ある女性との出会い
ある年のクリスマス
劇団の稽古場として使っていた公民館のクリスマス企画でサンタクロースに扮装して各家庭にプレゼントを配りに行くというのがあった
うちの劇団にも依頼が来たが座長はそんなことはやらないタイプ。
僕が参加することに。
いくつかのグループにわかれて1グループ5軒くらいのお家を回った。
1軒目のおうち
アンケートには
『娘が心臓の病気で入退院を繰り返しいてあまり長居して欲しくない』
『治療頑張る事をサンタと約束してほしい』とあった
正直、ぼくは『なんか最初から気が重いなーはやくプレゼント渡して帰ろー』って思ってた
家に到着し、ピンポンを鳴らしてドアを開けた瞬間、『わーサンタさんだーー』って満面の笑みで駆け寄ってくる。
ちゃちいコスプレをした僕をかキラキラの瞳で見つめている。彼女の目には本物のサンタにうつっているんだろう
見た目はなんら他の女の子とかわらない3歳の女の子。
『サンタさんと治療頑張るってゆびきりしよーっか』ていうと
『うん!!』と満面の笑顔で僕から視線を外さず小さな指で僕の心臓を鷲掴みにした
こんなサンタでも子供達に希望を与えることができるんだ!
なんか心の底から湧き上がるものを感じた
貸金業界は規制も厳しくなり会社の将来性に不安を感じていたこともあり、勤めていた会社を退職し、認可保育園で助手として働く事にした