自宅で、息子の晩飯を用意し帰宅を待っていると、電話がかかってきた。
「事故しちゃった。かなりひどい」
自分の体温がすっと下がったような、うわ~という気持ちが駆け巡った。
自宅近くだったこともあり、すぐに迎えに行った。
完全に、相手がはみ出して、正面からぶつけられた感じ。カーブ終わり掛けだったから、
発見も遅れたようだし、ホーンも鳴らしたらしい。
相手に強く聞いた。「どうしてはみ出しちゃった?寝ちゃった?」
そしたら、相手の子は精神疾患を患い、薬も飲んでいてぼーっとしてしまった。
僕のせいです、すいません。って言われた。
なるほど、僕は仕事柄安易に納得できた。
それ以上追及はしなかった。
いろいろ手続きし、警察も到着して対応してもらった。
おじさんの警察官が、相手の子に説教していた。まぁ、わかるけど、
その子も、精神疾患だし。故意ではないわけだし・・とおもいつつ。
ただ、息子が大事に大切にしていた、愛着を持った愛車が、
事故の状態を見てみると、
フレームまで逝ってそうエンジンもやばそう。
息子がまだ、小学生の頃の話。
小学校の時から頭文字Dが大好きで、車が大好きで。
トヨタから久しぶりにスポーツカーがデビューするらしい、しかも、その車の名前は
86っていうらしい、そんなニュースを聞いて、息子とワクワクし、
豊田章男さんって、すごいんだよ。この人のおかげなんだよ。なんて会話しながら、
デビューしたその86を見て、
「大きくなったら、この車に乗りたい」って言ってたのを思い出す。
ディーラーに行って86の展示車見て。ミニカー買って。
今や、整備士になって、そのディーラーに努めている息子。
社会人になって、ようやく自分の車を手にすることができて、
親として多少フォローしたけど、自分で買った大好きな86を手に入れた。
小学生の時から86のミニカーを持っていて、
車にもミニカーを乗せていた。
この事故から、息子の86が衝撃の全部のダメージを受けてくれたから、
息子は手首の痛みだけで済んだ。
86に助けてもらった。
フロントがぐちゃぐちゃの状態を眺めながら肩を落としていた。
最近、自分でもいろいろできることから、
タイヤもホイールも変えた。マフラーも変えて1週間。
スポーツ用のブレーキパットも届いて、装着を楽しみにしていた。
サーキット走行してみたい。
足回りも変えようと考えていた矢先のできごとだった。
でもその効果を発揮する前に、廃車になるかもしれない。
「街乗りしかできなくてもいい、お金かかってもいい。
治して、乗りたい・・」
という息子の気持ちが、とても痛かった。
どうか息子に、86を戻してあげたい。
僕は、親として
息子に気の毒なことをした。と、考えていた。
