01.悲嘆の門 上巻 中巻

 

[上巻]

大学生の三島孝太郎は高校時代のフットサル部の先輩に誘われ、サイバーパトロール会社「クマー」でのバイトを始める。

ある日、全国で起きる不可解な殺人事件の監視チームに配属され、同僚の森永大とともに調査を進めていくと、百人町でホームレスが失踪しているという情報を森永がつかむ。

ホームレスが誰かに消されているのではないかと睨んだ森永は百人町へ単身調査へ向かい、そのまま消息を絶ってしまう。

 

一方、百人町に住む元警察官の都築は町内会の新年会でビルの屋上にあるガーゴイル像が動いているとの話を聞く。

見間違いではと思いながらもビルの屋上に調査に行った都築は元々あった像が壊され、別の像が鎮座しているのを発見する。しかし、明らかに動くはずのない像を前に、動いたというのは見間違いであると判断する。

目撃者の女性に像について報告をすると、女性は夜になれば動くかもしれないといい、夜通し像を見ていると宣言する。

その晩、都築は女性から窓の外に何かいるとの電話を受ける。

次の日、その女性が心筋梗塞で倒れたと聞き、都築はビルの屋上にあるガーゴイル像を一晩中見張る計画を立てる。

 

森永を心配した孝太郎は百人町へ赴き森永の行方を探す。

そこで、森永が動くガーゴイル像の情報を得たことを知る。

森永の失踪とガーゴイル像には何か関係があるのではないかと思った孝太郎は、一人ビルの屋上でガーゴイル像を調査することを決める。

 

ビルの中で偶然にも出くわした都築と孝太郎は屋上で人外の存在「ガラ」と出会う。

 

[中巻]

日常に戻った孝太郎は森永を取り戻すためにガラと会う手段を模索する。

そのなかで他の領域について知る存在「狼」と出会い、常識外の力を目にする。

 

そこでガラを追うことをあきらめかけていたとき、新たな殺人事件が発生し、「クマー」の社長が殺されてしまう。

犯人を見つけようと躍起になる孝太郎の前にガラが現れる。

人の欲望を集めているというガラに取引を持ち掛け、人の言葉を視認できるという能力を手に入れた孝太郎は犯人を追い込み、ガラの力で消滅させてしまう。

 

「おまえは後悔する」

そう言うガラの言葉に従わず、正義と復習に燃える孝太郎は、連続殺人犯を見つけ出すという決断を下す。

 

下巻に続く

 

本作は宮部作品によく見られるような実際に起きている事件と、ファンタジー的な世界観が入り混じり展開していく内容になっている。

上巻を読んでいる段階では、ガーゴイル像と実際に起きている殺人事件、失踪事件、これらの3つにはほとんどつながりがないように思えていたが、中巻では「ガラ」という異形の存在と失踪事件、孝太郎と「ガラ」、孝太郎と殺人事件、というようにそれぞれがつながり始め、物語の中で割と複雑に入り混じり始めているのを感じた。

 

個人的には上巻の内容のような殺人事件と失踪事件を軸に話が展開していくものだと思っていたこともあり、中巻に入って唐突にファンタジー要素が多く入ってきてしまっているのがすこしもやもやする印象を抱いた。

下巻ではどのように物語が展開していくのかが楽しみである一方、ファンタジー的な要素が多くなってしまったら残念だな、と思ってしまう。

 

言葉の世界から来たという「ガラ」は言葉自体には「善」と「悪」というものは存在しておらず、それを発する人間が善悪を勝手に判断している、という。

 

本作は「人間の闇」と「言葉」がメインテーマになっているのではないかと思う。

今後の展開が非常に楽しみな一冊(二冊)。