前編からの続きです。
つ、ついにその時が来ました。大関社長との対談の時間です。
ブルーベリー界の超有名人が目の前に!
自分みたいなブルーベリー栽培初心者がお会いして良いお方なのでしょうか。例えるなら、足軽がいきなり将軍に謁見するようなものじゃないですか、これ。
最初は正直びびっていましたが、とても気さくな方で、話がとにかく面白くて、話すにつれてどんどん引き込まれていくような感じでした。
いろいろなお話が聞けました。自分の印象に残ったところをいくつか書きたいと思います。
≪近年サザンハイブッシュが主流となっている理由≫
理由はシンプルで、ブルーベリーのシーズンの最初に出す事で消費者が飽きる前に売る事が出来るから、収穫時期の早いサザンハイブッシュが主流となっているそうです。
果実品質が同じとして、シーズン最初に出すのとシーズン後半に出すのとでは、シーズン後半だと消費者は既にブルーベリーに飽きてしまっている分売れにくい、という事ですね。
≪簡単にサザンハイブッシュを栽培出来る方法≫
見せて頂いたのがこの写真です。
床のコンクリートは通路部分だけでなく株下も含めて全面に張ってあります。コンクリート上に、パインバーク(米松樹皮…酸性)+砂を用土として(この用土構成で10年持つみたいですね)盛って、そこに苗を植えて雨除け栽培するそうです。ちなみに床の素材は通気性を確保できれば何でも良いそうです。
この栽培方法で5~7年収穫して収量が落ちてきたら、主軸更新せずに用土ごと株を新品種へリプレイスしてしまうのだそうです。
この栽培方法は、アメリカの企業の栽培方法だそうです。
安価で手に入る資材(アメリカではパインバークはいくらでも手に入る)+最新の品種+雨除けで、高品質の果実を安く安定して市場へ供給する事が出来るようになる、という仕組みです。
こうした方法で海外で生産された高品質な果実は日本の市場にも入り始めているそうで、いくら日本の農家が美味しいブルーベリーを作っても、市場に安定供給出来なければ太刀打ちできなくなってしまう、との事でした。また、日本の企業でもこうした栽培方法で生産を始める動きがある、とも仰っていました。
≪社長お勧めの品種について≫
ユーリカと即答でした。「”大発見”の名の通り、まさに次世代のブルーベリーで、既存品種を圧倒するポテンシャルがある」品種なのだそうです。実際に食べて味を知ってほしいので、今年からJA土浦の直販所で100g700円!で販売する予定だそうです。かなり強気の価格設定ですが、それでも売れるという程の果実品質なのだとか。
この品種の発売までにはかなりの紆余曲折があったそうです。
パテント元からは「趣味栽培用に売らず農家にだけ売ってくれ」と強い要望があったそうです。パテント元としては、農家に苗木を売る → 市場に出る → 市場で次世代のブルーベリーと認知されて商売になる、というスタンス(販売元の名誉のために付け加えますが、この品種の販売で上げた収益の一部は慈善団体へ寄付される仕組みとなっているので、決して利益のみを優先した主張ではない、との事でした)だったそうで、趣味栽培用に売りたくない理由は、趣味栽培だと実が付いても身近な人に配ったりするだけで市場に出回らず認知されないから、という事だったそうです。
ですが、日本では「農家である事」を証明する手段や趣味栽培と分けて販売する手段が無く、販売方法を巡ってかなり揉めたそうです(種苗登録の申請を取り下げる寸前まで行ったとの事)。結局パテント元の社長の息子(この方は弁護士だそうです)が仲介に入り、趣味栽培でも購入の余地のある今の販売方法に落ち着いたそうです。
これだけ紆余曲折があった品種なので、パテント違反の有無についての確認は「きっちりやる」そうです。パテント元からは「大関さんがやらなければ、我々が直接確認する」と言われているのだとか。
パテント元がこれだけ言う品種って、逆に言えばそれ程までに凄い品種だという事なのだと思いました。一応、将来的に趣味栽培用に1本単位の販売の可能性があるかどうかも聞いてみましたが、当然ながら「予定はない」との事でした。
≪パテント品種への呼び接ぎについて≫
パテント品種が弱った場合に、呼び接ぎや根接ぎで根を足して(取り木はしない)救済する事は可能かどうか聞いてみたところ、「呼び接ぎ法という”増殖法”の一種に該当するので、それはダメですね」との事でした。
≪センティーラ、スイートクリスプ≫
販売用苗木置き場の奥で見かけたテプラに書いてあった品種名です。
フロリダ大学のホームページに載っていた品種で日本では未発売だったはず…と思ったので聞いてみました。どちらも来年発売予定だそうです。実は、センティーラ気になっていたのです。
最後に、自分が購入したケストラルについて栽培上の注意点を聞いてみたところ、「問題無い、普通に栽培すれば大丈夫」との事でした。よかった。
対談終了後、各自注文していた苗木を購入して記念撮影です。
大関社長、お忙しい中お時間を割いて下さり有難うございました。
大関ナーセリーからのんのんさん宅へ戻り、のんのんさんの夜警の時間までブルーベリー談義(もっとも、自分はLINEの設定で苦戦していましたが…)をして、ブルーベリーツアーはお開きとなりました。のんのんさん、サルベリーさん、最高に楽しい一日を有難うございました!
今回のブルーベリーツアーで頂いたり購入したもののご紹介です。
大関ナーセリーで1本苗木を購入しました。
サザンハイブッシュ系ケストラル3年生です。味の評価が特に良く、総合的な評価も良い品種のようなので購入してみました。
のんのんさんからお土産で苗木を頂きました。
ノーザンハイブッシュ系チャンドラーです。盗んできたのではないですよ~(笑)。
サルベリーさんからお土産で針葉樹皮を頂きました。
決して燃えるゴミではありません(笑)。
我が家では入手困難な資材でしたので、使うのが楽しみです。
10日の夕食は家族揃って、のんのんさんのお土産みんみん餃子と、デザートにサルベリーさんのお土産森のロールケーキを頂きました。
みんみん餃子は、もっちりとした皮と具の肉と野菜の美味しさが絶品でした。付属のごま風味のタレがその美味しさを一層引き立てます。この餃子とチャーハンで腹一杯食べてみたいなあ。
森のロールケーキは、ほのかに酸味の効いたブルーベリークリームが絶品です。舌の上に残る香りは間違いなく本物のブルーベリーのものです。柔らかでしっとりとしたスポンジが上品でクリームと良く合います。これは余裕で1本食い行けますね。
美味しく頂きました。ご馳走様でした。