発達障害を理解しようとする前に
私が発達障害や特別支援教育について学び始めたころは、本当に専門書も少なかったのですが、今では物凄い数の専門書がありますね。
きっと、初めての方は、どれを手に取っていいのかわからないかもしれません。
発達障害…自閉症スペクトラム・AD/HD、LDなどが代表的ですが、それぞれがかぶっている場合も多くあります。
また、代表的な特質の他にもいろいろな困難さを抱えている場合があります。
例えば、一例として、AD/HDだと不注意・衝動性・多動性の障害だと言われていますが、他にも体のバランスの悪さや不器用さもあったりします。
多動な子だと、活発に動き回っていて粗大運動(体を大きく動かすスポーツ系の運動)が得意であったりするのに、意外と手先が不器用だったり、手と足が別の動きをするお遊戯なんかは苦手だったりします。
私が接した中学生でAD/HDの特徴を持った子がいて、彼はラジオ体操で腕を真っすぐに伸ばすのができていませんでした。
周りから見るといい加減にやっているように見られてしまうので、体育の先生もまじめにやっていないと叱責していたのですが、彼は、自分の腕がどんなふうになっているのかわかっていないのだと思いました。
そのことを体育の先生に伝えると「いや、あいつは野球だってやっている。ふざけてやっているだけです。」と言い切られてしまいました。
この子の持つボディイメージの問題は、脳が自分の体のパーツがどう動いているかを捉えきれていないことによるものです。感覚統合というもので、作業療法士の方の分野になるので、体を動かすという体育の先生でもこちらはご存じなかったと思います。
けれど、発達障害の子の養育にかかわる方には、このように、代表的な特質だけではないものがたくさんあるということを知っておいてもらいたいと思います。