アメリカンプロレスのレジェンド中のレジェンド。このレスラーほど、たくさんのムーブを持ち、自分のスタイルを持ったレスラーはなかなかいない。

決して均整のとれた身体ではないし、スピーディーでダイナミックな試合運びをする訳ではないが、フレアー独特な間合いやムーブで観客を惹きつける。

プロレスは、次にどんな展開か分かっているのに、逆にそれを待っていると言うか、楽しみにしてしまう不思議なジャンルだが、その典型がフレアーのプロレスだと思う。Wikipediaにも書いてあるが、やられ技なるものがフレアーにはあり、ほぼ毎回お約束のようにそれが見られる。
例えばコーナーポストに登ってからのデッドリードライブや膝を着いての命乞いや前のめり受け身などのムーブで、一応相手と闘うことを目的にしている競技ならそもそもやられ技なんてものは矛盾だらけなのだが、そこがプロレスの面白さでもあり、フレアーの試合の奥深さでもある。
フレアーがコーナーポストに登り、何か技を成功したことはほぼ無く、じゃあなんでまた登るの?となるのだが、その後のデッドリードライブを食らうまでがフレアーの技であり、観客がそれを望んでいるんだから、フレアーは豪快に受け身を取るんだろう。
フレアーがポストに登ったら、トランプ大統領であれ、メッシであれ、芦田愛菜であれ、デッドリードライブをやならければならないから気をつけよう。

流血した時に見栄えがするように金髪に染め、派手な衣装で入場し、豪快にぶん投げられながらたまにサミングなどで反則し、最後はフィギュアフォーレッグロックで勝つ。そしてフルハウスになった会場の観客を魅了し、プロモーターや他のレスラーを稼がせるミスターNWA。

プロレスラーの理想像で、最高の役者であり、匠である。