沖田総司~花end後~第16話
【前回のあらすじ】高校生活最後の春休みを利用し、京都へとやってきた主人公達。そして、裕香の親戚の経営する旅館へと身を置くことになった彼らは、まずあの古道具屋へと向かい、あのカメラが無いことを確認した後。池田屋近辺のとある写真館で、不思議な体験をすることになったのだった。※沖田さんを攻略されていない方や、花エンドを攻略されていない方には、多少ネタバレになりますので、ご注意ください!私の勝手な妄想話ではありますが…よかったらまた読んでやってください第1話 第2話 第3話 第4話 第5話 第6話 第7話 第8話 第9話 第10話 第11話 第12話 第13話 第14話 第15話【沖田総司~花end後~】第16話「…ここは」背後で総司くんの呟き声がして、その逞しい腕に掴まったままゆっくりと目蓋を開けると、狭い路地裏のような場所に二人蹲っていることに気付く。「二人が居ない…」「えっ?!」軽い眩暈を感じながらも支え合って立ち上がり、辺りを見回すも翔太くんと裕香の姿は無く。まさかと思いながら、一つの不安にぶち当たった。「もしかしたら、私達また…」「…タイムスリップしたと?」「あの時と同じような展開だったから…翔太くんと私が、あの時代へ飛ばされた時と…」「…………」しばらくの間、混乱した頭を整理しようとその場を動けずにいたが、見覚えのある風景に肩を震わせながらも私達はゆっくりと歩みを進めた。すれ違う人は皆、着物姿で女性はきちんと結い上げられ、男性は丁髷姿で堂々と歩いている。「出来れば信じたくないのだけれど……もしもタイムスリップしたのだとしたら、どうして彼らと逸れてしまったんだろう」「そう…だね…」「彼らも、同じ時代にいてくれればいいが…」「うん…」狭い路地を抜けた先の大通り。目前、浪士らしき男達が数名、颯爽と駆け抜けて行くのを見やった。(…!!)思わず立ち止まり、お互いに顔を見合わせ合う。「今のは…」「忘れもしない、」あれは、原田さん達だった…と、去って行った彼らの背中を見やりながら総司くんが呟いた。「新選組が存在するということは、やっぱりここは幕末時代…」「そういうことになる」「じゃあ、あの頃の沖田さんも存在するってことに…」「…おそらくは」一点を見つめるその瞳は、とても凛々しく。でも、どこか憂いを宿しているような…。初めてタイムスリップを経験した人とは思えない私への応対に感心すると同時に、二度目の私のほうが動揺し、徐々に胸の動悸が激しくなっていくのを抑えきれずにいた。あの時、カメラマンのお兄さんがシャッターを切った途端、眩い光に包まれて…(さっきのカメラ、あの時のカメラに似てるって翔太くんが……どうしよう、あの頃とは違う展開だし、ここがどこなのかも分からないし…)総司くんは、不安を隠せずに俯く私の指を絡め取り、「和装で良かった。不幸中の幸いだったな…」と、言って、私にいつもの微笑みを見せてくれる。そんな、男らしさと優しさを改めて感じていると、「とにかく、あの場所に留まっているか、僕らと同じようにタイムスリップしているであろう彼らが同じ時代にいると信じて。まずは、二人を探しながら、これからどうしたらいいかをじっくり考えよう」「…うん」力強く私の手を握りしめ、再び歩みを進める総司くんに寄り添いながら、私もその後ろをついて歩き始める。(神様、お願いです。二人とも無事でいてくれますように…。そして、二人一緒にいてくれますように…) ・ ・ ・*翔太SIDE*裕香の手を引き、見慣れた町中を歩きながら、初めて○○とタイムスリップした時のことを思い出していた。(今度はいったい何時代に飛ばされたんだ…)「ねぇ、翔太…」「ん?」「やっぱり、私達…」「ああ。ここがあの幕末時代かどうかは分からないけど、大丈夫。こういうのには慣れてるから、俺についていれば…」今にも泣き出しそうな裕香の手を強く握りしめながら微笑んで見せるも、その瞳は哀しげに潤んだまま。「…なんて、」無理に微笑おうとする裕香のぎこちない笑顔が余計に心苦しく感じ、俺はその場で足を止めそっと小さな肩を抱き寄せた。「俺も、以前と同じようで違う展開に戸惑ってるんだけどさ」「翔太…」「我慢しなくていい。俺ので良かったら胸貸すから…」「…っ……」ごめんね、と言って、俺の襟元に頬を寄せ小さく息を殺すように泣き始める裕香の肩を優しく抱きしめる。二度目の俺でさえ動揺しているのだから、裕香の不安は想像もつかない。ただ、いつまでもこうしている訳にはいかないし、あの頃のように現代へ戻る方法を見つけ出さなければならないことを話すと、裕香は頬を埋めたまま小さく頷いた。「あいつらも、きっとこっちに来ている。そして、俺達を探してくれているはず」「だといいんだけど…」「そう思って頑張るしかない」「翔太は…本当に強いね…」「命懸けで戦っていたからな、あの坂本龍馬達と…」少しずつ本物の笑顔を取り戻しつつある裕香に微笑んで、俺達はまたゆっくりと歩き始めた。ここが、どの時代なのかを確かめる為、俺達を探しているであろうあいつらを見つけ出す為に…。と、その時。大通りに出た瞬間、初めて人の声を耳にして確信した。「やっぱ、ここは京都か」「どうして分かるの?」「京弁で話していたから」「あ、そっか…」苦笑する裕香にまた微笑み、辺りを見回しながらここが見覚えのある場所であることに気付く。(あっちに見えるのは三条大橋かな…となると、この近辺に酢屋があったはず…)俺は遠い記憶を辿り、土佐藩士らが集っていた屋敷を目指そうとした。刹那、「あれって…」前方から歩いて来る男達を目にしながら、思わず漏れた自分の言葉にハッとして口元を押さえ込む。 「どうしたの?」「龍馬さんだ…」「えっ…もしかして、翔太が言ってたあの坂本龍馬?ど、どっちが坂本龍馬なの?!」「…左の、くせっ毛の…背の高い方の人」「あの人が。じゃあ、ここは翔太達がいた幕末時代…」「そういうことに…なるかな…」同じように驚愕の色を浮かべる裕香に頷き、すぐに龍馬さん達に視線を戻した。(どうしよう…声を掛けるべきだろうか…)ほんの少しの戸惑いが邪魔をして、視線を逸らせないまま俺達の横を通り過ぎて行く彼らを目で追うだけしか出来ずにいる。「いいの、翔太?坂本龍馬に会いたいって言ってたのに…」「え、あ…」「行っちゃうよ!」「よ、良くない!」俺は裕香と手を繋いだまま、その背中を追いかけ声を掛けると、近藤長次郎さんと共にこちらを振り返った龍馬さんの柔和な視線と目が合う。「何じゃ、わしらに用でもあるがか?」「え、その…お、俺を覚えていませんか?」声を掛けたはいいが、改めて龍馬さんに会えた喜びと緊張とが綯交ぜになり、俺は上手く言葉を口にすることが出来ずにいた。「わしは知らんが、おまんの知り合いか?」「いんや、わしも知らんちや」龍馬さんの問いかけに、長次郎さんは首を横に振る。(俺を知らないってことは、あの頃と同じ、俺達が出会う前の時代ってことか…)「あの、俺!貴方に会いに来たんです」「わしに?」「はい!」心臓が飛び出そうな程の緊張感の中、俺は意を決して素直な想いを告げた。「貴方を守る為に…」「わしを…守る」俺を見つめながら真剣な眼差しで言うも、龍馬さんはすぐにあのいつもの笑顔で豪快に笑う。「そん為に、わざわざ会いに来てくれたゆうがか?ほりゃあ、心強ぇのう!」「何をゆうちゅうが。こがな素性も知れん男のゆう事ば鵜呑みにしおって…」「確かにほうじゃ。じゃけんど、この眼を見りゃあ人の善悪は大概分かるき」呆れ顔の長次郎さんにそう言い返し、龍馬さんは俺に鋭い視線を向ける。その眼は、初めて俺に剣の手ほどきをしてくれた時と同じように見えた。それから、其々名乗りあった後、俺は他にも連れがいることを話し、あの頃と同じように故郷へ帰れないことなどを告げ、どうにか一緒に世直しの手伝いが出来ないかを尋ねてみた。すると、龍馬さんは用心深い長次郎さんを説得し、俺を快く受け入れてくれたのだ。「ありがとうございます!龍馬さん」「剣の腕も立つゆうことなら、尚更大歓迎じゃ!これからよろしく頼むぜよ」「はい!」「ただ…」満面の笑顔だった龍馬さんの眉尻が下がり、少し戸惑い気味に裕香を見やった。「すまんが、女子は同行させられん」「あ、」(そうだった…)あの頃、○○は新選組に捕まった後、一橋さんによって島原の置屋に身を置くことになって。初めは、そんな場所に預けておくこと自体が不安だったのだけれど、藍屋の人達はみんな良い人ばかりで、俺も気兼ねせずに会いに行くことが出来た。(俺達と一緒に行動するよりは…。でも、裕香にとってどうすることが一番なのかを考えなければ…)もしも、○○と同じように島原に身を置いて貰ったとしても、彼女に寂しい想いをさせてしまうことは目に見えている。俺達は、少し彼らから距離を置き話し合う時間を貰った。「翔太、あたしなら大丈夫だよ」「…裕香」「あたしも島原に……行ってもいい」震える唇を噛み締めながら言う裕香を見やり、俺は首を横に振った。幕末時代へ飛ばされたばかりの俺は何も出来ないただのガキだったけれど、あれから剣術を身につけ、自分の身を守ることは勿論、“龍馬さんの右腕”と、言われるくらいにまで成長したんだ。今度は、この手で守って行けるはず。いや、その自信はある。「俺と一緒にいろ」「だって、」「彼らと一緒にいることで危険なこともあるけれど、今の俺ならお前一人くらい守ってやれる」「翔太…」「龍馬さん!こいつはどんなことをしても俺が守りますから、一緒に連れて行って貰えませんか?」お願いします!と、言って深々と頭を下げると、短くも長い沈黙が流れた。(たとえ、断られたとしても。自分の腕を過信し過ぎだと言われようと…俺は、今度こそ…)沈黙の末、頭上で龍馬さんの低く抑えるような声を聞く。「翔太と、ゆうたな」「…はい」「おんしがどれ程の腕前か知らんが、女子を傍に置くゆうなんてことは生半可な覚悟じゃあ口に出来んもの」「………」「そないなら、わしと勝負じゃ」「えっ?!」顔を上げると、にっこり微笑む龍馬さんが俺を見つめていた。「おんしの腕を見せて貰うぜよ」「じゃあ、もしも俺が貴方に勝てたら…」「おう、武士に二言は無いちや」心配そうにこちらを見やる裕香の視線を受けながらも、俺は大きく頷いた。剣の達人である坂本龍馬に敵うかどうかは分からない。けれど、再びこの時代へとやって来て早々、龍馬さんに出会えるなんてこと滅多にあるもんじゃないし、龍馬さんの元以外、行く宛も無かったことに今更ながら気付かされる。どこかにいるはずの二人を探すと同時に、俺達はとりあえずの行き場所を見つけることが出来たのだった。 ・ ・ ・翔太くん達がそんなことになっているとも知らずに、私達は記憶を辿りながら島原を目指していた。あれから、総司くんと話し合った結果。お互いの得意分野を活かせる仕事に就くことが一番だろうということで、私は再び島原で花魁になり。総司くんは、その界隈を守る為の用心棒的な役割を担う仕事を探すという結論に至った。翔太くん達を探すことも大事だけれど、まずは自分達の身を置く場所を手配しなければならないと思ったから。次いで、私の身を確保してからと言ってくれる総司くんの言葉に甘えることにしたのだった。「もう一度、この道を歩けるなんて思わなかった」「確かに。あの頃、この道を通る度に貴女に会えるのが嬉しくて…」(…っ……)髪型こそ違えど、袴姿の彼はあの頃の沖田さんを思わせる。凛々しい横顔が、同じように見えるから…。そんなふうに昔を懐かしみながら歩いていると、遠くに大門が堂々と建っているのが見えてきて、私は思わず感嘆の息を漏らした。「…懐かしい」すぐに裾を捲り上げ、速足で駆け寄り門に手の平を添えてみる。「私が、息をしていた場所…」「藍屋の置屋なら、安心して貴女を預けられる」改めて、総司くんに寄り添いながら大門を潜り、藍屋の置屋を目指した。当たり前だけれど、あの頃と全く変わらない風景にほっと胸を撫で下ろす。(…この先に、あの懐かしい人達がいる)私は、ドキドキと胸を高鳴らせながら、ゆっくりと近づく藍屋の暖簾を見つめた。【第17話へ続く】 ~あとがき~いよいよ、デスティニーです( ´艸`)↑意味不明二組は、同じ京内にいるのだけれど、会えるのはいつのことやらなんていうか、以前に主人公と翔太くんがタイムスリップした同じ日にやって来たので、志士らも彼らのことを知らないという設定にのっけからお目当ての人に会えた翔太くん。そして、総司くんと主人公も複雑な思いを抱きながら支え合い・・・話では聞いていたものの、この時代初体験の裕香ちゃんの心境は・・・。あと、あの時代に翔太くんと総司くんの髪型は目立つし、突っ込みどころ満載なのですけどwwでもって、今後、討幕派と佐幕派に分かれてしまう二組…。彼らが出会えるまで、どちらサイドも描いて行く感じですということは、これまた全員出て来るってことですね(笑)なんか、最近…自業自得ですが…。構成用ノートを見ながら書かないと、他の物語と混ざりそうです;そして、プライベートでは僕ちんの卒園式が無事に終わり、来月9日の入学式を向かえるのみとなりましたそして、入学準備も終わらせましたぁ☆いやしかし、あっという間の保育園生活でした別れがあれば、出会いがある。そうやって、常に自分の傍にいて欲しい人を見つけて行くんですね…。↑ちと、しんみりww季節の変わり目やから、体調を崩しやすのが難ですが…健康第一!同じような境遇のママさんは、あともう少しですね!そして、新しく何かを始めようとしている方にも、素敵な出会いがありますように!お互いに、体調管理だけは気を付けて頑張りましょうでもって、WBCは三連覇ならずでしたが…。侍たちの活躍には、今回もドキドキハラハラさせて貰いました!特に、台湾戦は燃えました!!だるびっしゅくんのブログにも書いてありましたが、胸を張って堂々と帰って来て貰いたいです。やっぱ、野球はええなぁ!と、改めて思えた数日間でした。今後は、プロ野球戦で応援するでぇww阪神ファンのわたすですが、個人的に井端選手も応援してしまいそうです(苦笑)