パラリンピックも終わり、しかも、急に涼しくなってしまい、H&T係長としても「ああ、夏が行ってしまったな」と少々感傷的になってます。しかしながら、パラリンピックのアスリートたちからはたくさんの勇気を頂いたので、元気だけはあります。

 

ということで、元気だし、今回は相続の承認放棄を見ていきましょうね。

 

参考:相続界曼荼羅(相続の主要テーマ)
※今回は下の図のピンクのテーマです(ちなみに赤はすでに学んだテーマ)。

 

相続とは、亡くなった人(被相続人)の権利(例えば預貯金)も義務(例えば借金)も丸ごと引き継ぐことを意味します。このことは包括的な承継、すなわち、包括承継(ほうかつしょうけい)といいます。

 

借金も引き継ぐなんて、当然、嫌だと思う人も出ます。そこで、相続人には次の3つの選択肢が与えられています。(民§915①)

 

選択肢

意味

備考

相続の放棄

相続を全面的に拒絶

 

単純な承認=単純承認

相続を全面的に受け入れ

 

限定的な承認=限定承認

プラスの財産の範囲内でマイナスの財産も受け入れ

 

 

このテーマでも法的安定性の確保は重要視されます(早期確定。すなわち、いつまでも法的関係が確定しない状態にしておかない)。

 

・承認と放棄は、自分のために相続が開始したことを知った時から3か月(=熟慮期間)内にしなければならない。(ただし、家裁による延長の例外はあります)

 

・承認と放棄は、まだ熟慮期間内であっても一度したら撤回(将来に向かって効力を消滅させる)は不可能

 

一方、取消(過去にさかのぼって効力を消滅させる)は可能ですが、追認(取消し得るものを、もう取り消せないよう確定する行為)できる時から6か月間、または、行為時(承認や放棄)から10年で時効により消滅です(※)

 

※通常の取消(民法総則の詐欺強迫や未成年など制限行為能力者の行為の取消し)だと追認できる時から5年、行為時から20年でしたね。(民§126)

 

9月に入りちょっとアンニュイな由香ちゃん/山形県出身)

由香:彼に“お前のこと放棄する”って言われたの。私、もう悲しくて・・・
H&T係長:安心して、由香ちゃんアップあなたを泣かせる人はこのH&T係長が容赦しませんから。

 

放棄、単純承認、限定承認、それぞれに固有のポイントを以下に記しておきますね。

 

放棄: すでに学んだ通り、放棄をすると子供さんやお孫さんは代襲相続できません(この点、相続欠格や相続の廃除の場合と違うので注意してくださいね)。

 

単純承認:一定の理由(相続財産の処分、熟慮期間の経過、放棄や限定承認したにもかかわらず財産を隠したり消費するなど背信的行為をした等)があると、本人の意思とかかわりなく単純承継したとみなされます。(民§921①~③)

 

限定承認:限定承認では債務はあくまでも相続する財産の限度で負担します。しかし相続人が複数いる場合、限定承認は全員が共同でしなくてはなりません。

限定承認の結果、±でマイナス分(負債、債務)が超過した場合でも責任を負わなくて済みます。プラスが残れば相続できます。

 

●次回は、財産分離と相続人の不在、できれば二つ一緒に見てしまいましょうね。

 

“ねぇ、朝ごはん何が食べたい?パン、それとも、ごはん?”(By由香/山形県)
H&T係長のアドバイスでV字回復した由香ちゃん

 

●ヘッドライトとテールライトHead & Tail

https://ameblo.jp/headtail/

こちらもどうかよろしくお願い致しますね!!!

●日本政府を通じた東日本大震災義援金受付