9月27日(旧8月20日)は、高杉晋作様のお誕生日
遅ればせながら、高杉さんとの一時を描きたくてそっこう書きました
高杉晋作という人は、誰からも慕われる性格だったのだろうな…。
艶が本編でも、描かれていましたが……。
ああ見えて、人なつっこくて可愛いところがあって。
同志との関係を大切にして、自分の信条を貫ける人…なのかな?と。
“幕末の獅子”と言われたくらい、気性の激しい部分もあったのだろうな。
そのわりには、身長の低さを気にしていたみたいですね
あと、剣や槍の腕も凄かったんだろうなぁ…。
頭の回転も速そうだし、行動力もすごかっただろうし。訪れたチャンスは確実にものにして、自分からもチャンスを作るのが上手そうだ…。
だから、組織に入っても独立して確実に成功を収められたのかな?なんて。
本編では、高杉さんの鏡エンドを読んでから特に好きになりました。
今のところ、鏡エンドは…翔太くんと高杉さんしか読めていないのだけれど…
高杉さんの鏡は、本当に素敵やった。
ということで、今回はちびっとだけ主人公になりきって(笑)高杉さんとの1シーンもう、私の思い描く理想の高杉さんにしてしまいました
【恋心】*高杉晋作編*
~想いはてなく、心遥かに~
「貴方に会いたい……」
一人部屋の窓辺で、真ん丸なお月様を見上げながら愛しい人に思いを馳せた。
あれはまだ、春一番が吹き始めて間もなくの頃だった。
着物を新調する為に呉服屋へ行ったその帰り道。
川辺を歩いていると、ふと前方に見慣れた後ろ姿を見つけた。
「あれは…」
高杉さんだと気が付いて、すぐに駆け寄ろうとしたその時――。
不意に立ち止まり、川辺のせせらぎを寂しげに見つめる横顔を目にして思わずその足を止めた。
(どうしよう……このまま、見なかった振りをしたほうが良いかなぁ…)
「あっ……」
躊躇ったままの私に気が付いた高杉さんの鋭い視線と目が合う。
(み、見つかっちゃった…)
ゆっくりと距離を縮めてゆき、高杉さんの綺麗な悪戯っぽい顔に見つめられて思わず目を逸らした。
「偶然とはいえ、こんなところで会うとはな…」
「……お久しぶりです」
「いつからいたんだ?」
「あ、あの…ちょっと前からです…」
「何故、声を掛けなかった」
(寂しそうな顔をしていたから、なんて言えない…)
「えーと、その…」
なんて答えようか迷っていると、急にぐいっと手首を掴まれ引き寄せられる。
「た、高杉さん…」
「なんだ」
「こんなところでは、恥ずかしいです…」
「それは、どういう意味だ」
背後からすっぽりと抱き竦められたまま、高杉さんの低く抑えた声が耳元を擽った。
高杉さんは、さわさわしたまま肩を窄める私の耳朶に唇を這わせ、優しく挟み込むようにしながら吐息交じりに呟く。
「場所を変えれば、お前を好きにしても良いということか?」
「そ、そういう意味じゃなくて…」
全身の力が抜けていく中。
その強引な手から逃れる為に小さな抵抗を試みるが、強く抑えられて身動きが取れずにいた。
「今日は抵抗しないのか」
「出来ないんです…」
「……………」
高杉さんの温もりを感じてしまうと、もう逃げられない…。
何故か、抗えなくなる。
「……どうした。いつものお前なら、俺を蹴り倒しているところだが」
「け、蹴り倒すって。そんな事してないじゃないですか!」
どぎまぎとする私の体をそっと解放しながら、高杉さんはふっと鼻で笑い。裾を捲り上げてその場に腰を下ろした。
――次の瞬間。
呆然と立ち尽くしていた私の体は、再び高杉さんの腕の中に引き寄せられる。
「あっ……」
その膝の上は、とても温かくて。
肩と腰に回された手の温もりを感じ、すぐ傍にある端整な顔を視線の隅に映したまま、私は高杉さんの襟元を見つめた。
「……どうして、いつもそんなに強引なんですか…」
「いずれ、お前は俺のものになるから、とでも言っておこうか」
「高杉…さん」
「それと、惚れた女に触れたい。ただ、それだけだ」
(……惚れた女…)
自分のことだと認識して、更に胸の鼓動が速まってゆく。
「本気にしても良いんですか…」
「俺は、いつでも本気のつもりなのだが…どうやら、お前にはそれが伝わっていなかったようだな」
――あの日。
初めて高杉さんと出会った時。まるでドラマのような展開に、躊躇ってばかりだったけれど……いつの間にか、私の中で無くてはならない存在になっていった。
突然、現れる高杉さんに何度も驚かされたり。
そうかと思えば、博識な部分に感心させられたり。
どれが本当の高杉さんなのだろうと、いつも思わされた。
高杉さんは、いつも誰かに追われる身で。
いつ命を落としてもおかしくない戦乱の世に生きる人。
「……本当は、痛いほど感じていましたよ」
そんな不安からなのか、今までの想いが一気に溢れ出たその時。視界の隅に映っていた高杉さんの顔が、微かにこちらに向けられるのが分かった。
「いつの間にか、この温もりに包まれる度に離れたくないと思うようになって…ずっと、ずっと…高杉さんを感じたいと思うようになって…」
小さな吐息が私の前髪を揺らし、腰元に置かれていた大きな手が私の手を包み込む。
「……俺を本気にさせてどうするつもりだ」
「ただ、こうして高杉さんを感じていたいだけです…」
「………………」
やがて、ゆっくりと近づく秀麗な瞳が私の唇に注がれるのを意識して、ずっと俯き加減に下げていた視線を上げて……
高杉さんの私を愛でるような瞳を見つめた。
「お前の艶やかな長い髪も…」
「高杉さん…」
「この切なげな瞳も……」
髪を梳くしなやかな指も、頬に触れる少し武骨な手も。
「お前の全てを俺のものにしたいのだがな…」
泣き笑いのような顔をして、とろけるような声で囁いてくれる。
その一言が嬉しくて、そっと高杉さんの広い胸に頬を預けた。
時許す限り、優しい温もりに包まれながら…。
あれから夏が過ぎ、島原は秋の風が吹き荒れている。
(今度は、いつ会えるのだろう?また、ふらっと窓から現れたりして…)
思わず、窓辺に乗り出して上を見上げてみる。
「いるわけない…よね…」
小さく溜息をついて、高杉さんも見上げているかもしれない月を見上げた。
『いつの日か、お前を迎えに行く。それまで俺を信じて待っていろ』
「約束ですからね…高杉さん」
あの時の言葉を信じて、いつまでも待ち続けます。
――貴方だけを。
【終わり】
むはぁ~。
やっぱ、高杉さんは大好きだけど…描くのは難しいなぁ
ヽ(;´ω`)ノ