男子サッカーは、日本の銅メダル獲得ならず、残念でした。しかし、Head&Tail係長、頑張ったサムライ達に心から拍手を送りたいと思います。

 

“勝っても負けても精一杯やった人が勝ちでしょ、おめでとう、おサムライさんたちサッカードキドキ日本”(By 由香)

 

さて、今回は成年後見人グループの最後、任意(にんい)後見人とその制度(任意後見制度)を見ておきましょう。

 

任意後見制度とは、ご本人が将来判断能力を失った場合を想定しあらかじめ後見してもらう人と契約を結んで備えておくものです。
 

超高齢社会にある現代にあっては、とても重要な意味を持つ制度です。

 

これまで見て来た成年後見人グループ、(狭義の)成年後見人、保佐人、補助人は、家裁の審判があって開始しました。民法を根拠とした法定の後見人たちです。

 

これに対して、任意後見人は、本人の自由な意思に基づいて開始する、任意の後見人です。根拠となるのは本人と任意後見人(になる人)とで結ばれる「任意後見契約」という委任契約です。
※制度の根拠となる法律という意味では、民法の特別法である「任意後見契約に関する法律」です。

 

任意後見制度の根底に流れるのは、①本人の自由意思の尊重、同時に、②本人保護のためには国によるコントロールも必要という発想です。
 

任意後見契約は公正証書により作成し、公証役場による登記(嘱託登記)を受ける必要があります。
 

また、任意後見契約は、任意後見監督人が選任されて初めて発効(任意後見の開始)します。

 

言葉の窓:公正証書による契約、公証役場、公証人

 

公正証書による契約というのは、公証役場の公証人(公務員)が国としてお墨付きをつけた契約を指し、公文書となります。ちな民、公文書はそうでない文書(私文書)より色々な局面でパワーがあります。

 

公証役場は、法務省所管ですが、法務省の組織の一部である法務局(いわゆる登記所の機能もその仕事の一つ)ではなく、公正証書(公務員である公証人が内容を証明する書類)を作成する国(市町村でない)の役所です。

 

公証役場にいる公証人には、通常、法律に知見豊かな元裁判官や検察官、(弁護士)などの方が法務大臣から任命を受けます。

 

 

【任意後見契約発効の条件】

先述の通り任意後見とは、ご本人が将来に備えるための制度です。本人が元気なうちに任意後見契約を結びはしますが、ぴんぴんしているのに契約が発効するわけではありません。

 

契約が発効するまでは、発芽しない休眠中の種子みたいな状態です。任意後見契約の相手方、すなわち、将来の任意後見人も、まだ、任意後見受任者と呼ばれます。

 

そして、あたかも種子が水分、温度、酸素など一定の条件を備えた時発芽をするように、任意後見契約も、一定の人たちが、家裁に対して「そろそろ後見が必要な時期が来た。任意後見監督人を選任してください」と頼み、選任がなされて初めて発効(任意後見開始)します。

 

任意後見監督人の選任を申し立てできる一定の人たちとは、以下の4者です。
1)本人(任意後見契約の本人)
2)配偶者
3)4親等内の親族
4)任意後見受任者(のちの任意後見人)

※なお、本人以外からの申し立ての場合には本人の同意が必要です(ただし、本人が意思表示できない場合を除く)。

 

”オッス!久しぶり!元気してた?”(いるとうるさく、いないと寂しいイブちゃん)

 

【通常の委任契約との関係】

ところで、この任意後見契約、基本性格は委任ですが、次のように本人保護のためのコントロールの必要性から、一般的な委任契約とは違う点もあります。

 

●公正証書による契約(不要式契約でなく要式契約)

通常、民法に定めのある契約(売買契約、委任契約など「典型契約」)の成立には書面作成など一定の方式は不要です。しかし、任意後見契約たる委任契約は、公正証書による契約とする必要があります。中身が適切か、公証人がおおやけの立場でちゃんと吟味するのですね。

 

●受任者(任意後見人)を監督する大目付の存在

一般的な委任契約では、本人の判断能力がなくなっても終了しません(受任者の方が後見開始の審判を受けた場合、委任は終了です(民§653)。しかし、委任者側が後見開始の審判を受けても委任は終了しませんでしたね)。

 

しかしそうなると、受任者は何のコントロールもなしに、任意代理のような権限を行使し続けることができます。でもこれでは、本人保護の観点から危険性もあります。

 

そこで、家裁(国)の機関が選ぶ大目付、任意後見監督人のお出ましです。任意後見監督人が選任されて初めて契約が発効する形になります。弱い立場の本人をしっかり保護しようという強い意思がうかがえます(キャっ素敵♡)

 

※なお、任意後見監督人には、親族よりも、第三者(弁護士、司法書士、社会福祉士、税理士、または法人等)が選ばれる傾向にあるようです。

 

【法定後見との関係】

任意後見契約が登記されている間は、家裁は通常、法定後見開始の審判等をせず、本人の利益のために特に必要があると認められるときに限り行います。本人の意思>家裁(国)の審判、本人意思の尊重ですね。

 

ちなみに、任意後見監督人が選任されていても、法定後見開始の審判等がなされれば、任意後見契約は終了します。

 

参考情報として厚生労働省ウェブサイトを引用しておきますね。

(成年後見人制度の全般をつかむには)

 

(特に任意後見人についてもっと知るには)

 

●次回、扶養を見終えてから、親族法の宇宙を離れ、相続法の宇宙へと進んで参ります。

 

“お疲れ様でした。一杯やりましょうね“編集後記に代えて(By ワープして10年前から出現したH&T係長)

 

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