明治二年には関所が無くなり往来は自由になるが今度は陸の道路整備が進んで「渡し舟」そのものが不要・・という時代になる。民営化された渡し船は順次末裔に受け継がれ今も続くと聞く。その昔は江戸城の守備防衛という視点から江戸川には一切橋を設けてはならぬというお達しがあり、指令が出ると情況に応じて「船人足」が船を連凧の様につなぎ、人馬を渡した歴史もある 。
地名にある「船橋」はその名残りでもある。
「矢切の渡し」が全国に知られたのは、時代が下がって、明治の晩年、伊藤左千夫の『野菊の墓』の影響が大きいと言われている。昭和の晩年には石本美由紀と船村徹氏のコンビで生まれた演歌、ご存知「矢切の渡し」はその名を更に広めたようだ。江戸川の水が温む春になると船は約150mの川幅を往復し情緒ある渡し舟は訪れる人を今日も和ませている。ヒバリやユリカモメの声は『残したい日本の音・風景100選』にも選ばれている。松戸の渡し近くには「西蓮寺」という寺があって「野菊の墓」の一節が刻まれた碑が残る 。
県民の日である・・県下の各催事会場やコンサートホールでは「準備万端整いました・・」という表情だ。野球はロッテのマリンスタジアム・・サッカーはジェフの親子教室・・九十九里浜ではビーチレース・・茂原市では和太鼓のヨサコイ・フェスティバル・・南房館山では潮騒コンサートなどがスタンバイしているらしい。君津市では歴史を誇る「松本ピアノ」が明治~昭和へと引き継がれたピアノ製作の紹介や演奏プランが予定されているとか・・。ディズニーランドでも特別割引があるらしい。「ち~ばくん」もさぞ多忙な一日になることだろう 。
夏屏風を隔てた窓の外・・昨夜来、庭先を洗うように降った雨の悪戯か、山紫陽花の花弁が露に膨らんで殊更に美しい。明日の天気予報は概ね晴れ・・梅雨の中休みという処だろうか・・潮の匂いが広がる房総の夏・・「県民の日」へのいざないである。