<艶が~る、妄想小説>
今回は、以前書いた「Tuya girl. if you want to meet me. Akinari.#1」の続きを書きました
現代版、琴の先生って設定の秋斉さんと、主人公ちゃんのその後…。
この続きは、例のごとく…アメンバー記事にて後ほど載せます
良かったら、また読んでやって下さいませ
Tuya girl. if you want to meet me. Akinari.#1
(続きものにつき、良かったらこちらからお読み下さい)
それから、いつものように稽古を終えると、広い和室にたった一人静寂の中、胸をドキドキさせながら彼が来るのを待っていた。
(……さっきの言葉を意識してしまう)
「良かった……ほな、稽古が終わったら帰らず待っていておくれやす」
正直に言うと、稽古中も彼の節目がちな視線が気になって仕方が無かった。
真横で手解きを受ける度、彼のしなやかな指が私の手に触れる度に、一人、この後のことを考え勝手に心弾ませていたのだった。
そこへすーっと襖が開き、彼が何かを持って部屋へと入ってきた。
「待たせてすんまへん…これをあんさんに渡したくて」
そう言いながら彼は私の前に正座すると、抱えていた物を前に置いた。
「この間、呉服屋で新調した着物や…」
「あ、あの時の!」
どうせなら、私も舞妓さんたちと同じように着物を着て琴を弾いてみたい…という無理な願望を叶える為に、彼に同伴をお願いをして、行きつけの呉服屋で新調していたのだった。
「すっかり忘れていました…」
「一昨日、出来上がったいう連絡をもろたさかい、早速取りに行って用意しておいたんや。今夜、○○はんに渡したくてな…」
「秋斉さん…」
そのままの状態で、彼は私に着物を差し出すと、「開けてみなはれ」と、微笑んだ。
私は、ゆっくりと左右に開き始めると、中から新調したばかりの着物がその姿を現し、藍色の生地に白や朱色、桃色、金色の花びらが鏤められた着物をそっと両掌に乗せて思わず感嘆の声を漏らす。
「綺麗……」
「…そうやな」
優しい眼差しを受け、私は思わず俯いた。
これからは、この着物を着て琴を弾くことが出来るんだ…。
(誰よりも先に、秋斉さんに見て貰いたい…。)
そんなふうに思った時だった。
ふいに彼の視線を受けて、そちらを見ると、「今、着てみるか?」と、尋ねられ一瞬、心臓が大きく飛び跳ねた。
「……えっ?」
「着物、着たこと無い言うてはったやろ?この際や、着せ方を教えてあげまひょ」
「…そうですね…お願いします…」
(……心臓が飛び出るかと思った…)
「ほな、これに着替えてきておくれやす」
長襦袢を受け取ると、私は部屋を出て隣の部屋へ行き下着だけになると、長襦袢を簡単に羽織ってまた彼の元へと急いだ。
「お待たせしました…」
彼はまた私に微笑むと、早速、着物の着付けを一から丁寧に教えてくれた。
「長襦袢の次は、着物を羽織り…衿先を持ち、左右を前正面で合わせる。衿は、長襦袢より少し高くして衿の背の中心を一緒にクリップでとめます…」
彼の手や腕が私の身体に触れる度に、胸の鼓動が徐々に激しくなる…。
(…なんか、緊張してきた……)
「それから左右の衿先を持ち、着物を脇の下まで持ちあげ、体に添わせながら裾を床すれすれの長さまで平行に下ろす。そして、上前の裾を右足の脇に合わせ、着物を着たときの丈と幅を決めるんや…」
その後も、一つ一つ丁寧に教えて貰いながら、約30分かけてやっと着物を着ることが出来たのだった。
「うわぁ…」
私は、鏡に映る自分の着物姿に思わず感歎の声をあげた。
(これ、私なんだ…)
「よう、似合うてはる……」
彼は、背後から鏡越しに私を見つめながら、しなやかな指で私の長い髪を束ね右肩に避けると、私の肩にそっと手を置いた。
「……あ、秋斉…さん…」
「綺麗や…」
鏡越しに私をなめるように見つめる彼の瞳は細められ、熱い視線と目が合う…。
「…そう言って貰えると嬉しいです」
すぐ隣りで彼の温もりを感じながら思わず俯くと、突然、背後からそっと抱きしめられた。
「えっ……」
「…………」
抱きしめたまま、彼はまた鏡越しの私をじっと見つめた。その妖艶な眼差しを受け、まるで金縛りにでもあったかのように動けなくなる…。
そして、胸元にあった彼の手が、私の髪に触れる度に肩を震わせてしまう。
(……秋斉さん…)
改めて二人きりだと意識した途端、私の心臓は大きく跳ね始め、それと同時に彼の瞳が大きく揺れた。
「……すまない…」
「…えっ……」
私の傍から離れて行こうとする彼を引き止めたくて、思わず彼の浴衣の裾を掴んだ。
「○○はん……」
「あの…私…」
私は彼の袖を握り締めたまま、ただ俯くことしか出来なかった…。
彼と初めて会った時から魅せられていたこと、そして、彼の奏でる琴の音色に何度となく癒されたこと…。優しい眼差しと、穏やかな声に包まれた時、例えようのない幸福感でいっぱいになったこと…。
沢山の彼への想いが少しずつ溢れ出すと共に、勇気を振り絞って想いを告げる…。
「…私、秋斉さんのことが…す…」
その瞬間、彼の柔らかい唇にそっと塞がれた。
甘い口付け…。
突然の出来事に思わず、両手を彼の胸にあて小さな抵抗をする。
「……んっ…」
彼は、そっと唇を離すと、泣き笑いのような顔で私を見つめ言った。
「一目ぼれ…言うやつや…」
「秋…斉さん……」
「今夜こそは、それを伝えたくてな…」
思いがけない彼からの告白に、涙がふわっと溢れ出す。
ずっと、ずっと聞きたかった愛の言葉…。
「泣き顔もかいらしいどすな…」
まだ夢でも見ているようなふわふわとした感覚に、ただ呆然としていたその時だった…今度は強く抱きしめられ、彼の息がまた耳元を擽った。
「ずっと、こうしたかった…」
その切なげな想いを受け止めると、私は彼の胸に頬を寄せる。
彼の綺麗な手が私の髪を撫で、やがて、しなやかな指が大きく開いたうなじに触れた…。
<# 1-3 つづく>
~あとがき~
秋斉さんも、大好きなので…あれこれ考えてしまった
じつは、秋斉さんは寸止めがいい!!
と、いう感じが大きい為…。
どうしても、純愛になりがちです(⊃∀`* )
最初の設定が、慶喜さんと同じで現代版の琴の先生なので…。
艶シーンは苦労しました
でも、秋斉さんのイメージは、花エンドの最後のスチルって感じなので
どっちにしても難しく感じるのですけど
例のごとく、この続きの艶シーンは…後ほど、アメンバー記事にて
今回も、読んでくださってありがとうございました!