオ/グループパフォーマンス
ザ・シビル・ウォーズ「Barton Hollow」
○最優秀カントリーソング
テイラー・スウィフト「ミーン(Mean)」
○最優秀カントリーアルバム
レディ・アンテベラム「夢の貴婦人(Own The Night)」
「最優秀R&Bアルバム発表&スピーチ」
昨年のグラミー賞で大活躍だったレディ・アンテベラムが、
今年も地味ながら、1部門受賞を果たしました。
後輩の同形態のグループ、ザ・バンド・ペリーも人気が出てきており、
ますます注目される存在になっているようです。
◎その他注目の受賞
○最優秀ブルースアルバム
テデスキ・トラックス・バンド「リベレイター(Revelator)」
※先週来日公演で大変素晴らしかったようです。
最近FM曲でもかなりかかっていて、気にいってます。
ボーカルのスーザン・テデスキは2000年の新人賞にもノミネートされていて、
記憶に残っていました。
○最優秀プロデューサー(クラッシック以外)
ポール・エプワース
※アデルの「ローリング・イン・ザ・ディープ」をはじめ、
昨年ブレイクしたバンド、フォスター・ザ・ピープルや、
シー・ロー・グリーンの作品を評価されました。
アデルとともにステージに上がってました。
○最優秀クラシックボーカル・ソロ
ジョイス・ディドナート「Diva Divo」
※フランス・国立リヨン歌劇場の首席指揮者である、大野和士さんが、
指揮をとっているということで、今年唯一日本人がからんだ受賞となりました。
ということで、主な受賞結果は以上の通りです。
全部門の受賞も含めた各種情報は、
グラミー賞の公式サイトをご覧ください。
「グラミー賞公式サイト(英語)」
次回は、今回のグラミーパフォーマンスのいくつかを紹介したいと思います。
WOWOWでご覧になった方もいらっしゃるかと思いますが、
日本時間で去る2月13日(月)の午前から昼にかけて、
ロサンジェルスのステイプルズセンターで、
「第54回グラミー賞授賞式」が開催されました。
司会は、ベテランラッパーでもある、LL.クール・J。
ご存知の通り、前日のホイットニー・ヒューストンの急逝という
ショッキングなニュースを受けて、
授賞式スタッフやテレビ局、マスコミ、
ノミネート歌手やパフォーマンスアーティストなどの間に、
かなりの動揺があったことと思われましたが、
急きょ、ホイットニーを追悼するスペシャルパフォーマンスが行われたり、
受賞スピーチなどで彼女への弔意を表したりと、
この日は色々な形で、ホイットニーを偲ぶ授賞式コンサートとなりました。
数々のパフォーマンスは、
後日いくつかまとめてブログにアップする予定ですが、
まずは、すでに報道されている通りの、
主要4部門を含むグラミー各賞の受賞結果について、
前々回ブログでの一週前予想との比較もしながら、
ここに紹介したいと思います。
なお、授賞式シーンの動画については、
各プレゼンターのノミネート紹介も含めた受賞スピーチは、
リンク先からご覧ください。
一部のものに、リンクとは別に、直接貼ったものもありますが、
アップロード元が異なり、またこれらは削除される可能性もあるので、
ご了承ください。
まずは主要4部門。
①最優秀レコード賞
☆◎「ローリング・イン・ザ・ディープ(Rolling In The Deep)」アデル
▲「ホロシーン(Holocene)」ボン・イヴェール
○「グレネイド(Grenade)」ブルーノ・マーズ
・「ザ・ケイヴ(The Cave)」マムフォード&サンズ
・「ファイアーワーク(Firework)」ケイティ・ペリー
「最優秀レコード賞発表&スピーチ」
※プレゼンターは、昨年の最優秀レコード賞を獲得した、
レディ・アンテベラムの3人でした。
②最優秀楽曲賞
・「オール・オブ・ザ・ライツ(All Of The Lights)」カニエ・ウェスト
▲「ザ・ケイヴ(The Cave)」マムフォード&サンズ
・「グレネイド(Grenade)」ブルーノ・マーズ
○「ホロシーン(Holocene)」ボン・イヴェール
☆◎「ローリング・イン・ザ・ディープ(Rolling In The Deep)」アデル
「最優秀楽曲賞発表&スピーチ」
※プレゼンターは、俳優のニール・パトリック・ハリス。
楽曲賞であるため、共同ライターでプロデューサーのポール・エプワースも
登場しています。
③最優秀アルバム賞
☆○「21」アデル
▲「ウェイスティング・ライト(Wasting Light)」フー・ファイターズ
・「ボーン・ディス・ウェイ(Born This Way)」レディー・ガガ
◎「ドゥー・ワップス&フーリガンズ(Doo-Wops & Hooligans)」ブルーノ・マーズ
・「ラウド(Loud)」リアーナ
「最優秀アルバム賞発表&スピーチ」
※授賞式の最後に発表された賞で、
プレゼンターはダイアナ・ロスと司会のLL.クール・J。
アデル、見事な主要3部門独占でした。
ほとんど予想できてたんですけどね。
アルバムだけ、ひねくれてブルーノ・マーズを本命にしたけど、
今年は至極順当に決まってしまいました。
それにしても、アデルの感激っぷり。
しばらく喉を痛め、ポリープの手術からしばらくステージで歌っていなかったので、
いわゆるマスコミ取材もほとんど受けてなかったようです。
それゆえ、この日は一気に爆発した感じでした。
この日の「ローリング・イン・ザ・ディープ」のパフォーマンスです。
きちんと準備してきたようで、手術明けを感じさせないステージでした。
素晴らしかった。
この主要3部門のほか、「最優秀ポップパフォーマンス」、
「最優秀ポップアルバム」「最優秀ショートミュージックフィルム」の
計6部門ノミネートで全て受賞を果たしました。
④最優秀新人賞
☆◎ボン・イヴェール
・ニッキー・ミナージュ
・J・コール
○ザ・バンド・ペリー
▲スクレリックス
「最優秀新人賞発表&スピーチ」
※プレゼンターは、トニー・ベネットとキャリー・アンダーウッドです。
実はこの発表の前に、二人でパフォーマンスしてたんですよね。
こちらも、主要部門のノミネートから、ボン・イヴェールが予想通り受賞しました。
最優秀オルタナディブアルバム部門と合わせて2部門を獲得しています。
ボン・イヴェールは、ウィスコンシン州出身のシンガーである、
ジャスティン・バーノンを中心としたバンドで、
2006年に結成され、2008年にはインディーズからデビューアルバムを発表しており、
実は今回対象となっているアルバム、曲は、
昨年発表のセカンドアルバムである「ボン・イヴェール(Bon Iver)」からのもので、
そういう意味では純粋な新人というわけではないのです。
(でも、今回の新人賞ノミネート者のほとんどが、
実は同じようにかなり前から活躍しています)
ジャスティンの独特のファルセットボイスを、
カニエ・ウェストに気にいられ、2010年のカニエのシングル、
「モンスター feat. ジェイ・Z、リック・ロス、ボン・イヴェール
& ニッキー・ミナージュ (Monster)」で、
彼の声がフィーチャーされたことで、大いに話題となり、
この「ボン・イヴェール」というアルバムは、
Billboard Top200のアルバムチャートで、インディーズながら、
初登場2位の快挙を成し遂げています。
実は、グラミー賞の少し前に、彼にこの日のステージで、
他のアーティストとのコラボパフォーマンスをしてくれという
オファーがあったそうなのですが、
自分の曲を自分で演奏できないのかという不満から、
このオファーを拒否し、そればかりか、
グラミー賞という権威に対しての批判的発言を繰り広げていて、
当日はいったいどうなることと思ったのですが、
この日の最優秀新人賞受賞のスポットを浴びて、
壇上に上がった彼は、とても恥ずかしげに、
「ボクなんかが個々に立つのはおかしいんじゃないか。
もっと素晴らしいアーティストはたくさんいるのに。」
とちょっと抵抗してみたものの、
最後は関係者への感謝の言葉とともに、笑顔で締めくくりました。
これからも爆発的人気とはいかないだろうけど、
じわじわと支持されるアーティストになると思われます。
今回の受賞で、日本でもようやくラジオでかかりだしました。
ということで、彼のライブパフォーマンスはなかったので、
昨年暮れのブログで、グラミー賞ノミネートを紹介した際に、
ぜひ見てほしいと書いた、その話題のPVを載せたいと思います。
「ホロシーン(Holocene)」
「ホロシーン」とは、地質学上の「完新世」という、
最後の氷期である約1万年前から現代までの時期をさすのだそうです。
それが歌とどういう関係があるかはわからないんですが。
詞は今回はのせませんが、
目の前に広がる風景やそれに関した思い出など、
私的イメージから作られた、
自然と自分を対峙させた内容になっています。
このPVはアイスランドで撮影されたそうで、
ぜひPCの画面いっぱいにしてご覧になってほしいです。
さて、その他の部門でも、ポイントがいくつかあったので、
紹介しておきたいと思います。
◎POP部門
○最優秀ポップソロパフォーマンス
アデル「サムワン・ライク・ユー(Someone Like You)」
○最優秀ポップデュオ/グループパフォーマンス
トニー・ベネット&エイミー・ワインハウス「ボディ・アンド・ソウル(Body And Soul))」
○最優秀ポップインストゥルメンタルアルバム
ブッカー・T・ジョーンズ「ザ・ロード・フロム・メンフィス(The Road From Memphis)」
○最優秀ポップヴォーカルアルバム
アデル「21」
○最優秀ダンスレコーディング
スクリレックス「スケアリー・モンスターズ・アンド・ナイス・スプライツ
(Scarely Monsters And Nice Sprites))」
○最優秀ダンスアルバム
スクリレックス「スケアリー・モンスターズ・アンド・ナイス・スプライツ
(Scarely Monsters And Nice Sprites))」
○最優秀トラディショナルポップアルバム
トニー・ベネット「デュエットII(Duet II)」
最優秀ポップデュオ/グループパフォーマンスを受賞した、
トニー・ベネットと、故エイミー・ワインハウスの両親が、
受賞スピーチの席で、色々と語っています。
エイミーにとっては、このデュエットが遺作ということで、
今年の最初のブログでも紹介していますが、
エイミー自身の最新作にも収録されています。
トニー・ベネットの「デュエットII」は、
レディ・ガガなども参加しているアルバムで、
予想通りの受賞となりました。
◎ROCK部門
○最優秀ロックパフォーマンス
フー・ファイターズ「ウォーク(Walk)」
○最優秀ハードロック/メタルパフォーマンス
フー・ファイターズ「ホワイト・リモ(White Limo)」
○最優秀ロックソング
フー・ファイターズ「ウォーク(Walk)」
○最優秀ロックアルバム
フー・ファイターズ「ウェイスティング・ライト(Wasting Light)」
○最優秀オルタナティブアルバム
ボン・イヴェール「ボン・イヴェール(Bon Iver)」
「最優秀ロックパフォーマンス発表&スピーチ」
今回、色んな意味ですごいと思ったのが、このロック部門。
これまでに比べて、随分と部門縮小されていて、
ハードロックとメタルが一緒になってしまうという、
ある意味暴挙ともいえるわけ方になっているのですが、
決してメタルとはいえないけど、
20世紀の終わりから、ずっとハードロックシーンを引っ張ってきた、
グラミー賞も何度も受賞しているフー・ファイターズが、
ロック関係の賞を総なめです。
「最優秀ロングフォームビデオ」も受賞しており、
アデルとかぶった「最優秀アルバム賞」のみ逃しているものの、
アデルに次いで、5部門の受賞となりました。
この「最優秀ロックパフォーマンス」での受賞スピーチで、
デイヴ・グロールが、こんなことを言ってます。
「機械の手を借りずに、また特別なスタジオで録音したわけでもなく、
自分たちのガレージの中に作ったスタジオで手作りで作り上げた作品。」
ロックがまだ人の手でつくられる重要さを語ってくれた、
今回一番素敵な受賞スピーチだったと思います。
この日のステージでは、彼ら自身の曲のパフォーマンスはもちろんですが、
トリビュートなどにも顔を出して大活躍していました。
彼らの曲も、後日ぜひ紹介したいと思います。
◎R&B部門
○最優秀R&Bパフォーマンス
コリーヌ・ベイリー・レイ「イズ・ディス・ラブ(Is This Love)」
○最優秀トラディショナルR&Bパフォーマンス
シー・ロー・グリーン&メラニー・フィオナ「フール・フォー・ユー(Fool For You)」
○最優秀R&Bソング
シー・ロー・グリーン&メラニー・フィオナ「フール・フォー・ユー(Fool For You)」
○最優秀R&Bアルバム
クリス・ブラウン「F.A.M.E.」
「最優秀R&Bアルバム発表&スピーチ」
2005年にデビューしたクリス・ブラウンにとって、
この「最優秀R&Bアルバム」は初めてのグラミー受賞になるのですが、
同時に、今年このグラミーのステージに立ってことは大きな意味がありました。
2009年のグラミー賞の前日のパーティで、
恋人であったリアーナとの口論から暴行事件に発展し逮捕され、
グラミー賞当日の出演をキャンセルした彼(リアーナも)。
裁判で有罪となり、保護観察処分になるとともに、
リアーナへの接近禁止令も出ていました。
だから、この日グラミーに帰ってきたことそのものが、
クリスにとって意味があったのでした。
彼もまた、この日のパフォーマンスで活躍していました。
◎RAP部門
○最優秀ラップパフォーマンス
ジェイ・Z&カニエ・ウェスト「オーティス(Otis)」
○最優秀ラップ&シングコラボレーション
カニエ・ウェスト feat. リアーナ、キッド・カディ&ファーギー
「オール・オブ・ザ・ライツ(All Of The Lights)」
○最優秀ラップソング
カニエ・ウェスト feat. リアーナ、キッド・カディ&ファーギー
「オール・オブ・ザ・ライツ(All Of The Lights)」
○最優秀ラップアルバム
カニエ・ウェスト「マイ・ビューティフル・ダーク・ツイステッド・ファンタジー
(My Beautiful Dark Twisted Fantasy)」
この部門もカニエ・ウェストの独占状態となり、
彼は4部門の受賞となりました。
ただ、この日は授賞式は欠席していたようです。
◎カントリー部門
○最優秀カントリーソロパフォーマンス
テイラー・スウィフト「ミーン(Mean)」
○最優秀カントリーデュオ/グループパフォーマンス
ザ・シビル・ウォーズ「Barton Hollow」
○最優秀カントリーソング
テイラー・スウィフト「ミーン(Mean)」
○最優秀カントリーアルバム
レディ・アンテベラム「夢の貴婦人(Own The Night)」
「最優秀R&Bアルバム発表&スピーチ」
昨年のグラミー賞で大活躍だったレディ・アンテベラムが、
今年も地味ながら、1部門受賞を果たしました。
後輩の同形態のグループ、ザ・バンド・ペリーも人気が出てきており、
ますます注目される存在になっているようです。
◎その他注目の受賞
○最優秀ブルースアルバム
テデスキ・トラックス・バンド「リベレイター(Revelator)」
※先週来日公演で大変素晴らしかったようです。
最近FM曲でもかなりかかっていて、気にいってます。
ボーカルのスーザン・テデスキは2000年の新人賞にもノミネートされていて、
記憶に残っていました。
○最優秀プロデューサー(クラッシック以外)
ポール・エプワース
※アデルの「ローリング・イン・ザ・ディープ」をはじめ、
昨年ブレイクしたバンド、フォスター・ザ・ピープルや、
シー・ロー・グリーンの作品を評価されました。
アデルとともにステージに上がってました。
○最優秀クラシックボーカル・ソロ
ジョイス・ディドナート「Diva Divo」
※フランス・国立リヨン歌劇場の首席指揮者である、大野和士さんが、
指揮をとっているということで、今年唯一日本人がからんだ受賞となりました。
ということで、主な受賞結果は以上の通りです。
全部門の受賞も含めた各種情報は、
グラミー賞の公式サイトをご覧ください。
「グラミー賞公式サイト(英語)」
次回は、今回のグラミーパフォーマンスのいくつかを紹介したいと思います。