すでに報道等でご存知の方もいらっしゃると思いますが、

アメリカR&B歌手のホイットニー・ヒューストンさんが、
現地2月11日、滞在中のカリフォルニア州ビバリーヒルトンホテルで倒れ、
亡くなっているのが発見されました。
享年48歳。

数日前には、パーティの席上で、ケリー・プライスが歌うステージに飛び入りしたり、
彼女の母親である、シシィ・ヒューストンも30分前に顔を合わせていたそうで、
特に変わった様子はなかったとのこと。

明日開催される、グラミー賞授賞式を客席から見学し、
その後、グラミー賞で功労賞を受賞するプロデューサー、
クライヴ・デイヴィスのパーティにも、
ディオンヌ・ワーウィックと出席予定だったということでした。


まだ、原因がわかっておらず、
あまりにも突然のことで、言葉もありません。


実は、今回予定したのは、
前回グラミー賞のブログの最後で紹介した、
R&Bのソングライターでおしどりデュオとして知られた、
アッシュフォード&シンプソンが80年代にヒットさせた、
彼ら自身の曲を紹介しようと思ってたのですが、

たまたまなのですが、この2人が、
1978年にチャカ・カーンに提供してヒットさせ、
そして、このホイットニーが1993年にリバイバルで大ヒットさせた、
二人のペンによるヒット曲を紹介して、
ホイットニーをしのびたいと思います。


「アイム・エヴリ・ウーマン」


チャカ・カーンが、1978年共に活動していたグループ、ルーファスから離れ、
初のソロ作品となったアルバム「恋するチャカ(Chaka)」からの
ファーストシングルとしてスマッシュヒットしました。

このバージョンに、まだデビュー前のホイットニーが、
母親のシシィ・ヒューストンとともにバックコーラスで参加しており、

それから14年後、ホイットニー自身が主演も務め、大ヒットした映画、
「ボディガード(The Bodyguard)」に収録され、
あのNo.1大ヒットとなった、
「オールウェイズ・ラブ・ユー(I Will Always Love You)」に続く、
セカンドシングルとして、最高位4位となった、
歯切れのいいダンサブルなナンバーです。


①そのホイットニーバージョンのPVは、映画のシーンとともに、
 カラーと白黒を巧みに使い分けたPV用のコーラス、ダンス映像を交え、
 オリジナルのチャカ・カーンも大フィーチャーされているほか、
 母親のシシィ・ヒューストンや作者であるヴァレリー・シンプソンも
 登場しているし、ホイットニーとからむダンスで、TLCの3人も登場しています。



☆Whitney Houston "I'm Every Woman"
 from the soundtrack album "The Bodyguard"
 1993年Billboard Hot100 最高位4位


②オリジナルである、1978年のチャカ・カーンのバージョンのPV。
 音的にはいかにも70's終わりごろのディスコサウンドといった感じですね。



☆Chaka Khan "I'm Every Woman" from the album "Chaka"
 1978年Billboard Hot100 最高位21位


③ということで、ホイットニーのステージにチャカ・カーンも登場して、
 一緒にこの曲を歌っています。





(歌詞は、ホイットニーのバージョンのものです)

Whatever you want
Whatever you need
Anything you want done baby
I'll do it naturally
Cause I'm every woman
It's all in me
It's all in me

>> 何をあなたが望もうと
>> 何をあなたが必要としようと
>> あなたが望むことは何だってできるわ、ベイビー
>> 私がごく自然にかなえてあげる
>> だって私は何にでもなれる女
>> 全て私のお手のもの
>> どんなこともお手のものなのよ

I'm every woman
It's all in me
Anything you want done baby
I'll do it naturally

>> 私は全てを持つ女
>> 全て私の手の中にあるの
>> あなたが望むことは何だってできるわ、ベイビー
>> 私がごく自然にかなえてあげる

I'm every woman
It's all in me
I can read your thoughts right now
Every one from A to Z

>> 私は全てを持つ女
>> 全て私の手の中にあるの
>> あなたが考えてることくらい何だってわかるわ
>> AからZまで何だってね

I can cast a spell
With secrets you can't tell
Mix a special brew
Put fire inside of you
Anytime you feel danger or fear
Instantly I will appear, yeah, cause

>> 呪文を唱えるのよ
>> あなたが伝えられない秘密と一緒にね
>> 特別なものを混ぜ込んで
>> あなたの心の中に火をつけるのよ
>> あなたが何か怖かったり恐ろしかったりしたなら
>> すぐに私か駆けつけるわ、だって

I'm every woman
It's all in me
Anything you want done baby
I'll do it naturally

>> 私は全てを持つ女
>> 全て私の手の中にあるの
>> あなたが望むことは何だってできるわ、ベイビー
>> 私がごく自然にかなえてあげる

Oh, I can sense your needs
Like rain onto the seeds
I can make a rhyme
Of confusion in your mind
And when it comes down to some good old fashioned love
I got it
I got it
I got it, got it, got it, baby, baby, baby

>> ああ、私にはあなたの必要なものがわかるの
>> まるで種を蒔くとすぐに雨が降ってくるかのように
>> 呪文を唱えてあげるわ
>> あなたの心が迷っているならば
>> そうなったときには何かありふれてるけど素敵な恋がやってくるものなの
>> そうよ
>> そうよ
>> そうよ、そうよ、やってくるのよ、ベイビー

I'm every woman
It's all in me
Anything you want done baby
I'll do it naturally

>> 私は全てを持つ女
>> 全て私の手の中にあるの
>> あなたが望むことは何だってできるわ、ベイビー
>> 私がごく自然にかなえてあげる

I'm every woman
It's all in me
I can read your thoughts right now
Every one from A to Z

>> 私は全てを持つ女
>> 全て私の手の中にあるの
>> あなたが考えてることくらい何だってわかるわ
>> AからZまで何だってね

I ain't braggin'
Cause I'm the one
Just ask me
Ooh, and it shall be done
And don't bother
To compare
I got it

>> 自慢なんかじゃないわ
>> 私だって一人の人間
>> ただ私に願えば
>> ああ、もうそれだけで十分なのよ
>> だから悩んで
>> 誰かと比べたりなんてしないで
>> 私は何だってできるの

I'm every woman
I'm every woman
I'm every woman
I'm every woman...
(repeat)

>> 私は全てを持つ女
(repeat)


ホイットニーは、11曲の全米No.1ヒットがあり、
とりわけスケールの大きいラブバラードのイメージがありますが、

No.1にはなっておらず、時代性も感じるダンスナンバーながら、
ボクが今回この曲を選んだのも、
たまたまアシュフォード&シンプソンのことを書いていたこともあるのですが、
彼女の曲の中でも最も好きな曲の一つだからです。

アシュフォード&シンプソンが、
チャカ・カーンのイメージである、強くたくましい女性というイメージから
作り上げたというこの曲にコーラスで参加していた、
ホイットニーは、大変チャカを尊敬しており、
私生活上も大変親しくかわいがられていたということでした。

70年代、R&Bグループ、ルーファスのメンバーの一人として活躍していた、
チャカ・カーンが、1978年初めてのソロアルバム、
「恋するチャカ」からのファーストシングルとして、
アリフ・マーディンのプロデュースでデビューし、
全米でも最高位21位のスマッシュヒットとなりました。

14年後、ケビン・コスナーが、シンガーである彼女のボディガードとして活躍する、
彼女初の主演映画「ボディガード」のサントラを製作時に、
まさにチャカへのリスペクトとして歌われたこの曲で、
チャカの時以上の、最高位4位を記録しました。

サウンド的には、キーボードのみの静かな入りから、
一気に華やかにダンサブルな90年代の音に代わり、
古いR&B時代の良さと、先端の音を組み合わせ、
しかもしまったシャープな作りで、
チャカ同様、ホイットニー自身が「エヴリ・ウーマン」と思わせる、
圧巻の曲だと思っています。
こちらのプロデュースはナラダ・マイケル・ウォルデンに、
当時の人気プロデューサーチーム、
ロバート・クリヴィルズとデヴィッド・コールによるものです。


1963年ニュージャージー州ニューアーク生まれで、
同じ州のイーストオレンジで育った彼女。
母親はゴスペルシンガーのシシィ・ヒューストン。
いとこにディオンヌ・ワーウィック、
名付け親はアレサ・フランクリンという、
音楽芸能ファミリーの中で育った彼女。

聖歌隊でゴスペルを歌いはじめ、
後に母親の指導のもとボーカリストの訓練を受け、

モデルとして活動する傍ら、
チャカ・カーンらのバックコーラスに参加し、
そんな活動の中から、プロデューサーである、
クライヴ・デイヴィスに見出され、
彼の会社であるアリスタレコードと契約。

最初に、1984年テディ・ペンダーグラスの曲である、
「ホールド・ミー(Hold Me)」のデュエットパートナーとして、
初めてのシングルがチャートイン(最高位46位)し、

1985年、ファーストアルバム、
「そよ風の贈りもの(Whitney Houston)」でデビュー。

ファーストシングルの、
「そよ風の贈りもの(You Give Good Love)」が、
いきなり最高位3位の大ヒットを記録した後、
セカンドシングルの、
「すべてをあなたに(Saving All My Love For You)」で、
初の全米No.1を記録。


以下、彼女の全米No.1シングルは、

◎「そよ風の贈りもの(Whitney Houston)」(1985)から、
「すべてをあなたに(Saving All My Love For You)」(1985)
「恋は手さぐり(How Will I Know)」(1985)
「グレイテスト・ラブ・オブ・オール(Greatest Love Of All)」(1986)
◎「すてきなSomebody(Whitney)」(1987)より、
「素敵なSomenody(I Wanna Dance With Somebody (Who Loves Me))」(1987)
「恋のアドバイス(Didn't We Almost Have It All)」(1987)
「やさしくエモーション(So Emotinal)」(1987)
「ブロークン・ハーツ(Where Do Broken Hearts Go)」(1987)
◎「アイム・ユア・ベイビー・トゥナイト(I'm Your Baby Tonight)」(1990)より
「アイム・ユア・ベイビー・トゥナイト(I'm Your Baby Tonight)」(1990)
「この愛にかけて(All The Man That I Need)」(1990)
◎「ボディガード(サントラ)(The Bodyguard)」(1992)より
「オールウェイズ・ラブ・ユー(I Will Always Love You)」(1992)
◎「ため息つかせて(サントラ)(Waiting To Exhale)」(1995)より
「(ため息つかせてExhale(Shoop Shoop)」(1995)

最初の2枚のアルバムだけで、7曲の全米No.1。
トータルでも11曲の全米No.1を獲得しています。

映画「ボディガード」が大ヒットした、1992年に、
ボビー・ブラウンと結婚し、一人娘も出産。

映画出演や新作のリリースが続き、順調に見えていた彼女が
突然低迷しだすのは、夫ボビーからのDVであったり、
その夫からの影響と思われる薬物中毒で、
私生活の混乱で、作品は発表していたものの、
活動がままならない状態でした。

2004年からリハビリ生活に入り、2006年にはボビーと離婚。
その後も、復帰に苦しむ中、
2008年に新作のリリースを発表。

ちょうどこの年の3月、自分は病気で入院していて、
病室で聴いていたラジオで、彼女の復活を知り、
とあるラジオ番組で彼女の特集が組まれ、
彼女が近々復帰してくることを大変心待ちにしていました。

実際にはそのリリースが翌年にずれ込み、
現時点での最後のアルバム、
「アイ・ルック・トゥ・ユー(I Look To You)」が、
2009年8月に発売され、彼女にとって、
初の初登場1位アルバムとなり、復活を果たしたかに見えました。

2010年には来日コンサートも実現。
しかし、以前の迫力には遠く及ばず、
再度リハビリ生活を余儀なくされるなど、
最後まで、順調な復帰ができないまま、

今年、久々の映画出演作の公開も決まっていただけに、
本当に惜しまれます。


今後、ブログでも彼女の曲を取り上げる機会も何度かあると思いますし、
ブログでのシリーズ「'85 US No.1」として、
今年最初の2曲が登場する予定になっています。


ホイットニー・ヒューストンさんのご冥福をお祈りいたします。



次回は、明日発表されるグラミー賞の速報という形になるかと思います。
その後に、今回予定していた、アシュフォード&シンプソンの、
80'sヒットの紹介をしたいと思っています。


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