今、なぜ「東洋」を見つめ直すべきなのか?

 

私たちの暮らしの中に、ふと息づく東洋的な考え方。

それははっきりと形を持たないけれど、確かに私たちの価値観や行動に影響を与えています。西洋的な合理性や効率性が支配する現代社会で、私たちは行き詰まりを感じることがあります。

そんな今だからこそ、私たちは「東洋」の思想に目を向ける必要があるのかもしれません。

いま世界は大きな移行期にあり、西洋中心の社会の中で育ってきた私たちが、これからどう生きていくのか。

そのヒントは、表には出ていなくても、私たちの「裏」に流れている東洋的な考え方にあるのかもしれません。

 

 

東洋と西洋を分ける「境界線」

 

東洋と西洋の違いを考えたとき、やはり「境界」が気になります。

地理的に考えると、ユーラシア大陸の東の端は日本、西の端はイギリスです。この視点から見ると、アメリカ大陸は東洋でも西洋でもない、少し異質な存在感が見えてきます。

私自身は、インドを一つの境目だと考えています。
北インドにはヨーロッパ的な要素が、南インドにはアジア的な要素が色濃く残っており、まさに東西文化が交錯する場所です。

 

 

哲学と思想の違い

 

西洋では「哲学」と呼ばれるものが、東洋では「思想」として語られることが多い。

哲学は論理を積み上げて体系化されたもので、どうしても実生活から離れがちです。

一方で、東洋の思想は暮らしや自然、風土と密接につながり、実生活の中から生まれてきたもののように思えます。

言い換えれば、思想は「考え方の癖」ともいえるかもしれません。

 

 

自然との共生

 

西洋では自然は「与えられたもの」として、人間と切り離して考えられる傾向があります。

それに対して東洋は「人間より前からあるもの」として自然をとらえ、共存する感覚を大事にしてきました。

この違いは、倫理観や生き方にまで影響しているように思います。

 

 

「長い時間軸」で物事を捉える

 

現代社会は、短期的な成果を求めがちです。

しかし、東洋的な視点は物事を長いスパンで捉えることを重視します。
歴史を単なる過去の出来事としてではなく、未来につながる時間軸の中で捉え直すことで、初めて見えてくる本質があるのではないでしょうか。

例えば、日本の里山文化は、何世代にもわたる人々の知恵と努力が積み重なって形成されたものです。
それは、ただ昔のやり方を踏襲するのではなく、自然や環境の変化を長い目で見て、持続可能な形で営みを続けていくという東洋的な時間感覚の表れといえるでしょう。

 

 

日本人の「思い上がり」を問い直す

 

最後に、私たちは

「日本は優れている」
「昔の人より今の人の方が賢い」

といった思い込みから一度離れてみる必要があります。


この思い込みは、日本の発展を阻む要因にもなり得ます。

これは西洋的な価値観の影響なのか、それとも日本人の元々の性質なのか。今一度、立ち止まって考えるべき問いです。

 

 

東洋と西洋を比較することは、単なる学術的な探求ではなく、私たちがどう生き、どう社会と関わっていくかを考えるための視点を与えてくれます。

忘れかけていた「東洋」の思想を掘り起こすことで、より豊かで持続可能な未来へのヒントが見つかるかもしれません。

 

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。