胎児期はまだまだ解明されていないことばかり。
母親の胎内にいる赤ちゃんは
「特殊な力で外界をみたり、
テレパシーのようなもので色々な情報をキャッチする」
と推測する方も少なくない。
私もその理論を信じる一人だ。
私は姫に命を救われた。
いや、元々は姫の妊娠によるホルモン変動で
病気になったのだから、
姫によって病気になったともいえるけれど、
まあその辺はいいとして
5wに差し掛かるところだった。
妊娠による卵巣過剰反応が起こり、
ホルモンの急激な変動により
血管内の水分が体内に漏れ出し
その水分が臓器を圧迫、
肺や心臓をも押しつぶし呼吸困難に陥った。
救急車で運ばれて入院生活後
悪化し更に系列大学病院に救急搬送。
そのとき、
私の生存率は50/50といわれたらしい。
最初の何日かはあまり記憶にない
でも、ところどころ残っている記憶は
主治医 「赤ちゃんはまず無理だろう」
ダンナさん
「中絶してもらってかまいません。彼女を助けて下さい、」
主治医 「そうしたくても、できない。
手術は体力を使う。今の彼女は手術にもたない。」
とか
私の足首を持ちながら(タッチングしてくれていた)
主治医 「今はただ我慢するしかない。
でも、もし今何か少しでも悪いほうに変動したら命がもたないということ。そのときは我々はあなたの命を優先します。」
とか
義母「こんなに薬を沢山いれていたらまともな子はうまれない」
(多分「産む」という頑なな私の気持ちを諭し私の命を優先させたかったのだろう)
主治医 「命をとりとめても、透析・脳梗塞のリスクがある。」
という絶望に近い会話たちだけ。
体勢を変えようとすると、
からだの中からチャプンと音がする。
血管からもれた水分が波立つ音。
それと同時にとまらない咳、呼吸困難、心電図異常
上をみることから逃れるすべがなかった。
更に、両腕には点滴。
口には酸素マスク。
胸には心電図で、
少しでも異常があるとデーターがつながっている
ナースステーションからナースや主治医が飛んでくる。
ちょっと咳き込んだだけなのに、
何度も何度も血相を変えてやってくる。
自分の意志ではどうにもならない「生き死に」
トイレも食事も管が勝手にやってくれてるのだから
私はただただそこに寝ているだけ。
そこになんの意味があるのだろう。
時々自分の意志が
「生きる」ことから「肉体」から離れていこうとする。