通称パト・スミと言われるストライカー。
別にこの人は何にも悪いことはしていないけど、プロレス的に言えばヒールのような存在だった。

強かったかと言えばそうでもないような気がする。バックボーンもよく分からなかった。一応空手やテコンドーなんかはやっていたようで、後年は、柔術も学んでいたようだが、活躍した頃の一番しっくりくるバックボーンは喧嘩屋という感じだった。

その喧嘩屋のイメージは、やはり初期のUFCでの試合があったからだ。
UFC1ではいいところなくシャムロックに敗れたが、凄かったのはUFC2のスコット・モリスとか言う、怪しい格闘家との試合。マウントから顔面に素手でのパウンドと肘打ちで勝利したのだが、スコット・モリスは恐らく顔面骨折もしくは陥没したんじゃないだろうか。
血を見るのが苦手とか、バイオレスが苦手な人は軽くトラウマ級の試合で、その後が心配になるようなダメージを負ったように見えるが、僕は何が一番びっくりしたかと言うと、レフェリーが身体を張って止めに行っていないこと。パト・スミが途中で殴るのを止めたからいいものの、もっと我を忘れて殴り続けてれば、取り返しのつかないことになった可能性がある。
初期のUFCのレフェリングのいい加減さは恐ろしい。
とにかくこの試合は衝撃的だったが、決勝のホイス戦はあっけなく敗れた。

決して高い勝率を誇っていたわけでもなく、人気があったわけでもない。だが、その荒々しいファイトスタイルを買われてか、日本でも試合をしている。その中でも有名な試合は、これまたプロレス的に言えば噛ませ犬的な意味合いで呼ばれたが、予想を覆し勝利したアンディ・フグ戦と、そしてプロレスファンの溜飲を下げることに一役を買った田村潔司戦。僕的には田村のベストマッチ。

プロレスファンの僕はやはり田村との一戦は興奮したし、プロレス最強を1つ証明してくれて嬉しかった。当時の僕の応援する優先順位は、

全日<新日<Uスタイル<プロレスに絡んだ格闘家<グラップラー<ストライカー<ただの喧嘩屋

と言う感じ。U系より純プロレスの方が強くあってほしいから純プロレスを応援するが、でもU系もプロレスだからU系が格闘家に勝てば、ほらプロレスの方が強いでしょ!と言う都合の良いファン。パト・スミはプロレスファンに素晴らしい試合をプレゼントしてくれた。
あんなにプロレスファンとして誇れる試合のヒールとしての負けっぷりを見せてくれたのだから、感謝しかない。