<艶が~る、二次小説>


なんか、オリジナル物語にハマりそうです汗時代劇の撮影現場で、艶がのキャラ達を動かしているような気分どすキラキラ


相変わらずの駄文ではありますがまた、よければお付き合いくださいませ苦笑


第1話 第2話 第3話 第4話



【比翼の鳥】第5話



あれから、どれくらい経ったのだろうか。


気が付けば、秋斉さんの部屋で布団の上に寝かされていた。



「お医者様、連れて参りました!」

「おおきに」

「春香、医者が来てくれたよ」


遠くで沖田さんと秋斉さんの声を耳にして、次いで、すぐ傍で慶喜さんの私を呼ぶ声に耳を傾けた。


「ん……」


開いたままの襖の向こうから、いつもお世話になっているお医者様と、沖田さん、秋斉さんが入ってくるのがぼんやりと見える。


「春香さんの容体は?」

「発作は落ち着いたよ」


慶喜さんに肩を抱きかかえられながら、ゆっくりと上半身を起こすと、お医者様から上半身だけ脱ぐように促された。


「力が…入らなくて…」

「仕様がない…」


全身の脱力感から、腕に力が入らず四苦八苦している私を見かねた秋斉さんが、私の解けかかった帯を取り除き、素早く着物を腰までずらした後、襦袢の襟元に手を挿し込んで、胸元ぎりぎりまで襦袢をずらした。


「おい、秋斉…」

「はよう、診てもらわなあかんのや」


「わ、私は外に出ていますね…」


顔を背けながらすっくと立ち上がり、襖を開けて立ち去る沖田さんを見送ると、すぐにお医者様の指が私の胸元に触れた。


いつの間にか、肩と胸元が露わになっていたことに羞恥心を感じながらも、私はされるがままになっていた。


「発作を起こしたんは?」

「確か、四ツ半(11時半)頃やった…」

「急に苦しゅうなったんか?」

「……は…はい…」


お医者様と、秋斉さんの会話を聞きながら私もそう答えると、今度は背中に打診を受ける。


「もう、ええで」


お医者様の言葉と同時に、秋斉さんは左右に開かれたままだった襟をまた手繰り寄せ、私の胸元をしっかりと閉じて腰紐を結い直してくれたのだった。


「…こんなことは、初めてでした」

「そうやろうな…」


そう言うと、先生は開かれた風呂敷から用意してあった薬を秋斉さんに手渡した。


「若いのに、狭心症を起こしかけとった。まぁ、薬飲んで大人しゅうしとれば、ようなるはずやけど」

「おおきに…」

「しばらくは、無理をさせたらあきまへんえ…」


風呂敷を手に持ち、部屋を後にする先生と入れ替わるように、沖田さんが心配そうな顔で部屋へ入って来た。


「…春香さんは?」

「もう、大丈夫や」

「突然、苦しげに座り込んだ時は吃驚したけどね」


沖田さんと秋斉さんの会話を聞きながら、慶喜さんもそう言って、ゆっくりと横になる私に布団を掛けてくれる。


「慶喜さん…さっきは突然、びっくりさせてすみませんでした。なんか、北村さんと挨拶を交わした途端、急に胸が苦しくなって…」

「北村?」

「さっきの色男や」


秋斉さんは、慶喜さんの問いにそう答えると、「白湯を持ってくる」と、言い残し部屋を出て行った。


慶喜さんは、秋斉さんを見送ると、私と沖田さんを交互に見やりながら、「さっきの色男って?」と、尋ねられたので、私は知っている限りのことを話し始めた。


つい最近、江戸から京へやってきて、この辺では有名な植木職人の加瀬様のところで修業をしているのだと。


「あの男は、お前のことを知っていたようだったが…」

「はい。一週間前、今日のように草木を持ってきた彼と初めて会って…その晩、お座敷でもお会いしたんです。そしたら……」


私は、その晩に起こった不思議な出来事を簡潔に話すと、二人は少し驚いたような表情を浮かべた。


「なんだか、お伽話みたいな話だね」

「…はい。あんな不思議な出来事は、生まれて初めてでした」


私はまた、ゆっくりと深呼吸をしながら慶喜さんに微笑み返すと、あの不思議な夢の話も聞いて貰うことにした。


「じつは、この間…奇妙な鳥が出てくる夢を見たんです。暗闇の中で、私の名前を呼ぶ声がしたと思ったら、次の瞬間、大空に浮かんでいて…目の前には、目と翼を一つずつ持った二羽の鳥が一対となって飛んできて…」

「目と、翼を一つずつ持った二羽の鳥が一対となって?」



*艶が~る幕末志士伝* ~もう一つの艶物語~



沖田さんは、何かを考えるように口許に手を置きながら伏し目がちに呟くと、慶喜さんも、「どこかで聞いたことがあるような話だね」と、言って眉を顰める。


……と、その時。


秋斉さんが、白湯を持って部屋へ戻って来ると、私はすぐにそれを受け取り、薬と一緒に飲み干した。


「これで、楽になるやろう…」

「…ありがとうございます。ところで、北村さんは…」

「あんさんを気遣っとったが…また刻を改めて足を運んで貰うことにした」

「そうでしたか…」


(北村さんを間近で見つめた途端、背後に見えた森林はいったい?それに、どうしてそんなものが見えてしまったのだろう…)


今でも、忘れられないあの風景。


そして、まだあの奇妙な鳥が頭から離れずにいる…。


「思い出しました!」

「えっ?」


急に、沖田さんが目を輝かせながらそう言うと、私達はいっせいにそちらを見やった。


「お伽話の中の、所謂、空想上の鳥……詳しいことは覚えていませんが、そんな鳥が出てくるお話を聞いたことがあります」


沖田さんの言うその物語に出てくる鳥は、雄雌一対となりお互いを惹きつけ合い、助け合っている空想上の生き物で、私の話した鳥と似ているのだそうだ。


人は、一人では生きられない。


すなわち、男は女を求め、女は男を求めるもので、出会いと別れを何度も繰り返す中、それでも最後にたどり着くのは、いつもたった一人の存在なのだ…と、いうメッセージが込められているらしい。


「へぇ、そんな話があったとはねぇ」

「わても、初耳どす…」


沖田さんの話に耳を傾けていた二人も、感慨深げに呟いた。


私は、正直、RPGの世界に入り込んでしまったような展開に、戸惑っていた…。不思議な体験ばかりが続いているし、知人が亡くなったりしていたから…。


「あれ以来、不思議な夢は見ないのですけど…あの奇妙な鳥が、頭から離れなくて」

「秋斉にこき使われているんじゃないだろうね?」


秋斉さんの呆れ顔を受けながらも、慶喜さんはまたお構い無しに口を開く。


「今日は、俺がずっと看病してあげるからね」

「慶喜さん…」

「何をゆうてはるのやら…あんさんは他にやることがあるやろ?」


慶喜さんのいつもの柔和な笑顔が、私に向けられると、今度は秋斉さんが呆れ顔のまま口を開いた。


「春香が心配でさ…」

「こん子は、わてが看病するさかい。慶喜はんはもう、帰りぃ」

「…こういう時、お前は得な役回りだよね」

「…あほな事ばかり言いなや。春香はんは、とりあえず、ここでひと眠りしい。今夜のお座敷は、出んでよろしおす」


秋斉さんは、そう言って私の額にそっと触れた。


「私も、そろそろ戻らなければ…」

「沖田さん、ありがとうございました…」

「いえ、お役に立てて良かったです」


沖田さんは、すっくと立ち上がりこちらに一礼すると、慶喜さんもゆっくりと立ち上がり、「俺も行くか…」と、言って微笑む。


「慶喜さんも、ありがとうございました…」

「秋斉、あとは頼んだよ」

「ああ…」


二人はまた、こちらに微笑みを見せると部屋を後にした。


「あの、私…ここで寝ていてもよいのでしょうか?」

「しばらくは、一人にならんほうがええ。また、いつ発作が起こるか分からんしな…」

「すみません…」

「謝らんでもええ。とりあえず、ゆっくり休みぃ」


そう言うと、秋斉さんはゆっくりと立ち上がり、記帳作業を始めた。


私は、その背中を見つめながらも、薬のせいなのか…


急速に眠気に襲われると共に、深い眠りに誘われた。



*艶が~る幕末志士伝* ~もう一つの艶物語~



チリンッ…チリンッ…



……幻想的な風景の中。


微かに聞こえる鈴の音が、一定の間隔を経て鳴り響く。


(…ここはどこ?それに、この不気味な鈴の音は…)


鈴の音が、徐々にその大きさを増す中、やがて、前方に小さな光が見え始めた。


(あの光は…)


徐々に近づいて来る鈴の音から逃げるように、その光へ歩み寄った次の瞬間、いつの間にか一人、京の町中に佇んでいた。


『ここは、一条戸橋?』


辺りを見回していたその時、背後から楽しそうな笑い声がして急いで振り返ると、亡くなったはずのお悠さんが、誰かと寄り添って歩いてくるのが見えた。


『お、お悠さん…その隣にいるのは、勇太郎さん…』


影になってよく見えなかった部分が、徐々にその容貌を現わし始める……。


(…えっ?あれは、北村さん?)


男は、紫の着物に身を包み、二刀腰に携えながら歩くその姿はとても妖艶で、怪しく細められた瞳がお悠さんを見つめている。


(…北村さんに似ているだけかもしれない…彼は、とても優しくて澄んだ目をしていたから…)


夢だと確信しながらも、そのリアルすぎる展開に戸惑っていたその時…。


男が素早く刀を抜き去り、お悠さんの胴を一刀し、瞬時に斬り捨てた。


(…!!)


一瞬の出来事に言葉を失い、体中が震える中。


私は思わず、掠れた悲鳴を上げて倒れ込んだお悠さんに駆け寄っていた。


『お悠さん!しっかりして…死なないで!』


『これもハズレだったか…』


(…えっ……)


その男は、冷酷な視線をこちらに向けながら、低く吐き捨てるように言うと、踵を返しゆっくりと立ち去っていく。


『ちょっと、待って!』


でも、その声は届くはずもなく…。


追いかけたい気持ちはあるものの、体が動かずにいた。



「…待っ…て…」

「春香はん…」

「んっ……」


秋斉さんの優しげな声と共に、私はゆっくりと目蓋を開けた。


「秋斉…さん…」

「大丈夫か?魘(うな)されとったようやけど…」

「怖い夢を…見てしまって…」


その夢のことを秋斉さんに話すと、少し驚愕の色を浮かべた瞳と目が合う。


見知らぬ男が、一条戸橋の袂でお悠さんを瞬時に斬り捨てたところを目撃していたこと。そして、何かを呟いたことなどを簡潔に説明した。


「そない夢を…」

「あくまでも、私の夢話なのですが、その場面がはっきりと見えたし…それに、血の臭いまでしました」


奇妙な鳥の夢といい、今回の夢といい、何かのメッセージを受け取っているようで…。


私は、思わず恐怖心から自分の肩を抱きしめた。


さっきの夢の中に出てきた男が、今回の殺人事件の犯人なのだろうか?



「大丈夫や…」

「あっ…」


目の前に差し出された白湯を受け取り、すぐ傍にある彼の柔和な微笑みを見つめる。


「ただ、疲れとるだけやろう…慶喜はんの言うとおり、少しあんさんをこき使いすぎたようやね」

「秋斉さん…」

「夕餉(ゆうげ)の時刻までもう少しあるけど、何か食べられそうか?何か胃に入れといたほうがええやろ」

「そうですね…少し、お腹が空きました」



それから、お粥をいただいて回復した私は、自分の部屋へ戻って着替えを済ませ、姐さん方の手伝いをして、置屋の玄関先で送り出した後、また体を休める為に部屋へ戻ろうとしたその時だった。


「…こんばんは」

「あっ……」


置屋の暖簾から顔を出したのは、あの北村さんだった…。




【第6話へ続く】




~あとがき~


またしても、不思議な夢を見てしまう春香。夢に現れた、北村隼人に似た男は、今回の殺人事件の下手人なのか?今後の旦那はん達と、春香はどうなるのか?汗


ちなみに、今年の27時間テレビ…全体的に、すごく面白かったですキャッとんねるず、ダウンタウン、ナインティナイン、くりいむしちゅー、ネプチューン、明石屋さんま、北野たけしも出てきてpnish好きなお笑い芸人たちが勢揃いして、さしこちゃんだけでLIVEやるのかと思いきや、AKBメンバーもかけつけてきてキラキラ全体を通して構成が良かったようなきらハート


そして、草薙くんも頑張ってて…。なんか、楽しいことも、辛いことも、一緒に乗り越えられる仲間がいるって、幸せなことなんだなぁ…って、思いました。


今回も、遊びに来て下さってありがとうございましたきらハート