【お前を守りたくて…】


絵:Kanaはん

作:小春




「翔太くん?ここにもいない…」


会いに来たものの、その人の姿は見つけられず…


私は途方に暮れていた。


……そんな時だった。



裏庭のほうで大きな音がして、急いで足を運んでみると…


そこには、真剣な顔で龍馬さんと切り結ぶ翔太くんの姿があった。



二人は、いつになく厳しい表情で、睨み合っている…。


「でぇあぁぁああ!」

「…まだまだじゃ!」


(……あんなに真剣な顔、初めて見る…)



龍馬さんも19歳の頃には、立派な剣士として道場では有名だったと聞いていたけれど、剣術に長けている龍馬さんと切り結ぶ翔太くんが、とても格好良く見えた。


やがて、二人はいつもの笑顔で向き合う。


「翔太、今のおまんなら、わしの右腕になってもえいくらいじゃ!上達したのう」

「本当ですか?!」

「おう、あとは…あの子だけじゃのう」

「へっ?」


(……へっ?!)


「こっちへ来るちや」


私はこっそりと網戸をしまう衝立のあたりから見ていたのだけれど、龍馬さんの視線を受けて、ゆっくりと顔を出した。


「なっ!お前、どうしてここに?それに、ずっと見ていたのか?」

「…あ、うん。今日は、翔太くん達に会いたくて…」

「たち?ははは、翔太に…の間違いじゃろ?」

「りょ、龍馬さんっ」


龍馬さんは、俯き合う私たちを交互に見やると、いつもの笑顔を浮かべながら奥の部屋へ去って行った。


「ごめんね…急に…」

「いや、いいんだ。お前に会えて、俺も嬉しいし…」


*艶が~る幕末志士伝* ~もう一つの艶物語~




稽古の後の筋肉痛を和らげる為に、軽めのストレッチをしながら…


彼は、にこっと微笑んだ。



「……夕方まではいられるんだろ?」

「…うん」

「なら、それまでは…」



……一緒にいよう。



この笑顔がいつも私の背中を押してくれる。


どんなに辛いことがあっても、乗り切ることが出来る。



だからこれからも、ずっと…



一緒にいてね……。





Special thanks.

Kanaはん


Sketch Book 艶絵巻


↑おもに、俊太郎様、秋斉さん、ほかに、慶喜さん、高杉さん、土方さん、沖田さんの素敵な絵を描かれていますキラキラ