○フーダニット、ハウダニット、ホワイダニット
事件の解明に必要な要素である犯人、犯行方法、動機のうち、どれの解明を重視するかによる分類。この3つの分類は、推理小説の興味の対象が、単なる犯人当てからトリックの面白さへと移り変わり、そして社会派へつながる動機重視に変わっていく、という推理小説の発展史と重なる。

フーダニット (Whodunit = Who (had) done it)
 誰が犯人なのか
ハウダニット (Howdunit = How (had) done it)
 どのように犯罪を成し遂げたのか
ホワイダニット (Whydunit = Why (had) done it)
 なぜ犯行に至ったのか

○クローズド・サークル
なんらかの事情で外界とは隔絶された状況下で事件が起こるストーリー。過去の代表例から「嵐の孤島もの」「吹雪の山荘もの」などとも呼ばれる。アガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』が代表作。

孤立した環境下ということで現実的な警察機関の介入、科学的捜査を排し、また容疑者の幅を作中の登場人物に限定できることから、より純粋に「犯人当て」の面白味を描ける利点があり、本格派(上述)志向の作者や読者から好まれる傾向がある。一方で探偵役やワトスン役も含めて、登場人物はみな、警察機関の保護を頼れないまま殺人犯(かもしれない人物)と過ごすことになり、そうした心理サスペンスを盛り込んだ作品も多い。

「犯人が自分の犯行に気付いた相手をやむをえず殺害することになる」などの理由付けによって、連続殺人事件へ発展する場合が多い。その場合、犯行が進むにつれ、生存者が減少し、その中に犯人がいる(はずである)こともサスペンスを呼ぶ。

逆に言えば犯人にとっては「容疑者が限定される状況」で犯行を繰り広げるということであるため、なぜわざわざそうした危険を冒すのかという批判もあるが、それにいかに「合理的な動機」を与えるかもこのジャンルの醍醐味といえる。ストーリーによっては途中で殺害された人間の中に自殺した犯人がいて、その後の犯行は機械的なブービートラップなどにより行われた、といったものもある。

“誰が犯人なのか”も醍醐味の一つであるが、クローズド・サークル最大の特徴は大きな恐怖やスリル感であるために、それを如実に表すことのできる映画やテレビドラマなどの映像作品でも多用される。また、「素人探偵が警察を差し置いて犯人探しに取り組む」ことの理由付けが容易であることもあってか、「金田一少年の事件簿」や「名探偵コナン」など、少年探偵の活躍するコミック作品にも多く見られる。

○パズル・ミステリ
事件そのものの推理よりも暗号やパズルなどの謎解きに重点が置かれるもの。論理クイズ(ロジックパズル)をそのまま小説にしたような作品も多い。そのため、舞台設定や状況は謎解きのオマケで重要な要素ではなく、謎を成立させるために非現実的なことがしばしばある(たとえば、1人は必ず嘘をつき、もう1人は必ず真実を話す双子など)。アイザック・アシモフの『ユニオンクラブ奇談』シリーズが代表的である。

なお、英語圏での分類である「パズラー(Puzzler)」「パズル・ストーリー(Puzzle Story)」は、ここでいうパズル・ミステリではなく、日本語での分類に則せば「本格」に近い(しばしば同一のものと見なされる)。

○倒叙(とうじょ)
通常の推理小説では、まず犯行の結果のみが描かれ、探偵役の捜査によって犯人と犯行(トリック)を明らかにしていく。しかし倒叙形式では、初めに犯人を主軸に描写がなされ、読者は犯人と犯行過程がわかった上で物語が展開される。その上で、探偵役がどのようにして犯行を見抜くのか(犯人はどこから足が付くのか)、どのようにして犯人を追い詰めるのか(探偵と犯人のやり取り)が物語の主旨となる。また、先に犯人にスポットが当たることにより、一般的に尺が短くなりがちな動機の描写において、何故、犯行に至ったのかという点を強く描写することが可能である。さらに映像作品では「大物俳優に犯人役を演じさせたくても、下手をすれば配役だけで犯人がわかってしまう」、連続ドラマでは「俳優の演技に影響しないようにするために、(真相が明らかになる)最終回まで犯人が誰かを俳優達に明らかにしないことで、犯人とされた登場人物の役の俳優の演技が最終回とそれ以前とで矛盾が生じる」というジレンマを解決できる。英語ではinverted detective story(逆さまの推理小説の意)と呼ばれる。

オースティン・フリーマンの短編集『歌う白骨』でこの手法が初めて用いられた。ただし、ポーも倒叙ミステリとしても読める『黒猫』や『告げ口心臓』を著しているなど、推理小説そのものの歴史と同様に、その最初をどこに置くかについては、諸説ある。

1920年代から1930年代に全盛期を迎え、なかでもフランシス・アイルズ(アントニー・バークリー)の『殺意』、F・W・クロフツの『クロイドン発12時30分』、リチャード・ハルの『伯母殺人事件』は倒叙三大名作と呼ばれた。テレビドラマ作品では『刑事コロンボシリーズ』や『古畑任三郎シリーズ』などがある。

○安楽椅子探偵小説
探偵が事件現場に赴くことなく、情報として与えられた手がかりのみで事件を解決する作品を安楽椅子探偵(アームチェア・ディテクティブ)という。構造的にメロドラマ要素を描く必要がなく、論理的推理に特化することができるため、推理小説の極北とも言われるが、厳密にデータのみで勝負している作品は少ない。バロネス・オルツィの「隅の老人」シリーズ、アイザック・アシモフの「黒後家蜘蛛の会」シリーズ、レックス・スタウトの「ネロウルフ」シリーズなどが代表作。

○ファンタジー/SF
魔術師や超能力者が存在する状況、死者が甦る状況、宇宙の果てを航行する宇宙船の中、人類と異なる思考体系の知性体との共同社会など、現実世界ではありえない状況・環境を許容する世界観の中で発生した事件について、その世界観の下で論理的な捜査と考察を行えば推理小説になりうる。ロボットの殺人を禁じたロボット工学三原則を逆手に取ったアシモフの『鋼鉄都市』がSFミステリの好例である。ファンタジーミステリとしては、密室で魔法使いが殺されたという事件を扱ったランドル・ギャレットの『魔術師が多すぎる』がある。

○サスペンス
読者の不安感を煽るもの。スパイ小説も広くはここに含まれる。必ずしも推理小説であるとは限らない。ウィリアム・アイリッシュ『幻の女』など。

○スリラー
サスペンスよりも恐怖感を煽るもの。ホラー小説も広くはここに含まれる。サスペンス同様必ずしも推理小説とは限らない。

参照:Wikipedia「推理小説

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○日本国内
年間最優秀作品の表彰
・日本推理作家協会賞
・本格ミステリ大賞
・翻訳ミステリー大賞
・大藪春彦賞(推理小説に限らない)

個人に対する表彰
・日本ミステリー文学大賞

公募新人賞
・長編
 ・江戸川乱歩賞
 ・横溝正史ミステリ大賞
 ・鮎川哲也賞
 ・日本ミステリー文学大賞新人賞
 ・『このミステリーがすごい!』大賞
 ・ばらのまち福山ミステリー文学新人賞
 ・アガサ・クリスティー賞
 ・松本清張賞(募集は推理小説に限らない)
 ・メフィスト賞(募集は推理小説に限らないが、推理小説の受賞が多い)
・短編
 ・小説推理新人賞
 ・ミステリーズ!新人賞
 ・北区 内田康夫ミステリー文学賞

参照:Wikipedia「推理小説
○探偵役
推理小説には、いわゆる「名探偵」が登場して事件を解決することが多いが、専業の探偵の登場しない推理小説も多い。このため、警察官や検事、弁護士なども含めて、推理小説における謎を解決する人物の総称として探偵役などのようにいう場合もある。特にその探偵役が主婦や学生などの場合は、(いわゆる「日常の謎」派の探偵をのぞき)「素人探偵」と呼ぶことがある。

○その他
・密室
・密室殺人
・ダイイング・メッセージ
・アリバイ
・クローズド・サークル
・見立て殺人
・トリック

参照:Wikipedia「推理小説