90年代のアメリカマットでトップを張ったカナダ人レスラー。プロレスの名門一家、ハートファミリーの一員である。

アメリカンプロレスのレスラーらしく派手なコスチュームが印象的だった。
あのピンクのカラーにハートのマークのコスチュームとロボコップみたいなグラサンは、ガイジンだからかっこいいが、日本人だったらネタにされるだろう。

日本でも新日などで数試合闘っているが、あまり印象がない。確かレスリングサミットで三沢タイガーと闘っているが、全日あたりでマスクを脱いだ三沢光晴とのシングルが実現していればビッグマッチだっただろう。見てみたかったが、基本ずっとこの人はアメリカマットが主戦場だった。

トップがころころ変わるアメリカマットで長く活躍したのは、卓越したプロレス技術があったからだと思う。必殺技はシャープシューター。いわゆる逆足のさそり固めである。僕はそのさそりも好きだったが、ほぼ毎試合出すバックブリーカーがなんか好きだった。なんと言うかこのレスラーは、僕の勝手な印象で、一つの技を大事にしているように感じてかっこ良く見えた。

ベビーやヒールを行ったり来たりし、たくさんメインを張ってきたレスラーだが、やはり一番印象的な試合は、WWFでの、ガチで仲の悪いショーン・マイケルズとのタイトルマッチである。
あの有名なモントリオール事件だ。

このモントリオールで行われたタイトルマッチ、険悪なショーン・マイケルズとシュートマッチになったわけではなく、当然だが普通のプロレスの試合である。では何が事件なのかと言うと、団体が、WWFが、社長のビンス・マクマホンがブレットにシュートを仕掛けた。試合結果の筋書きを変えるという方法で。
簡単に書くとライバル団体のWCWに移籍が決まっていたチャンピオンのブレットが、険悪なマイケルズに負けてベルトを返上することを拒否。
折れないブレットに痺れを切らし、しゃーないから試合終盤に他のレスラーが乱入し、結果がうやむやになるというアメリカンプロレスお得意の方法で合意に至ったはずだったが、実際の試合はと言うと、マイケルズが予定にない掟破りの逆さそりを仕掛け、レフェリーが勝手にゴングを要請しブレットのギブアップ負けという結果。当然レフェリングはマクマホンの命令であり、もちろんブレットはギブアップなどしていない。

恐らく今でも検索すれば動画で見られると思うが、ゴングが鳴らされた後にブレットの唖然とした表情と、速攻でリング外に逃げるレフェリーがしっかりと確認できる。そしてその後にマクマホンにガチの唾吐きをし、怒りのまま移籍していった。きっとプライドが高いであろうブレットは、そりゃあブチ切れるよね。よりによって嫌いな野郎に自分のフィニッシュホールドでギブアップ負けなんて。

日本以上にエンターテインメント色の強いアメリカマットでもこんな事が起こる。
このモントリオール事件とか、カート・アングルとダニエル・ピューダーの試合とか、僕はこーゆー試合は大好物で、プロレスの魅力のひとつだと思う。
選手は大変だろうけど。