損傷したDNAを修復する酵素の分泌を促す作用
ブロッコリーに含まれる硫黄化合物がある種の酵素との化学反応によって生成される「スルフォラファン」は、ピリっとする辛みのもととなる成分で、ガン予防効果があるといわれています。

1990年代に米国のジョンズ・ホプキンス大学のタラレー博士らによって、がん予防に効果があることが発見されました。活性酸素(フリーラジカル)によってDNAが損傷を受けると、ガンを発症する可能性が高<なります。スルフォラファンは損傷したDNAを修復する酵素の分泌を促すといわれています。
2008年には、 放射線医学総合研究所の研究員により、スルフォラファンをがん細胞に投与すると、DNA の二重鎖切断(細胞は分裂時に元の DNAと同じコピーを2組作ります。二重鎖切断は、この二本鎖DNAの両鎖に切断が起こるため、細胞にとって致命的な損傷となります)が起こることを発見しました。
また、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因になっているピロリ菌に対する抗菌作用があるといわれています。スルフォラファンは、ブロッコリーの新芽(スプラウト)ほか、キャベツ、カリフラワーにも含まれています。
ガン予防のしくみ
発ガン性物質は、食物、汚染された大気、タバコの煙、あるいは化学物質などにに数多く存在し、私たちは毎日それらを取り込んでいます。この発ガン性物質が細胞内の遺伝子を攻撃し、その傷を受けたDNAが分裂して突然変異のガン細胞が発生します。さらに、ガン細胞は増殖して周囲の組織を侵していきますが、通常は肝臓で作られる酵素類の働きで発ガン性物質は解毒され、体外に排出されるのです。
肝臓で作られる酵素類は、フェーズ1、フェーズ2と2段階に分かれていて、フェーズ1酵素が体内に入った発ガン物質を酸化、活性化し、フェ-ズ2酵素が活性化された発ガン物質を無毒化するという働きをもっています。このフェ-ズ2酵素を活性化させる働きがスルフォラファンにはあり、発ガン物質を無毒化して体外へ排出しているのです。
ブロッコリースプラウト×ブラックジンジャー【食べたい人のキレイDiet!】 ![]()
1982年に米国科学アカデミーより『食物、栄養とがん』という報告書が提出され、ガン予防に期待される食品成分が発表されました。その中でアブラナ科の植物が注目され、発ガン性物質の活性化を抑制する可能性があると結論づけられています。アブラナ科の植物の中でも、特に注目されているのがブロッコリースプラウトなのです。ブロッコリースプラウトにはスルフォラファンという成分があり、その前駆物質の配糖体である グルコシノレートがブロッコリーの新芽に大量に含まれていることによる、発ガン抑制効果が確認されています。
参考:がん予防と食生活―全米科学アカデミー「食物、栄養とがん」に関する特別委員会報告