トレーダーの間では、よく相場のことを「ランダムウォーク」と表現することがあります。
Randam(ランダム)とは日本語では、無作為な、乱雑な、規則性が無いなどの意味合いで使われています。
一方、Walk(ウォーク)は、一般的には「歩く」と訳されますが、ここでは(相場の)変動や値動きのことを意味しています。
つまり、ランダムウォークとは「相場の変動とは本来、不規則、無秩序、非連続的なものであり、基本的には将来の値動きを予測することは困難である」とのニュアンスが込められた言葉です。
しかし「どうせ相場はランダムウォークなのだから・・・」と簡単に諦めてしまっては、トレードで利益を得ることも、トレーダーとして成功することもできません。
米国のウォール街やイギリスのシティなどの金融街では、年間に数億円や数十億円もの大金を稼いでいる敏腕トレーダーがゴロゴロと存在しています。
また、近年では国内においても、自分で売買判断を行う裁量トレード、「EA」と呼ばれている完全自動売買システムや有効な売買サインを発する優良なサインツールなどを利用して億単位の利益を手にしている個人トレーダーの存在も、決して珍しいものではなくなってきました。
確かに「相場の変動は基本的にはランダムウォークである」との格言は、相場の本質の一面を衝いていますが、全面的に正しい訳ではありません。
そうでなければ、金融街で毎年のように多くのトレーダー達が巨額の利益を得ていることの説明が付きませんし、そもそも「専業トレーダー」という職業自体も存在しないでしょう。
私の経験則から解き明かしますと、相場全体の85%程度はランダム性が感じられる動きとなっており、残りの約15%は明瞭で分かりやすいトレンド(一方向へ動く傾向が強い状態)の発生により、ランダム性が著しく減少または消失している局面が出現している、と言えます。
投資の世界では「ポジポジ病」という少しコミカルな言葉があります。
このポジポジ病とは、「深く考えもせずに、すぐにポジションを持ってしまう人」「方向性がはっきりとしない相場状態であるにもかかわらず、簡単にポジションを取ってしまう人」のことを揶揄的に表現する時に使う言葉です。
つまり、病的に不必要なポジションを保有し過ぎてしまう、という意味です。
軽率に持ってしまったそれらのポジションの多くは、結果的に大きな損失に繋がってしまうことは容易に想像できます。
初心者の方やトレード経験が少ない方が陥りやすい「最大の敗因」とも言えるかも知れません。
ランダム性が感じられる相場環境の時には決して手を出さず、通貨ペアや時間帯を厳選した上で、明確なトレンドが発生している局面(ランダム性の消失)だけを的確に捉え、そのタイミングで同方向に果敢にポジションを取っていくことが、トレードで成功するためのコツであり要諦(ようてい)であると言えます。
今後、チャートを開いて値動きをモニタリングされる時には、方向性がはっきりとしている局面であるのか、それともランダム性が感じられる局面であるのかを、「二者択一」的に見るように意識するだけでも負けトレードは格段に減少し、「勝率アップ」「収益アップ」に繋がる筈だと断言できます。