まだ読んでない方は見ないでね。
サブタイトル:人間と魔性の馴れ合いに鳥肌。
~私のマイダードは名前だけの登場でした の巻~
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手に取った瞬間「薄っ!!」と呟いた読者は、全国で840人は下らないと思います。もしかして、今までの中で一番薄いんじゃないか????
それもそのはず、今回は巻末漫画や使い回しのおまけページがなかったんです。
水増しなしで驚きの薄さ!!洗剤のCMかよ
18巻から少し間が空いているので多少は内容が濃くなってるかと思ったら、全くそんなことはありませんでした。
予告通り浮城の面々が出てきはしました。でも登場人物がことごとく「お前は何を言ってるんだ」状態です。少なくとも私が好きだった彼らじゃない。台本を与えられてそっくりさんがしゃべってる感じです。
破妖キャラ全員記憶喪失で、今までの出来事を忘れてるんだ と思わないと話の辻褄が合いません。
マイオルは出番がなかったので穢されずに済みましたが、ジブリに怒られるんじゃないか的な発言しか印象に残らない鎖サ、少年少女らしい品が失われた邪リ、そんな二人と馴れ合うスラヴィ、相変わらず緋陵姫に洗脳されてるターラちゃん。
もはや人間らしい感情を持っているのはリメラトーン(弟)だけになってしまいました。
この巻の中で、唯一彼だけは正常です。
鬱金1を読み始めた頃は、まさかトーンくんに癒される日が来るとは思いませんでした……。
村を魔性に滅ぼされて魔性を憎むトーンくんの気持ちは正当で、これが「まともな人間の反応」です。彼だけは、なしくずしに魔性に洗脳されたりはせず、ターラだけを案じ、そのおかげでキャラもぶれず、一貫しています。その怒りの感情を否定して、まるで聞き分けのない男の子であるような演出をするのはいただけません。
彼もまた洗脳ターラちゃんによって説き伏せられ、否応なしに魔性と馴れ合う道を選ばされるのでしょう。
ターラ、トーン、マイダード、アーヴィ……その他もろもろ。
正しいことを言っているキャラが暴力で押さえつけられたり、頭がおかしい扱いされる展開は、読んでいて非常に辛いものがあります。
『せかいがたいへんなときなんだから、かこにましょうにしいたげられたうらみはわすれて、ましょうときょうりょくしてひなをたおしましょう』
理屈としてはわかるんですが、それなら今までのあれやこれは要らなかったよね。いまさらそんな後出しジャンケンをするには、闇主もラスもあまりにも他人の気持ちをないがしろにし過ぎました。
残酷描写にページを割いてじっくりたっぷり書いて、読者の魔性に対する嫌悪をあおった上で、その嫌悪が消化されないのでは不満がたまるばかりです。初期の破妖は、悪さをする魔性がいて、酷いことをする描写があって、それをラスがズバッと斬ってくれていたからよかったのに……。
人間が都合よく、大切な人を殺されてもケロッとしていたり、恨みを乗り越えたり押し殺す描写があるわけでもなく、「記憶すっとんでるの?」と聞きたくなるくらいの忘却っぷりで天敵に接していたり、過去の人間関係が全部白紙になっています。
身内を無残に殺された人間の訴えはスルーされ、散々酷い目に遭わせておいて、結局人間が全部悪い、で一方的に反省を強いるラストはいかがなものでしょうか。
今の展開はよほど自虐的な人でなければ楽しめないと思います。
「全部なかったことにする」というのは、これまで全巻揃えてきた読者を侮辱する行為だということを、前珠先生にはよーくご理解いただきたい。
破妖は『鬱金の暁闇』だけの話ではありません。『漆黒の魔性』から続いている話です。
どうしても今の展開を正史にしたいなら、『破妖の剣・第二部』として、翡翠までとは別作品だと言う事にして欲しい位です。
肝心の闇ラスは……。
ラスの思考がまたループしている。
最悪、闇主と戦う覚悟もあったって?
そうだったんですか(棒)
もうヒロインの言うことが全く信用できない。