リリーという女の子はキラキラとした粉雪の舞う、ちっちゃな雪の村に住んでいます。



この村の子供たちはクリスマスの夜、空にきらめく「星の木」に願いごとをすると、朝には小さなプレゼントが届くことを知っていました。
でもリリーには欲しいものがありませんでした。
なぜならリリーのママが病気で、冬の寒さに弱っていたからです。

​ある日、リリーは雪の中に落ちているたったひとつの青い種を見つけました。
触れると、ほんのり温かい種でした。
​家に帰り、種を温かい手のひらで包んでいると、小さな声が聞こえてきました。
「ねぇ、わたしを育ててくれる?」


​種は夜空の星のかけらが、寒さに負けて地上に落ちてきたものだとわかりました。
リリーは種を小さな鉢に植え、毎日お日さまの光を浴びせ、自分の「優しさ」を注ぎました。


​種はぐんぐん育ち、クリスマスの夜にはリリーの背よりも高い、青く光る小さな「星の木」になりました。
その木は、周りの雪を溶かし、温かい光を放っていました。


​リリーは、星の木に言いました。
「わたしの願いごとは、この村の一番遠い、雪に閉じ込められた家へ、この温かい光を届けてほしいの。その家に病気のママがいるから。」
​星の木は静かに光を揺らしました。それは「いいよ」と言っているようでした。
​その夜、リリーは星の木をそりに乗せ、雪深い道を懸命に押して行きました。
途中強い吹雪に遭い、リリーは転んでしまいます。
星の木から離れてしまいもうダメかと思った時、星の木がリリーに向けて、まるで手招きをするように、光をパッ、パッと点滅させました。
​リリーはその光をたよりに再び星の木にたどり着き、ぎゅっと抱きしめました。
​「ごめんね。わたしがあなたに元気をもらう番になっちゃった。」
​すると星の木の光が、リリーの体の隅々まで温めてくれました。

​ついに一番遠い、リリーの家に着きました。
星の木を窓辺に置くと、その温かい光が、病気のママの顔を優しく照らしました。ママは穏やかな顔で、すーっと深く息を吸い込みました。

​朝が来てリリーが目を覚ますと、隣には、すっかり元気になったママが微笑んでいました。
​そして、窓の外を見ると、あの星の木は、小さな青い種の姿に戻っていました。
​リリーは種を再び手のひらに乗せ、「ありがとう」とそっとキスをしました。
​リリーの村では毎年クリスマスの夜に、みんなが小さな星の木に願いをかけますが、リリーだけは知っています。
​本当に大切な願いごとは、豪華なプレゼントではなく、誰かのための温かい光だということを。

そしてその光は、一度誰かに届けられても、また「小さな種」に戻り、「優しさ」という水で育てられると、何度でもまた大きな木になって、世界を照らしてくれるのだということを。
​リリーは、この「星の種の約束」を、ずっとずっと大切に守り続けました。

この物語であなたの心に温かい光が届きますように。