かなり危険な格闘家である。

和彫の入れ墨を上半身に入れ、それほど筋肉質ではない身体が逆に怖い。

極真空手の有段者でサバットのチャンピオンとのことだが、そんなバックボーンがある意味目立たないと言うか、もう喧嘩屋と言う感じ。反則が必殺技のような男だ。

プロレスとの関わりも強いので、ある意味、頭は柔軟な方だと思う。ファイナルカウントダウンの猪木戦、UWFでの前田戦、ZERO-1での試合、エンセン井上戦、などたくさんプロレスの試合もこなしているが、やはりこの人の試合で有名なものは、第1回UFCでのティラ・トゥリ戦とホイス・グレイシー戦、リングスでの佐竹戦、第2回バーリトゥードジャパンの中井戦だ。

UFCは、手探りで始めたであろうこの大会を、最高な形で宣伝してもらっただろう。ゴルドーとティラ・トゥリの試合は、時間こそ短かったが、説得力抜群のインパクトであった。スリップダウンのティラ・トゥリの顔面に強烈なローキックとフック。ほんとかどうかわからないが、ゴルドーの足には歯が突き刺さっていたとか。

次のローズイヤーを難なくぶちのめし、決勝のホイス戦ではバックマウントを取られ噛みつきの反則したが、そのせいで思い切りチョークで締め上げられしまう。まあ、体重差を物ともせずしっかり勝利するホイスは流石だ!

リングスの佐竹戦は始めは普通の試合だったが、ブレイクの際の佐竹のローキックにブチ切れ、物凄いスピードでベアナックルとサミングで襲いかかり、佐竹は目から流血して、ゴルドーの反則負け。
YouTubeに試合がアップされているから見てほしいが、ゴルドーにとって試合はゲーム、喧嘩とは別物だということが良くわかる。
この試合は自分の感想としては、なんとなく佐竹の方が押してたように見えたが、いざ喧嘩になれば間違いなくゴルドーの方が強いだろう。

そして、最も有名な中井戦。
僕はプロレスファンだから、ゴルドーを応援していた。ゴルドーは格闘家だが、プロレスと関わっていたからある意味プロレスラー。中井が勝てば、ゴルドーに負けたプロレスラーは中井より弱いことになってしまう。しかもこの中井は体重60キロ代と、とにかく小柄だ。

僕はとにかく常にプロレスラーが一番強くあって欲しかった。だから中井がこのあとの試合でピットマンと言うWCWのレスラーを倒したこともショックだったし、何かとレスラーが格闘家に負けるのは悔しくてしょうがなかった。今ではそんなことはないけど、当時はそんな痛い考えだったな。

でも、中井祐樹という格闘家は凄い。あの体格で、ヘビー級のゴルドーからサミングで反則されても、ピットマンにずっと上から圧力をかけられても、しっかり一本勝ちし、ヒクソンの待つ決勝まで行ったのだから。その代償として、ゴルドーのサミングで片目を失明してしまうが。

まあ、とにかくゴルドーはやばいやつ。母国オランダではドージョーカマクラを運営し、指導にあたっている武道家ではあるが、絶対この人と喧嘩はしたくない。
卑怯で怖い代名詞のゴルドーだが、考え方によってはある意味本物に近い武道家だと思う。
武道は礼儀とかいろいろあると思うが、本当の裏の顔はズルくて怖い。相手を戦闘不能にするためには奇襲や騙しなど手段を選ばないなんてことを何かで読んだ。
であればゴルドーはそれに近い。
橋本vs小川の第3戦のとき、小川の用心棒としてセコンドにいたが、試合後の新日とUFOの乱闘のとき、新日の選手は誰もゴルドーには向かって行かなかったらしい。もう、戦う前から勝っている。武道家としては理想的だ。

まあ、本物の武道家はプロレスはやらないだろうけども。