<艶が~る、二次小説>
今日は、龍馬さんが誕生した日であり、命日と言われている日(正確では無いようですが)。なので、勝手ながらも龍馬さんの物語を書いてしまいました現代に戻って来た主人公と翔太くんが、昔を懐かしみながら龍馬さんとの日々を振り返ります
『花咲く戯作の二律背反』
(←クリックで見られます)イベントでも、大好きな龍馬×翔太を書くことになったわたすもう、ずっと二人が頭から離れません
今回も、てふてふあげはさん
(←ブログはこちらです)に素敵な二人の絵(「信頼の背中」)
をお借り出来たので
ぐっと、引き締まりました
あげはさん
いつも、素敵な絵をありがとうございます!
【信頼の背中】
絵:てふてふあげはさん
作:小春
「改めて…龍馬さん、お誕生日おめでとう」
ふと、寝室の窓から見上げた夜空に真ん丸お月様を見つけ、改めて幕末時代へと想いを馳せる。
「どうしたんだ?」
「月が綺麗だなぁ~って思って」
振り返ると、いつもの笑顔で翔太くんが微笑んでいた。
「本当だな…」
「よく、三人で見上げたよね…」
「ああ…」
私の隣で月を見上げる翔太くんの胸に寄り添い、右肩を抱きしめられてすぐ、
「ママ、この本読んで!」
「えっ、これ…龍雅(りょうが)に分かるかなぁ…」
「読んでぇ~!」
私達の間に割り込んできて、嬉しそうに言う龍雅(りょうが)からあの本を受け取る。
じつはこの本、翔太くんが幕末時代で龍馬さんと過ごした時のことを書き、私が下手ながらも絵を描いて作成したもので、翔太くんだけが持っていた龍馬さんの写真なども一緒に挿し込んだ、世界にたった一つしかない貴重な本なのだ。
「龍雅にはまだ早いかもしれないけど、読んであげるね」
「やった~!」
私と翔太くんは、布団に横になる彼の隣に寄り添いながら、いつものように読み始める。
「じゃ、今夜はパパが読んであげよう」
「うんっ」
「今から150年前の幕末時代に、坂本龍馬という人がいました。彼は、幕末の風雲児としても名高く、常に日本の未来の為に命を懸けて戦い抜いた偉人の一人である」
「ボクと名前が似てるね?」
「龍雅の名前は、この人から一文字貰ったんだ」
「へぇ…。ねぇパパ、この人が坂本龍馬?」
龍雅の指先にいる龍馬さんの凛々しい姿を見つめて、私達は大きく頷いた。
私と翔太くんがタイムスリップしたその日に出会い、あの坂本龍馬だと知った時は本当に驚いたっけ。
「龍雅、この後出て来るけど、坂本龍馬には強くて格好いい相棒がいたのよ」
「相棒が?」
「そう、うちのパパのようなね…」
そう言うと、翔太くんは少し照れたように咳払いをして続きを読み始める。
「天保六年、十一月十五日。土佐国…今の、高知県に生まれたんだ」
「高知って?」
首を傾げる龍雅に、その本のラストに描かれている日本地図を見せて説明してあげると、彼は納得したように頷いた。
「ここが、坂本龍馬が生まれたところなんだね!」
「そうだよ、そこで彼はのびのびと育ったんだ」
龍馬さんが12歳の頃。お母様の死後、父親の後妻に育てられるようになり、気弱な少年だったらしいのだが、その後の家族による人格形成により、剣術の稽古を中心に厳しく育てられたのだそうだ。
「そして、彼が19歳の頃。常に世界へ目を向けながら、江戸にある北辰一刀流の元、剣術に磨きをかけることになった。そこで打込稽古を盛んに行って、あ…打込稽古というのは、今の剣道みたいなものなんだけど、龍馬さんはスバ抜けて凄かったらしいんだ」
「へぇ~、かっこいいなぁ…」
私は、二人の笑顔を交互に見ながら、ここに龍馬さんがいたら良いのに…なんて思っていた。そしたら、直に二人の武勇伝が聞けるのに…と。
その後も、順を追って読み進めていく中。
物語はあの場面へと進んで行き……私達は、出会ったのだった。
──あの坂本龍馬と。
「……Zzz……」
「あれ、龍雅?」
「いつの間に寝てたんだ…」
お互いに苦笑し合って、気持ち良さそうに眠る龍雅の寝顔を見つめる。
「龍雅も、龍馬さんみたいになってくれるといいな」
「うん、そうだね…」
寝室の電気を消して静かにその場を後にし、リビングへと向かう途中の廊下で私は彼の腕に寄り添った。
「でも、私は…」
「ん?」
「翔太くんみたいになって欲しいって思ってるよ」
「俺……?」
「翔太くんも龍馬さんと同じくらい凄かった……あの激動の幕末時代で私らしく生きる事が出来たのも、無事に現代へ戻ることが出来たのも、翔太くんが傍にいてくれたからだし。それに…」
改めて、あの頃を思い出す。
置屋と揚屋を行ったり来たりの生活の中、翔太くんと龍馬さんがお座敷へ遊びに来てくれた時は、本当にいろんな話をしてくれて。
普段は和やかな二人が真剣な顔つきで語る中には、“守りの剣”というものがあり。それは“人を斬る為”では無く、“自分の身を守る為”にあるのだと教えてくれたことがあった。
無益な殺生は好まない、龍馬さんらしい信条だと思う。
『人間の一世は、がてんの行かぬことばかりじゃ。運の悪い者は風呂よりいでんとし、きんたまをつめわりて(割って)死ぬる者もおる…』
きょとんとする私に龍馬さんはサラッと言い放ち、次いで隣に座っていた翔太くんの肩を抱き寄せながら悪戯っぽい笑顔を浮かべる。
『やけんど、わしは死ぬ気がしやーせん。翔太がおれば百人力じゃ!』
あの時、満面の笑顔の龍馬さんと、赤面しながらも嬉しそうに微笑んでいる翔太くんを見て、二人の絆の強さを知り、どんな困難にぶち当たっても、“二人なら、絶対に大丈夫”だと思った。
結局、龍馬さんを助けることは出来なかったけれど、翔太くんはそんな龍馬さんを必ず守りきると宣言し、ずっと戦い続けていたから。
私もだけど、龍馬さんもそんな翔太くんの男気や、心意気が大好きだったのだろう。
龍馬さんを見送ってから現代へ戻った私達は、高校卒業後。お互いに就職して間もなく結婚し、すぐに龍雅を授かってもう、七年の月日が流れようとしている。
毎年、龍馬さんの誕生日であり命日でもあるというこの日には、必ず龍馬さんとの思い出に浸ることにしていたのだけれど、まさか翔太くんが執筆した『信頼の背中』を、こんなに早く龍雅に読んであげられるとは思ってもみなかった。
それも、龍雅自らが読みたいと言ってくれるなんて。
「お前、もしかして俺を誘ってる?」
「バレた?」
「マジか?」
「なぁんてね…って…」
(…えっ…)
リビングに戻って間もなく。急に歩みを止める彼を見やると同時に、優しく抱き寄せられた。
「…そろそろもう一人、欲しいと思わないか?」
「ほ、本当に?」
「ああ…」
「…うん」
私は、彼の胸に頬を埋めながら小さく頷いた。
今更だけれど、大人になった今でもあの頃の絆を思い出してどんなことでも乗り越えて行けそうな気がする。
それは、あの時代で龍馬さんと出会えたから…。
いずれ龍雅にも、やがて会えるかもしれない龍雅の弟か妹にも。龍馬さんと翔太くんの活躍をしっかりと伝えて行きたいし、龍雅たちの子供や、そのまた次の世代へもずっと語り継いでいって貰いたいと思っている。
「翔太くん…」
「ん?」
「これからもずっと…愛してる…」
「…同じく」
リビングの窓辺で月を見上げながら再び愛を囁き合い、龍馬さんを想う。
ねぇ、龍馬さん。
日本の未来は、貴方が思い描いたものでしたか?
今の日本を、世界を…どう思いますか?
また、貴方の笑顔が見たいし、いろんな話しがしたい。
たくさんの想いが交差する中、一番伝えたかった言葉を告げる。
──ずっと、幸せを探し続けます。
時には誰かの背中を押し、手を引いてもらいながら。
家族や、大切な仲間達と一緒に。
【終わり】
~あとがき~
龍馬さんの誕生日と命日である今日に向けて、何かしたくて龍馬さん目線で書こうか、翔太くんと目線で龍馬さんのことを書こうか…迷っていたのだけれど。
ある時、ふっとこの設定が浮かんで主人公と翔太くんが、現代で暮らす中。龍馬さんとのことを思い出しながらっていうふうにしちゃいました
艶がの龍馬さんは、きん○まとか言わんけんど(笑)…今回は、坂本龍馬様を意識して書かせて貰いました
それと、「Toshi#7-1」が書き終り、最終チェック後にUPし「沖田総司~花エンド後~」は、昨日、日野宿本陣へ行って来たので、それを資料に今、書いております
やっぱ、現地へ行ってみないと感じられない想いってありますな…。ぐっと、日野での沖田さんとのデート話が書きやすくなりました
日野宿本陣では、思った以上の情報を得て、彼らの触っていたであろうものにも触れて来ましたいやぁ、大興奮でした
その様子は、後日改めてUPしたいと思っています
改めて、龍馬さん…。
いつも、元気をありがとう!
貴方の言葉にどれだけ勇気づけられたか…。
でもって、
龍馬さん大好きだぁぁああ