*昨日アップした記事に書いた通り、小説サイトで書き直す予定の、「沖田総司~花エンド後~」の番外編みたいな、というか書いてみたいシーンを綴ってみましたハートこの物語を知らない方にも分かるように書いたつもりですが(-∀-)イヒッ読みにくかったらスマンです汗



【これまでの主なあらすじ】


沖田総司の生まれ変わりと出会った主人公。その後、総司は前世での記憶を。主人公は、幕末時代での記憶を取り戻してゆく。付き合いが始まって、数か月後の春、翔太と友人の裕香と共に京都へ向かった総司と主人公は、とある写真館でひょんなことから再び幕末時代へタイムスリップしてしまう。しかも、初めてタイムスリップした時よりも前に飛ばされた為、彼らを知る者は一人もいなかった。そんな中、主人公と裕香は、藍屋に身を置き。総司は藍屋の用心棒を務めた。翔太は、以前のように坂本龍馬と共に行動することになり、それぞれが、動乱の幕末時代を生きる為に、そして、果たせなかったことを叶える為に懸命に生きていこうとしていた。



【沖田総司~花end後~】 番外編


「ごめんね、総司くん…」
「引き留められてしまったんでしょう?」
「…うん」


こちらを見上げながら、少し困ったように微笑う総司くんに小さく頷いて隣へ腰を下ろす。と、たちまち肩を抱き寄せられて、その温かい胸に頬を預けた。


「何となく、待たされると思っていた」と、囁く柔和な声に私はまた、「ごめんね」と、返してより甘えるようにそっと肩へ寄り添う。


菖蒲姐さんと共に向かったお座敷で、いつも私のことを贔屓にしてくれているお客さんがいるのだけれど、私の話す現代での出来事が気に入ったようで、今夜も引き留められてしまったのだった。


「また、髪伸びたね」
「そろそろ、邪魔になってきたかな」
「ふふ、そうだね」


前髪をかき上げながら呟く総司くんに微笑んで、私は今の想いを素直に伝えた。


「会いに来てくれてありがと。ずっと、会いたかった…」



私と翔太くんにとって、二度目の幕末時代へのタイムスリップ。今度は、沖田さんの生まれ変わりである総司くんと、友人の裕香も一緒だということに心強さを感じる反面、新たな不安も抱えていた。


それは、この時代を生きる沖田さんと、この時代を生きた沖田さんの意思を受け継いで現代に生まれ変わった総司くんが、同時に存在してしまっているということであり。この後、何が起こるのかも全部分かってしまっているということだった。


それでも、総司くんと裕香が関わるようになってから、筋書きは多少なりとも変わってゆき。その為に、動かずにはいられなくて、これから起こる事件の全てを何とか未然に防ごうとしていた。特に、“今度こそ、龍馬さんを守ってみせる”と、いう翔太くんの想いは強く。歴史が変わろうと、その願いが叶うことを心から祈らずにはいられない。


それに、何の因果か、総司くんが“小野田総二郎”として新選組に入隊することになるとは夢にも思わなかった。


佐々木さんの一件で、藍屋にいられなくなった総司くんの居場所を確保出来たことは良かったけれど、半ば、山南さんから誘われるようにして入隊してからというもの、離れ離れの日々が続いていた。同時に、沖田さんの安否をただ、祈ることしか出来ずにいたあの頃を思い出しながら私は、総司くんのことを想い続けた。


この動乱の時代をどう生きるか。
この時代を生きる人達と、どのようにして関わっていくのか。


私達は常に考え続けている。


「去年はブレスレットしてたんだなぁ…」


去年のクリスマスプレゼントに、総司くんから買って貰ったブレスレット。ずっと、私の左腕から外したことは無かった。


「あの時、和装になるからって外さなければ良かった…」
「ブレスレットはまた、いつでも買えるけれど」
「…?」


少し顔を上げた。瞬間、柔和な瞳と目が合う。


「それよりも、○○を守り抜けるか。正直、そっちの方が心配だったりする…」
「…総司くん」


すると、総司くんは少し照れたように視線を逸らした。


「それに、もう一人の自分に取られないようにしないと」
「…っ…」
「と、未だに本気で思う時もある」


そんな想いを耳にして、私も思わず俯いてしまう。


もう二度と会えないと思っていた沖田さんと出逢い、あの涼やかな声と優しい笑顔を目にしてしまえば、どうしたって想いを抱いてしまう。いや、思い返してしまう…


私に笑顔をくれた人。
私にはいつも笑っていて欲しいと言っていたけれど、沖田さんといると自然と笑顔でいられた。



『…貴女だけはずっと…幸せでいて欲しい』



最期まで、私に微笑んでくれた沖田さん。
私は、その想いを大切にしなければいけないと、そう思った。


そして、あの頃の沖田さんが今も私の傍にいて、何より私を守ろうとしてくれている。あの頃、叶えられなかったことを今、一緒に取り戻そうとしている。


「私が傍にいて欲しいと思うのは、総司くんだけ…」
「………」
「だから、これからも頼りにしてます」


私の名を囁きながら、より強く抱きしめてくれるこの人こそが私の愛した沖田総司なのだから。今年のクリスマスは、御馳走もプレゼントも無いけれど、こうして二人一緒にいられることに感謝していた。


「ねぇ、総司くん」
「ん」
「今日はゆっくり出来るの?」
「ああ」


その為に非番をずらして貰ったんだ。と、嬉しそうに微笑む総司くんに微笑み返す。


「じゃあ、また投扇興でも…」
「いや、」


そっと離そうとした体を再び引き寄せられ、より近づいた端整な顔に思わず息を飲んだ。


「それよりも、」
「え…」


一瞬、逸らされた目。
続いた切なげな眼差しとかち合い、絡め取られて逸らせなくなる。


「…っ…」


ゆっくりと近づく端整な顔。

その刹那、額にそっと落とされたキスにより一瞬、目蓋を閉じ。続いた、優しい抱擁に身を委ねた。


「ずっと、こうして○○を感じていたい」
「…うん。私も」


あの夜のように。と、囁かれてすぐ耳元を擽るように滑ってゆく総司くんの唇が、首筋へと流れる。


「…遠くへ行かないでね」


心の声を伝えながら、うなじに手を回し縋り付くようにして抱きしめた。


「それだけは約束する」


私の肩を抱きしめる手に力が込められる。新選組にいる限り、総司くんが無事でいられる保証は無い。だからこそ、ずっと一緒にいたいと思わずにはいられない。


「現代へ戻れたら、次はどこへ行こうか?」
「え…」


総司くんの、戸惑ったような息遣いを耳にしてすぐ、少し呆気に取られたような瞳と目が合う。次いで、ディズニーランドへ行って豪華なホテルにも泊まりたいと、言う私に総司くんは、また微笑みながら小さく頷いた。


「…いいね」
「その前にバイトしないとね」
「ああ」


いつ元の時代へ戻れるのかも、これからどうなるのかも分からないけれど、一緒に現代へ戻れるその日まで。


この人についていくだけ…


ふっと、消えた行燈の灯りにより、暗がりの中照らされ始める月明かり。障子を開けて、腕を絡め互いを温め合いながら晴れ渡った夜空を見上げる。


「今夜も綺麗に見えるね」


瞬く星々の中、ぽっかりと浮かぶ三日月に感嘆の息を零した。そんな私に、総司くんはまた頷いてそっと肩を抱き寄せてくれる。


「もうじき、新選組は岐路に立ち。いずれは矢面に立たされることになる」
「…うん」
「でも、もしも翔太くんが坂本龍馬を守り抜くことが出来たとしたら、慶喜さんが新政府のリーダーとなって薩長の勢力を抑え込んでくれる…」


そしたら、新選組の行く末もきっと変わってゆくはず。と、月を見上げながら言う総司くんの横顔が、凛々しく見えた。


「そうなると、いいね」


たとえ、歴史が変わろうと翔太くんや裕香の想いに寄り添い。そして、何よりも新選組を解散へと追い込んだ薩長との戦争を回避し、様々な出来事から近藤さん達を救いたいと願う総司くんの想いに寄り添って行きたい。


どんなに頑張っても変えられないものもあるけれど今、自分に出来ることを頑張って生きたいと思う。龍馬さんたちも、近藤さん達も大好きだから…


「ううん。そうなる…絶対に」


そう呟いて、私はまた総司くんの胸元に頬を預けた。


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一方、その頃。沖田は、土方隊と共に捕り物を終え屯所へと戻る途中であった。


「…綺麗だなぁ」
「何が」
「何がって、月に決まってるじゃないですか」


足を止め、呟く沖田を横目に土方も夜空を仰ぎ見る。


「三日月か…」
「ええ」
「上等な女に酌をさせながら、月見酒といきたいもんだな」
「いいですねぇ」


それならば、藍屋へ行って一杯やりましょう。と、喉まで出かかった言葉を飲み込み。沖田は、また明るく言い放った。


「私で良ければ、付き合いますよ」
「無理すんな、総司」
「え…?」
「行きたいなら行ってくりゃあいい」


(やっぱり、隠し通すことは出来ないか…)


土方のいつにない柔和な表情に、沖田は苦笑を零した。芹沢一派との対立から間もなく、新選組となった後に入隊して来た小野田総二郎に心を乱され。○○との繋がりを知ってしまった時から、その葛藤は続いていた。


「…いつから気づいていたんですか?」
「お前が島原へ行きたいと言い出した時からだ」
「なるほど…」
「自分では気づいていないだろうが、あいつのことを考えている時のお前は、締まりのない顔をしているからな」


先をゆく隊士らに追いつこうと、その場を足早に去り行く土方の背中を見遣りながら沖田は、微かな吐息を漏らした。


「人のことは言えないでしょうに…」


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━━屯所内、風呂場。


捕り物から戻った隊士らが寒さで身を屈めながら浴槽を目指す中、沖田もまた袴を取り着物を脱ぎ去ってゆく。と、そこへやって来た原田も同様に情けない声を上げながら脱ぎ去り、他の隊士と先を争うようにして浴槽へと駆け込んで行った。


「冬なんだから寒いのは仕方がないじゃないですか…」


「寒い」を連発している原田にそう言い返した。その時、背後から近付いた殺気に気づいて振り向いた。次の瞬間、沖田の目前まで迫っていた切先を寸前で交わした。


「くっ…!」


(こいつは…)


短刀を振りかざして来たのは松井竜三郎で、素早く刀を抜き払い斬りかかって来た沖田の剣を腕に受けながらも、かろうじて脱衣所から逃げ去ることに成功する。


「待て!」
「どうした総司」
「あ、永倉さん!間者です」
「俺に任せろ」


褌姿で追いかけようとしていた沖田の背後、その場に居合わせた永倉が刀を抜き払い、松井を追いかける。


沖田も、袴を纏い松井が逃げ去った方へと向かうと、門前からこちらへ歩いて来る永倉を確認して小さく息をついた。


「逃げられてしまいましたか」
「すまん。ここから逃げたことは確かなんだが、見失ってしまった」
「足の速い男でしたからね。しかし、間者と判ったからには放っておけない」


しかも、自分が一番油断している時だったということが、余計に彼の正義感に火をつけてしまった。と、その時、


「松井ならば、ここから少し離れた古寺に」


駆け寄って来た山崎に沖田は、無言で頷き。付き合うと、言う永倉と共に山崎の後を追いかけた。


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島原を離れ屯所へ戻ろうとしていた総司が沖田達と鉢合わせたのは、徳善寺の前を通りかかった時だった。


「お前は、小野田か」
「はい。何かあったんですか?」


手にしている提灯を掲げるようにして尋ねて来る総司に永倉は、これまでの経緯を簡潔に説明した。次いで、納得した総司は、


「そういうことなら、僕も同行します」
「お願いします」
「はい」


早口に言い放つ沖田にも頷いて、先を行く三人の背中を追いかける。


やがて、辿り着いた古寺の本堂の中に薄らとした灯りを見とめた。万が一、複数の敵に見舞われることを想定したうえで、外で待機する者二名。中に踏み込む者二名とに分けるという山崎の策を決行することになった。


少し離れた境内から中へと踏み込む沖田達を見守って間もなく、刀を手に中から飛び出して来た数名の男たちを確認する。


「当たりや」
「そうですね」


呟く山崎に答え、総司はゆっくりと刀を抜き放った。次いで、山崎をその場に残し、斬り結びながら出て来る沖田と永倉に応戦する。


沖田の剣も然ることながら、永倉も龍飛剣という技を使いこなすほどの強者で、隊において一、二を争う剣豪である。そこへ現代の天然理心流を学んだ総司が加われば、捕り物は瞬きしている間に片付いてしまったのであった。


「肝心な松井がいない…」
「長州の間者と、いうところでしょうか」


沖田は、斬り捨てた男たちの亡骸を見下ろしながら言う永倉に頷き、大きな溜息を零した。


(そういえば、こんなこともあったな…)


沖田らの会話を聞きながら、総司は心の中で思い返していた。脱走する者、暗殺を企てる者、長州などの間者を追いかけて取り逃がしてしまったことがあったと。これまでも、自分が沖田総司として生きていた頃の記憶通りに事が進行しているという事実にも躊躇わずにはいられない。


今はまだその兆候は見られないが、労咳を患い、自ら隊を離れることになり。池田屋事件以来、本格的に長州を敵に回し、やがて起こるであろう大規模な戦争に巻き込まれることになるからである。


この頃の総司は、まだ生きている意味を見いだせていなかった。ただ、近藤の下で剣を振るっていられればそれで良かった。けれど、労咳に掛かってしまってからは剣を振るうことに臆病になり、○○への想いも手伝って情けないほど弱々しい自分に気付かされ。


その時、初めて生きている意味を知ることになるのだった。


「仕方がありませんね。屯所へ戻りましょう」
「…はい」


沖田にぎこちなく返答すると総司も、先を歩く永倉と山崎に続いた。その時、


「小野田くん」
「はい?」


不意に、沖田から呼び止められた。


「なんでしょう?」
「少し、いいですか?」


薄らと笑みを浮かべる沖田に、総司は少し躊躇いながらも小さく頷いて、歩みを進める沖田の隣を歩く。なんとなく、沖田の言いたいことが何なのか解る気がして総司は、○○のことを切り出していた。


「図星、ですね」
「…ああ」
「いつかは話さなければと、思っていました」


そう言って、沖田を見る総司。沖田は視線を感じて一瞬、総司を見るもすぐに逸らし俯いた。未だに、あの頃の自分と会話していることの滑稽さは否めない。そう思いながら、総司は躊躇いの息を零した。


「ずっと、幼馴染だと伝えて来ましたが、実は…」
「恋仲、なのでしょう?」
「……はい」


前方を見遣ったままの沖田に、総司は少し躊躇いながら答える。次いで、「やっぱり、そうだったんですね」と、笑いながら言う沖田の、少し悲しげな瞳を目にしてまた視線を逸らした。


「…貴方の返答次第では、付け入るつもりだった」


少し躊躇いながら言う沖田の言葉に総司は、眉を顰めながら俯いた。互いに黙り込んだまま、しばらくした後、総司はその場の雰囲気を取り繕うように明るく切り出した。


「ある事情があってずっと会えない時期もありましたが、彼女と再会した時、」
「………」
「もう二度と手離してはいけない。そう、思いました」


再会したあの日。
涙しながら自分に想いを告げてきた○○の、嬉しそうな笑顔。


今、目の前にいる自分が彼女に恋をし、彼女がその想いに応えてくれなければ有り得なかった再会。そう考えれば、余計に複雑に絡み合う運命の糸を無理に解くことは出来ないと、改めて実感させられたのだった。


「やっぱり、私の付け入る隙は無さそうだ。○○さんを大切にしてあげて下さい」
「…はい」


総司は、沖田の真剣な眼差しを受けとめると、ぎこちない笑みを浮かべながら頷いた。そして、これから起こる事件の数々をどのように回避させられるか…


あの頃の自分と、新選組の行く末をどう幸せに導いてゆけるのか。一歩先を行く沖田の背中を見つめながら総司は、新選組の未来を見据えていた。


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翌晩。
昨日までの快晴はどこへやら、今朝から降り続いている粉雪のせいか島原も閑散としていた。


そんな中、お座敷に足を運んでくれた沖田さんはいつもよりも明るく。普段は口にしないお酒を何度も飲み干し、投扇興をしている時も私が三味線を奏でている時も、ずっと楽しそうに微笑ってくれている。


「くりすます…ですか?」

「はい。外国の話ですけど、今日は家族や友人などと集まって過ごすらしいんです」

「好きな人とも?」

「え、はい。そうですね…」


“好きな人”と、いう言葉に狼狽えてしまうも、御馳走やケーキを食べながらプレゼントを交換したりするのだと話すと沖田さんは、「もっと早く分かっていたら、贈り物を用意しておいたのに」と、少し残念そうに微笑った。


来年のクリスマスは、用意しておきます。と、言ってまたお猪口を差し出して来る沖田さんに、徳利を傾ける。終始、楽しそうにしてくれている沖田さんを見ているのは嬉しいけれど、わざと明るく振る舞っているようで。何かあったのかと尋ねる私に、沖田さんは少し戸惑ったように答えた。


「…いいえ。どうしてです?」
「さっきから、何となく空元気に見えて…」
「え…」


一瞬、かち合った視線。
すぐに逸らされ、そんなことは無いと否定する沖田さんの瞳が、微かに歪んで見える。


短くも長い沈黙。


「すみません。嘘をつきました」
「沖田さん…」


みるみる曇り始める表情をただ見守っていると、沖田さんは少し躊躇いながらもこれまでのことを話してくれた。


昨晩、総司くんと本音で話し合ったこと。そして、私への想いを…


「付け入る隙が無いことを理解しながらも、貴女を」
「…っ…」
「……求めてしまう」


苦しげに歪んだ瞳と目が合った。次の瞬間、近づいた端整な唇を寸前で避けてしまっていた。


(…っ…)


俯きながら、震える手をもう片方の手で握り締めることしか出来ない。続いた沖田さんの、「どうかしていた」と、いう呟きを耳にして、


「ごめんなさい…」
「どうして貴女が謝るんです。悪いのは私なのに」
「違う。私は…」


沖田さんだけを愛していた。と、喉まで出かかっている想いを飲み込んだ。嫌なんじゃない、本当は凄く嬉しいのだと伝えたい。


あの頃とは違うシチュエーションで、掛けられた言葉も違うけれど、私への想いを聞いて嬉しくない訳がない。それでも、


「私は…」
「小野田くんがいる」
「………」


頷くことも出来ずに黙り込んでいる私に沖田さんは、ぎこちなく微笑みながら囁くように言った。


「それでも、今だけは…」
「…っ……」


俯きながらも、ゆっくりと沖田さんの襟元へ頬を預ける。次いで、そっと回された腕により優しく抱き寄せられ、微かに漏れ聞こえて来た吐息に肩を竦めた。


「…ありがとう」


初めて耳にする沖田さんの、か細い声。

徐々に強まる手の平から仄かな熱を感じながら、私はいつまでもその想いを受け止めていた。




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今日もお粗末様でしたガクリ(黒背景用)


沖田さん花エンド後は、史実では暗殺されてしまう佐々木愛次郎と、その恋人を助け出した場面で滞っているのですが、ここでは、芹沢一派との対立後の話で。新選組と改名した後、総司くんも入隊することになってからのシーンを描いてみました。


その後、どのようにして新選組と関わっていくのか。翔太くんは龍馬さんを救うことが出来るのか。翔太くんと総司くんの関係や、裕香の想いなどもいつになるか分かりませんが描いてゆくつもりです。


ただ、翔太くんの名前とか設定は多少、変わってしまうので御了承下さい苦笑


しかし、自分で書いておきながら…

主人公のように、沖田さんと総司くんから取り合いされてみたい…などと、思ってしまったわたすでしたw


本編では、「言いたいけれど言えない」もどかしさがありましたが、まだ労咳に掛かる前で、いつでもどこでも、何でも出来ると過信してしまっている部分もある。それに、主人公との関係を気にしていた沖田さんにとって、総司くんの新選組入隊は、少なからず支障があるのかな?と。


少し、焦っている…というか、“自分のものにならないかもしれない”と、いう危機感みたいなものが先走った結果、酒に飲まれてしまった…と、いう展開にしてみました汗


きっと、こんな弱音は吐かない人だろう。と、思いつつも、彼も隊を離れれば普通の男性だからなぁ…なんて。私が描くと、なんか大人っぽくなりすぎるようなww



ではではッ。

改めて、メリークリスマスキラ


素敵な夜を…


о(ж>▽<)y ☆