<艶が~る、妄想小説>
古高俊太郎編#2
続き、書いてみました難しかったよぉぉ
やっぱ、どうしても艶シーンが難しいちや
色気0の私が、いろいろ考えて頑張りました
また良かったら読んで下さいませ
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「お菓子のお礼をせなあきまへんな…」
「お礼だなんて……」
「わてに出来ることなら、何でもしまひょ」
「……それなら…」
私はそう言いかけて、思わず口を閉じた。
(…私ってば、いったい何を言おうとしたんだろう…)
何でもすると言われ、私は普段口に出来ないような言葉を言いそうになってしまい、戸惑う私を見て彼は、「優しい口付けにしまひょか?それとも……」と、微笑む。
じっと見つめられたまま、私は彼の言葉に思わず視線を逸らす。その様子を見て、彼はくすっと笑うと、「冗談どす」と、呟いた。
「天気もええし、桜でも見に行きまへんか?」
「桜…ですか?」
「ああ、あの桜並木ならもう咲いとるかもしれへん」
私は一つ返事をすると、彼に連れられるままお屋敷を後にした。
それから、人里離れた山道を歩いていると、沢山の桜並木が見えて来た。
「ここの桜なら、もう咲いていると思い来てみましたが…やはり、綺麗に花を咲かせてました」
彼は、目を細めながら桜の木を見上げて呟いた。
時々、春一番のような風が吹き荒れる度に、花びらがチラチラと舞い踊る。
「綺麗ですね!でも不思議……町の桜はまだあまり咲いていないのに、ここはもうこんなに咲いているなんて」
「それは、多分…あの悲恋桜のせいかもしれまへん」
彼の視線を辿ってみると、他の桜の木とは別の場所に一本だけポツンと立っている桜の木が見えた。
「……悲恋桜?」
「あの桜には、ある言い伝えがあるそうなんどす」
「…えっ」
「お話しまひょか?悲恋桜の切ない物語を…」
彼は、そっと私の肩を優しく抱きしめると静かに語りだした。
「今から数十年前の話どすが…悲願の恋を煩った二人の若い男女が、周囲の反対を押し切って逢瀬を繰り返した末、あの桜の木の下で情死しはって……」
「……そんな」
私は思わず手を胸元に持ってきて、唖然とした。
そんな私を見て、彼はもう片方の手で私の手を握り締める。
「せやけど、愛し合いながらも報われなかった二人の想いに…桜も情をかけたのでしょう。春になり花が咲き始める頃になると、その二人の死を悼むかのように見事な花を咲かせるのだとか…それからというもの、あの桜の木は悲恋桜と呼ばれるようになり、人々から恐れられておりました…」
節目がちに呟く彼の目は、憂いを宿しているように見えた。私は、彼の手の上にそっと自分の手を乗せると、彼はまた切なげに口を開く。
「…たとえ短い生涯やったとしても心底惚れた者同士、同じ時代に生まれ同じ時を過ごし、最期を共に出来たんや…。そして、死してなお…永久に離れることは無い。ほんに、こない幸せな事はおまへん」
「枡屋さん…」
私の不安げな表情を受け、彼はふっと笑って私の顔を覗きこむ。
「……なんや、怖がらせてしもうたようどすな…」
「いえ、そんなことは無いですけど…」
「ただ、恐ろしい話ばかりやおまへんえ」
そう言って、私に微笑みかけると、彼はまた悲恋桜について話してくれた。
それから数年後、ある男女が悲恋桜の下で想いを告げ、恋を成就させたこともあったのだそうだ。無念の死を遂げた自分達と同じように、道連れにするというような怨念話はよく聞いたことがあるが…訪れた恋人達を羨んだり妬むようなことはせず、まるで見守っていてあげたかのような素敵なお話に、私は感慨深いものを感じた。
「あの…私も、もっと近くで悲恋桜を見てみたいです」
「……怖くおまへんか?」
「あなたと一緒なら…」
俯き加減に呟くと、彼は私の手を引いて悲恋桜の下へゆっくりと歩き出す。
「わぁ……」
木に近づくにつれ、私は感嘆の声を漏らした。悲恋桜の花は、今までに見たことのないほど綺麗で、優しげな感じがした。そして、桜の木の下に辿り着くと一緒に木に触れ、落ちてくる花びらを手で受け止める。
「こんなに綺麗な花びらは、今まで見たことがありません…」
「やはり…この桜だけは特別のようや」
悲恋桜の下は何故かとても落ち着けて、ここだけ別世界にでもいるかのような感覚に囚われた。
「ここへ来るのは久しぶりどしたが、今年の悲恋桜はほんまに綺麗どす…」
「あの、枡屋さん……いつまでも、ずっと一緒に居て下さいね」
私は彼の手を改めてぎゅっと握り締めると、彼はいつもの笑顔で私に囁く。
「……わてはいつも、あんさんだけを想うてます」
「枡屋さん……」
「こないまでして…心を掻き乱された女子は今までおまへんどした。そんなあんさんの想いを受け、わては幸せ者どす…」
「その言葉…信じてもいいですか?」
私の真剣な眼差しに、彼は薄っすらと笑みをこぼしながら、「……ああ」と、呟いた。彼の瞳は、まだ悲しげだったけれど、彼の言葉を信じて心の中の疑問を少しずつ振り払う。
彼が何者でも構わない…。
ただ、彼を愛し…彼に愛されたいだけ…。
それが私の本当の気持ちであり、たった一つの願いだ。
「あ、あの……今ここで、お菓子のお返しを下さい」
精一杯の背伸びをし、思いきってそう口にすると、彼は真剣な眼差しを私に向けながら、「……分かりました」と、呟いた。
彼はそっと顔を近づけ、私に優しい口付けをくれた。
その甘くて切ない口付けは、私から理性を奪っていく…。
そして、彼はゆっくりと距離を置くと、目を細めて呟いた。
「この続きもしまひょか?」
「……えっ…」
「あんさんが望むのなら…」
切なげに呟かれ、私は一瞬、身体を竦めた。
この手を離さないで欲しい…。
ずっと彼の腕の中に居たい…。
頭の中で、いろいろな想いが交差する。
「……あほやな…あんさんに触れていると歯止めが利かなくなる…」
節目がちに囁かれ、私は胸の鼓動を抑えながらも素直な気持ちを伝えた。
「私…こんなふうに人を好きになったことが無くて…」
「……春香はん」
「このまま、時間の許す限り…一緒にいてください…お願いします」
言いながら、私の頬を涙がつたう。
いつの間にか、自然と涙がこぼれ落ち、目の前が霞み始めた。
彼は、その涙を手で拭いながら、「悲恋桜のせいやろうか…」と、呟いた。私はまた悲恋桜を見上げると、隙間から覗く太陽の日差しを受けて、真っ白な目映ゆい光が目に飛び込んできた。
「これだけは、約束します……たとえこの命尽きようとも、あんさんだけを愛し続けると…」
泣き笑いのような彼の表情に、私は微笑み返した。
そして、悲恋桜の下……。
お互いの温もりを感じながら、いつまでも佇んでいた。
今この瞬間…大好きな人と一緒に居られることの幸せを噛締めながら…。
<おわり>
~あとがき~
いやぁ~(。´Д⊂)
書いてて辛かったよぉぉ。・゚・(ノε`)・゚・。
でも、俊太郎様とヒロインの切なさを書いてみたくてチャレンジしてみました
何度も書き直して
少しでも、俊太郎様を近くに感じていただければって思いで書いてましたが…。
キャラ崩壊しすぎてたらすみません
次は、龍馬さん書いて、とりあえずはバレンタインデー編が終わるぅ
ちなみに、ホワイトバレンタインデーは、秋斉さんの他に、慶喜さんと、翔太くん出ました
ゆっくり読みたいと思います
龍馬さんは出ず……(。´Д⊂)