<艶が~る、二次小説>


このシリーズも、もう6話目に突入っ。オリジナルだからって、『艶が~る』がもしも、ドラマ化したら?みたいなノリで、勝手に配役を考えちゃってますニヤリ


時代劇のセットの中で、艶がキャラや、自分が配役した役者さん達 を動かしている感じで…書いていて楽しいですすまいる今回は、ようやく高杉さんも登場ハート


相変わらずの駄文ではありますが、また宜しければお付き合いくださいませ四葉2


第1話 第2話 第3話 第4話 第5話



【比翼の鳥】第6話



「き、北村さん…」

「もう、起きられて大丈夫なのですか?!」


こちらへゆっくりと近づく彼の心配そうな瞳と目が合う。


「はい…もう、大丈夫です」

「そうですか、少し安心しました…」

「ご心配をおかけして…すみませんでした」


再度、こちらへ近づいてくる彼の胸元を見つめながら、ぎこちない微笑みを返した。


さっきと同じようなことになったら…そう、考えるとまた胸の鼓動がトクントクンと高鳴る。


「突然、蹲った時はとても心配だったのですが…大したことなくて良かったですね」

「…は、はい」


お互いに俯いたまま、相手の言葉を待っていた時、奥から聴こえる秋斉さんの声に振り返った。


「ご苦労さま。二度も、足を運ばせてしもうてすんまへんどした」

「あ、いえ…とんでもないです」


そう言って、北村さんは、草履を履いて近寄って来る秋斉さんに微笑む。


「ほなら、今回は揚屋の玄関先へお願いしまひょ」

「はい、承知しました」


まだ少し、こちらを心配そうに見つめる北村さんに軽くお辞儀をして二人を見送ると、しばらくその場に立ちつくした。


(…どうして、こんなにも気になるのだろう?)


初めて北村さんと出会った時から、不思議な感覚にとらわれ続け…初対面なのに、どこか懐かしいような感じがしていた。



……あの晩。


初めて会ったのに、会話が弾み…


『月に選ばれたのでしょう…』と、言った時の優しい微笑みが忘れられなくて。


あの時の私は、まるで、お伽話の中の人物にでもなったような……


「…お伽話?」


そう言って、ハッと気が付いた。


あの不思議な夢を見てすぐに、京に来たばかりだという北村さんと出会い、それから次々と起こる不思議な出来事すべてが、あの夢から始まっているような……


その頃から始まったであろう連続殺人事件も……さっき見た夢も。


まるで、お伽話の世界に入り込んでしまったような気がする。


(えーと、一番初めに見た夢で…確か…)


私の名前を呼んでいた声の主は、明らかに私を探しているようだった。



『…やっと、見つけた』



(……!!)


さっきの夢に出てきた男も……



『これもハズレだったか…』



そう、吐き捨てるように言い放った言葉をはっきりと思い出し、私は思わず自分の手を握りしめた。


(…っ……)


もしかしたら、見えない何かが、私を通して何かを訴えようとしているのではないか。


頭の中で、非現実的な出来事を否定しながらも、私の周りで起こっている事を整理すると、この現実を受け入れなければいけないのかもしれないと思うのだった。


それとも、秋斉さんの言うとおり、疲れているだけなのだろうか?


だけど、とてもリアルな夢を立て続けに見てしまった私は、その夢がなんらかの意味を持っているような気がしてならなかった。



それから、自分の部屋に戻った私は、一足先に布団に横になり、行燈の灯りが薄らと部屋を照らす中、天井をゆらゆらと揺らす影をじっと見つめていた。


「ふぅ……また、怖い夢を見そうで怖いなぁ」


「春香はん、入ってもええやろうか?」


襖の向こうから聞こえる秋斉さんの声に答え、部屋へと招き入れる。


「体調はどないや?」

「あ、少し怠いですけど…もう、大丈夫です。ただ……」

「ただ?」


(眠るのが怖い…なんて、言えないよね…)


言いよどんでいる私に優しい瞳が向けられた。


「怖いのか?」

「え、あ…その……はいっ…」


くすっと微笑む彼を上目使いに見上げていると、しょうがないな…という表情を浮かべた後、私が眠るまでの間は傍にいる…と、言ってくれたのだった。


「秋斉さんがいてくれるなら、眠れそうです…」

「世話のかかる子やな…」


そう言いながらも、目元にかかった前髪を優しく梳いてくれる。そのしなやかな指が髪に触れる度に、安心感が増していき、その優しい温もりを感じながら私は、次第に深い眠りに誘われていった。



「…なんて無防備な寝顔やろう」




*艶が~る幕末志士伝* ~もう一つの艶物語~




…チリンッ……チリンッ…。


(…また、鈴の音が…ここは壬生寺の近く?)


夜の闇が辺りを包み込み、風が音を立てて吹きすさぶ中、私はまた京の町に一人佇んでいた。


『もしかして、また…夢の中なの?!』


黒い雲に覆われて、いつもよりも暗い夜道を歩き回っていると、前方から歩いて来る二人連れを目にする。


『あ、あれは…』


目を凝らしながら、薄らと浮かび上がった顔に思わず息を呑んだ。


(…また、あの男!その隣の女の人は?)


お悠さんの時と同じで、二人からは私が見えていないのか、何かを話しながらこちらに近づき、ゆっくりと私の前を取り過ぎて行く。


今回も、私はただ見ていることしか出来ないようだ。


それでもしばらくの間、二人の後をつけて行くと、とあるお寺の前に辿り着いた。


(…ここは、確か新徳禅寺…)


二人は、路地裏へ入り込むと、不意に男が女性を抱き寄せその唇を奪い、次いで、男の左手が刀の鞘に置かれる。


(ま、まさか…)


この展開は、もしかしたら…と、そう思った瞬間、ガタンッという物音と共に、夢から引き戻された。


「なっ!お前…」

「えっ?」


半ば寝ぼけたままの目を凝らした先に、驚愕の表情を浮かべた高杉さんの姿があった。


「た、高杉さん?!」

「お前、どうして…」

「高杉さんこそ…どうして…」


高杉さんは、急いで飛び起きる私を見て、口許に人差し指をあてがいながら不敵な笑みを浮かべると、私の隣に腰を下ろした。


「もしかして、また追われているとか?」

「どうやら、俺は人気者らしい。まさか、お前が寝ているとは思わなかったのだが…何かあったのか?」

「ちょっと、体調を崩してしまって…今夜のお座敷はお休みしたんです」

「確かに、いつもよりも顔色が悪いな…」


藍屋にこき使われたんだろう?と、言いながら、ゆっくりとその端整な顔が近づく。


「た、高杉さん…」

「…熱は無いようだ」

「なっ…なっ……」


(ち、ち…近すぎるぅぅ…)


額と額が触れ合ったまま、硬直していたその時…。


「またかいな…」


開けられたままの襖の前で、溜息をつきながら立ちつくす秋斉さんの姿があった。


「チッ、邪魔が入ったか」

「高杉はん、いい加減にしておくれやす」

「堅いことを言うな、たまの島原だ」

「ここは、座敷や無い」

「ふん、相変わらず頭が堅い奴だな。ところで、話は変わるが…妙なことが起こっているらしいな」


高杉さんが、最近、京の町を騒がせている一件について話し出すと、次いで、秋斉さんも知り得る限りのことを高杉さんに話した。


その話を黙って聞いていた高杉さんは、いつにない真剣な眼差しを浮かべている。


「で、下手人はまだ捕まらないのか?」

「ああ、まだ野放し状態や…」

「十日ほど前から京に潜伏しているのだが、物騒なことになっているな」


高杉さんの登場で忘れていたけれど、私は二人の会話を聞きながらも、さっき見ていた夢のことを思い出していた。


あの後、女の人はどうなったのだろう?


場所は違ったものの、お悠さんの時と同じような展開だった…。



「春香?」

「えっ…」

「ぼんやりして大丈夫か?やはり、藍屋にこき使われ過ぎたのだろう」

「いえ…その、また怖い夢を見て…」

「どない夢を見たんや?」


心配そうに私の顔を覗き込む秋斉さんに、今度は高杉さんが、「どういうことだ?」と、尋ねるのを見て、私は、高杉さんにもその話を聞いて貰うことにした。


「じつは……」


一週間くらい前、夢の中に不思議な鳥が出て来たこと。そのあと、北村隼人さんと出会い、不思議な体験をしたこと。


そして、夢の中で北村さんに似た男が現れ、人を斬り捨てたことなどを話し終えると、高杉さんは、眉を顰めたまま低く呟いた。




*艶が~る幕末志士伝* ~もう一つの艶物語~




「まず、その奇妙な鳥だが…それは、比翼の鳥かもしれん」

「ひよくの…とり?」

「ああ、沖田殿が言っていたとおり、想像上の鳥でな…そのへんのことは、桝屋殿がよく知っているはずだ」


意外と博識やな…と、呟く秋斉さんに、高杉さんはふっと微笑んで、どういう意味だ?と聞き返す。


「それと、北村という男…どうもきな臭いな」

「きな臭いとは、どうゆうことや?」

「これは俺の感だがな…一応、警戒しておいたほうがいい」


その言葉を受けて、秋斉さんは無言のまま目を細めた。


そして、高杉さんは、私にも気を付けるように言い残し部屋を後にしたのだった。



「今度は、ゆっくり眠れるやろう…」

「でも…また、あの夢を見そうで怖くて…」

「ほな、今夜はわての部屋で寝るか?」

「えっ?」


優しい瞳に見つめられて、ほんの少し照れながらも、私はその言葉に素直に甘えることにした。


それに、秋斉さんがすぐ傍にいてくれる…という安心感があれば、眠ることも出来るだろうと思ったから。


「安心しい、なんもせえへんさかい」

「心配なんてしていません…信頼していますから」

「そないゆわれるんも…なんやけど…」

「えっ?」

「いや、なんも…」


それから、秋斉さんの部屋に布団を二式敷きつめた。


「少し部屋を空けるが、すぐに戻るさかい…」

「はい…」


襖がゆっくりと閉まるのを見届けた後、消えかかった行燈を見つめながら考えた。


(もう、怖い夢を見ないように、何か楽しいことを考えよう!)


「楽しいこと、楽しいことっ…」


そう思えば思うほど、何故か、北村さんの柔和な笑顔が頭に浮かんでしまうのだった。



(…どうか、楽しい夢が見られますように…)


祈るようにして目蓋を閉じると、私はまた深い眠りに誘われていった。




【第7話へ続く】




~あとがき~


お粗末様どした


ようやく、高杉さん登場。本編の高杉さんを意識しつつ、いつもよりも“志士らしい”感じに描いてみましたきらハート

この手の話は、幕府・新選組の4名よりも、尊皇攘夷派の4名のほうが知ってそうな(^ω^)


比翼の鳥については…俊太郎さまに語っていただくことにし、謎の男に関しては…新選組と、慶喜さんに前線で頑張って貰い、秋斉さんは…常に春香を支え、高杉さんと龍馬さんには…ムードメーカーになって貰い、桝屋さんと翔太くんには…頭脳プレーをして貰おう!ってな感じで考えています。


ここで、気になるのは…北村隼人と、夢に出てきた男が同一人物なのか?というところニコ


にしても、今後は…『しゃばけ』 のような展開になるかとキラキラ


志士達に守られながら、見えない敵と戦うことになっていく春香pnish


謎の男が探しているのは、春香なのか…。


今回も、遊びに来て下さってありがとうございましたキラキラ