<艶が~る、妄想小説>


今回は、「思惑」 土方×沖田編を書いちゃいましたキラキラ

彼らの胸の内…もう、ただの私の妄想ですし、相変わらずの駄作駄文ではありますがガクリ(黒背景用)


*慶喜×秋斉*に引き続き、今度は新撰組コンビでアオキラ





「思惑」 *沖田総司*



「今夜も月が綺麗だ……」


縁側を通りかかった彼は、ふと見上げた夜空にぽっかりと浮かんだ月を見つけ感歎の声を漏らすと、ゆっくりと腰掛け、月に愛しい人の笑顔を重ね見た。


会えなくなって、もう一月。


彼は、片膝を立てながら自分の肩をそっと抱きしめ、今までの選択は間違っていないと自問自答する中、彼女のことを想う時間だけが唯一の安らぎの時だった。


(あの人も、この月を見上げているだろうか…)


今の彼にとって、彼女の存在は癒しであると同時に受け入れがたい存在でもあり、新撰組で居続ける限り、常にこの悩みが付きまとい、情に関してはどうにも出来ないもどかしさを感じていた。



*艶が~る妄想小説* ~もう一つの艶物語~



「こんなところで何をしているんだ…」


奥からやってきた土方に声をかけられ、彼は、「月が綺麗だったので…」と答えると、土方は、夜風で乱れた前髪を梳きながら彼の隣りに腰を下ろした。


ふいに彼は、隣りで夜空を見上げたままの土方に、初めて壬生浪士組が結成された日のことを話し始めた。


「突然ですが……私達が初めて会った時のこと、覚えていますか?」
「ああ。お前は、あの頃とちっとも変わらない」
「そんなことはありませんよ…」
「剣の腕は人一倍だが、中身はガキのまんまだ」


土方は、唇を尖らせながら不貞腐れる彼に微笑すると、すぐ隣りにある彼の頭をくしゃくしゃと撫でた。



文久三年、二月二十七日。


幕府によって結成されたその日から、常に切磋琢磨してきた同志で、酸いも甘いも噛み分けてきた仲だった。


「ねぇ、土方さん…」
「なんだ…」
「土方さんでも、自分の命が惜しくなる時ってあるのですか?」
「………………」


土方は少しの間、考え込むと静かに口を開いた。


「……たまにな…」
「それは…どんな時です?」


彼の問いかけに、土方はほんの少し考え込むと、「惚れた女が恋しくなった時だ…」と、呟いた。


「惚れた女?」
「一瞬だが、そいつの顔が過ることがある。だが、それはあくまでも仮初めの情だ…」


ここでは、戦いの妨げになるからという理由で、妻子でさえ同居することは叶わない。彼らは、京の町を守る為に作られた組織であり、常に幕府の命令に従い、命を投げ出してまで新撰組の為に生きなければならないのだった。


「本当にものにしてぇなら、妻として娶ってやるくれぇの覚悟がねぇとな…」


(……覚悟……覚悟か…)


彼は、土方の言葉を反復すると同時に、自分の膝を抱え込んだ。


そしてまた、厳しい現実が彼の背中に重くのしかかる…。


「そう…ですよね…」
「そんな奴がいるのか?」


土方の問いかけに一瞬、戸惑ったが彼は月を見上げながら囁いた。


「……いますよ。いないほうがおかしいって言っていたのは、そっちじゃないですか」
「はは…そうだったな…」


また、二人の間に夜風が吹き抜ける。


土方は、乱れた髪を整えながら、「どこのどいつだ?」と、尋ねると、彼はしばらく口を噤んでいたが、やがて真剣な眼差しで答えた。


「土方さんの知っている方です。そちらの思い人は、私の知っている方ですよね?」
「……………」


お互いの胸のうちを確認し合うかのように、しばしの間沈黙が流れたが、先に口を開いたのは土方からだった。


「総司……悪いが、あいつはやれねぇ」
「……私も、あの方だけは譲れません」


彼の真剣な眼差しを受けながら、土方はふっと鼻で笑って再び彼の頭をくしゃっとすると、静かにその場を後にした。



「とうとう、宣戦布告してしまいました……」


そう呟き、また月を見上げながら愛しい人を想う。


たとえ、どうにもならないほどの悲哀が待ち受けていようと…。



月明かりに照らされたその秀麗な瞳は、白く輝いていた。





「思惑」 *土方歳三*



「ふぅ……」


長机の前で筆を構え、いつものように発句を書き始めようとして筆を止める。そして、筆を休めてはまた書き進め、溜息をついては筆を置く、その繰り返しだった。


(恋文ばかりになっている……)


発句集を読み返し、思いのほか、自分が彼女に想いを寄せていたことに改めて気がつく…。



*艶が~る妄想小説* ~もう一つの艶物語~



藍屋の揚屋へ通うようになった切っ掛けは全く別のものだったが、彼女の姿を目にした時から、彼の想いは少しずつ大きくなり、沖田と共にお座敷へ出向くようになってからは、二人の様子が気になりはじめていたのだった。


『……私も、あの方だけは譲れません』


「やはりか……」


沖田も彼女に思いを寄せていたことが分かり、彼の心境はほんの少しだけ曇っていった。



いつだったか、いつものように他の隊士達と揚屋へと足を運んだ時のこと。


見聞を広めさせたくて同伴させていた沖田が、彼女と楽しそうにしているのを目にし、二人の笑顔を見ながら複雑な想いを抱いていたのだった。



そして、彼女から酌を勧められ、ふと投げかけられた言葉が彼を悩ませ始める。


「土方さんは、好きな人とかいるんですか?」
「……聞いてどうするんだ」
「いえ、深い意味は無いのですが…」
「お前はいるのか?」
「……内緒です」


はっきりとしない答えに眉を顰めながらも、その可憐な笑顔から目が離せなくなると同時に、自分もまたはっきりと答えることが出来ないもどかしさと、その先を聞くことが出来ない現況に苛まれていた。

(…それでも今は……)


一点を見つめるその瞳は、もう今後の行方を見据えているようだった。



全ては志の為に…。


新撰組の未来の為に……。




<おわり>




~あとがき~


ひやぁ~難しいっす…こういうい書き方って苦笑

ト書き説明が苦手な私には特にそう感じられます汗


この二人が主人公ちゃんを取り合うなんて…。

どちらかというと、譲り合って欲しいなんて思ってしまう私です(笑)


いやぁ、しかし…高杉さん…書いてないなぁ。

いやだってね、他の作者様たちが素敵な高杉さんを書いてくれててね、それを読んでいると書いた気になってしまって(笑)


そして、ゴールデンウィークは、皆様いかがお過ごしでしょうか?うちは、過ぎたらどこかへ行く予定ではいます。中には、京都や四国へ行っている人も多いのでしょうね。


ああ……京都や四国めぐりしたいです…。

。・゚・(ノε`)・゚・。


そして、たくさん彼らを感じて来たいですっ♪


今回も、読んで下さってありがとうございましたハート