<艶が~る、妄想小説>
Tuya girl. if you want to meet me. Akinari. #1
今回は、もしも秋斉さんが、習い事の先生だったら
一番最初に習い事の先生とかは?という、リクを受けて書いてみました
今回は、琴の先生って設定です
秋斉さんのイメージが崩れていなければいいのですが
秋斉さんとの1シーン…。良かったら読んでやってくださいませ
それから、慶喜さん編のコメに素敵な設定を書いてくださって!嬉しかったです
これからそれらを参考にしつつ、徐々に書いて行きたいと思ってます
コメント下さった方、本当にありがとうございました
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もしも、秋斉さんが琴の先生だったら…。
「……あ、早く来すぎちゃった」
握り締めていた携帯を見ながら呟いた。
今日は、琴の稽古の日。琴も上達してきたけれど、なにより…秋斉さんに会えるのが嬉しくて、思わず早く来すぎてしまったのだった。
「秋斉さんと出会ってからもう、四ヶ月が過ぎたのか…」
彼と初めて出会ったのは、私が京都に引っ越してきて約一ヶ月が経ったある日の午後だった。
京都の町を散策しながら、とある小道を歩いていた時のこと。ふと琴の綺麗な音色に誘われて、ある一軒の家の前で足を止めた。
(綺麗な音色だなぁ…)
いかにも京都らしい音色に、しばらくの間目を閉じて聴き入っていた。
すると突然、背後から声をかけられ私はびっくりして振り返ると、そこには藍色の着物を纏った端整な顔立ちの青年が立っていた。
「新しい生徒さんどすか?」
「えっ?あ、あの…いや、私はただ琴の音色に惹かれて…」
「ほお、琴に興味が?」
私が俯いていると、彼は中へ入らないかと促してきた。
「良かったら、わてが教えますさかい…いかがどす?」
「ええっ?」
「わては、ここで舞妓はん達に琴を教えてます。怪しい者やおまへんえ」
「……じゃ、少しだけお邪魔します」
何かを秘めているようなそんな透き通った瞳に見つめられ、私は促されるまま部屋へと案内されたのだった。
それから、舞妓さんたちとは違う部屋へと通されると、ここで待つように言われ私はその場に座り込んだ。
(ふう~。成り行きとはいえ…図々しくもお邪魔しちゃった…。初めて訪れた部屋だというのに、どこか懐かしいような感覚。和の部屋には、そんな魅力があるものだなぁ……)
そんなふうに思っていると、彼が一台の琴を抱えてやってきた。
「うわぁ…本物の琴を見るのは初めて…」
「これは、二十五絃箏という琴どす」
琴をそっと置くと、彼はその前に正座し、琴について話し始めた。
琴にもいろいろ種類があるらしく、目の前にあるのは、野坂操寿という方が平成三年に開発したものだと教えてくれた。
「中国大陸伝来の「コト」は、それより前の弥生時代に生み出されたとされる、日本古来の「こと」と融合し、音楽を愛する人々の手を経ながら次第に洗練されていきました」
「そんなに古い時代から、琴ってあったんですね…」
私の問いかけに、彼は一つ頷くとまた静かに語りだす。
「幾多の時代をくぐり抜け、奏でられてきたんは、多くの人々を魅了するものがあったからや。それはいつの時代にも人々の心を癒し、静かに勇気づけてきた「調べ」にあります。いろいろな物に囲まれ、慌しい日々を送るわてらにとって、悠久の音色に耳を済ませることで心癒される…」
節目がちに語る彼は、とても素敵に見えた。私は、いつの間にか琴に魅せられながらも、彼のその色っぽい目に惹きつけられていく…。
「奏でてみまひょか?」
微笑みながら言う彼に、私はペコリと軽く頭を下げてお願いした。それから、彼は絃の調整などを済ませ、ゆっくりと弾き始める。
(…うわ、すごい……)
私は、言葉にならないほどの何かを感じ始めた。
それは喜びのような、悲しみのような…。
そして、なぜか大好きな人達への想いが心の中から一遍に飛び出してきた。
その懐かしい何かを感じ、涙が出そうになるのを堪えながら、私は彼の姿を見つめていた。
「いかがどした?本物の琴の音色は…」
「あ、すごく…よかったです」
笑顔で答える私を見ながら、彼は半歩横へずれると私に、弾いてみないかと尋ねてきた。私は、少し躊躇いながらも今まで彼が座っていた場所へ正座する。
「まずは、あんさんに合う爪をこの中から選んでおくれやす」
「え…爪を?」
「その人に合った爪でないと、いい音色は奏でられへんさかい」
彼に言われるままに、私は自分に合った爪を選ぶとさっきの彼と同じように構える。すると、彼はすっと私の背後に跪くと、まるで二人羽織りのように私の両腕に触れてきた。
「……えっ…」
「構えはこれでええよ」
「あ、そ…そうですか…」
「最初は、自由に思いのまま弾いてみなはれ」
背中ごしに彼の温もりを感じつつ、私は緊張しながらも一つ二つと音を鳴らし始める。
(……面白いかも…でも、初めて会った人なのに…こんなに近くに寄られても嫌っじゃない…なんでだろう?)
彼が耳元で囁く度に、私は次第に胸を高鳴らせて行った。
その日から、私は舞妓さんたちと一緒に週に1回だけ稽古を受けるようになった。琴の魅力に魅せられたから、というのもあるのだけれど、秋斉さんに会えるから…というのが一番の理由だった。
あの日から、徐々に彼に対する想いは大きくなり…この日が来るのを心待ちにするようになったのだ。
「○○はん」
声がして振り向くと、彼がゆっくりとこちらに近づいてきていた。
「あ、秋斉さん…早く来すぎちゃいました」
「わてより早う来とったとは…」
彼は微笑むと、そっと私に近づき耳元で囁いた。
「……今夜は遅くまでいられますか?」
「え、あ…はい」
「良かった……ほな、稽古が終わったら帰らず待っていておくれやす」
「……えっ?」
照れ笑いをしながらそう言うと、彼は先に屋内へ入って行った。
(……稽古が終わったら…何が待っているのだろう…)
そんなことを思いつつ、私はゆっくりと彼の背中を追いかけた。
この後、起こるであろう何かを期待しながら……。
<# 1-2へつづく>
~あとがき~
設定は現代ですが、やっぱりお師匠様って感じなら和な感じがいいかなって。
秋斉さんが習い事の先生だとすると、ある程度の知識があるかと思い、琴のことも勉強してみました
でも…この続きが、本当は一番書きたいところ(笑)
この後も、いつか書きたいかもです( *´艸`)
きっと、俊太郎様だったら…もっと大胆だったんだろうな…なんて思いつつ書いてました(笑)
皆様から、それぞれの旦那様たちとのいろんな場面を教えてもらって、私のほうこそいろんな想像が膨らんできて(笑)楽しかったです次は、誰とのどんな1シーンを書こうか迷っています
秋斉さん編なら、何かのエンド後の祝言シーンなんかも良いという意見をいただき秋斉さんの部屋で初夜なんていうのもいいな~なんて思ったり(笑)
今回も、読んでくださってありがとうございました