オピオイド(麻薬性鎮痛剤)による疼痛のコントロールは次のような指針がある。(タイトレーション) 

痛みがあり、眠気がない → 増量 
痛みがなく、眠気がある → 減量 
痛みがあり、眠気もある → オピオイドスイッチング 

今、痛みをレスキューで対応できない状況であるが、眠気と倦怠感の違いは微妙なところだ。 

現在の疼痛への対応は、定期オピオイドがフェントステープ、レスキューがオキノームである。 
「WHOの三段階除痛ラダーに基づいた薬物療法」の「第三段階の中程度から高度の強みの痛み」に対する「強オピオイド」である。 
強オピオイドには、モルヒネ、オキシコドン、フェンタニルの3種類がある。 
モルヒネとオキシコドンは、いずれもケシの花から抽出されるアヘンを原料としており、脳やせき髄に存在するμオピオイド受容体に作用する。 
フェンタニルは、合成のオピオイドである。 

腎ろうで片側の腎臓しか機能していないため腎機能が低下した妻には、モルヒネは副作用の発現リスクが上昇するため適用できない。 
フェンタニルは内服液がないため自宅療養の場合には、定期オピオイドがフェンタニル、レスキューがオキシコドンの選択となる。 
フェンタニルは、高用量の持続皮下投与ができないことや初めてのオピオイドでは使用できないデメリットがある。 
モルヒネ、オキシコドンのデメリットには、消化管の運動抑制による便秘、イレウスがある。 
(神経障害性疼痛や体動時痛の場合は、オピオイドは効きにくい) 

薬剤としては、モルヒネが9種類、オキシコドンが3種類、フェンタニルが6種類ある。 
注射液や内服液、錠剤、貼付剤などがあり、世界的な基本薬で長年使用されているモルヒネがいちばん種類が多く坐薬もある。 
効果発現時期や効果持続、血中濃度到達時間(濃度がピークとなる)及び半減期(効果が半分となる)は薬剤によって異なる。 
たとえば、モルヒネ(錠剤)やオキノームは効果発現が10分後、15分~30分後と早いのに対し、フェントステープの場合は数時間かかり、オピオイドスイッチングする初期は他のオピオイドも投与する必要がある。 
フェンタニルのフェントステープは、持続時間が24時間(貼り換え頻度)と長く、血中濃度到達時間は、20.1±6.1時間、半減期も27.1±14.1時間と長いため効果は安定していると考えられる。 

最初はオキシコドン(オキシコンチン)を疼痛に使用していたが、効きがあまりよくなかったためフェントステープに変えた。 
フェントステープで疼痛がコントロールできるようになったので、フェンタニルがうまい具合にに適合しているのだろうと思う。 
今の痛みは、突出痛というよりも持続痛がコントロールできていない状況なので、フェントステープを6mgから増量することを考えている。 

薬物療法の第四段階にはメサドンがある。 

以下のサイト等にオピオイドの等力価換算表と各投与量に対するレスキュー1回量がまとめられている。 
http://saiseikai.hita.oita.jp/contents/wp-content/uploads/2015/03/opi.pdf