<艶が~る、妄想小説>


今回は、慶喜さんとお誕生日をお祝い編を書きましたアオキラ

慶喜さんと秋斉さんとで、どちらが好きなのかアンケートみたいにお尋ねしましたが、秋斉さんが少しだけ優勢で、先に書かせていただきましたキャッ

何となく、慶喜さんとどこかで会うってなると、料亭とかになりがちなんですが…354354

今回は、ちいとばかし無理な設定ながらも違う趣向でいきましたウフフ

慶喜さんのイメージが壊れていなければ良いのですが泣

今回は、主人公の名前の部分を○○と、書かせていただいてますキラキラ

良かったら、読んで下さいませニコ


↓初めての方は、こちらからどうぞすまいる

~どちらがお好みどすか?~*慶喜or秋斉編*



*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*



「私は……あの…」
「もうええよ、○○はん。その先は言わんでもええ」


秋斉さんは微笑みながら、私を見つめて言った。すぐ傍にいた慶喜さんは少し不満そうに秋斉さんを見ると、ふぅ~と、ため息をつく。


「俺…と、言って欲しかったけど…」
「今、ここで無理に聞く必要も無いやろ。○○はんが言いたくなったら言えばええことや」


秋斉さんの言葉に、私は内心ホッとした。
秋斉さんの手前、ここで慶喜さんを選ぶことは出来なかったから…。残念そうな顔をして煙管をくわえる慶喜さんを横目に、私は小さく呟く。


「すみません…もう少しだけ考えさせていただけますか?」


そう言うと、二人は私を見ていつもの微笑みを浮かべた。


「誕生日は五日後だから、なるべく早めに教えてくれ」
「そやな……お祝い品も用意せなあかんし」


二人の優しい言葉に、胸をドキドキさせながら私も微笑んだ。
今、こうして二人といるだけでも嬉しいのに、私の誕生日にお祝いして貰えるなんて…。

それから私達は、豪華な料理に舌鼓を打ちながら楽しい時間を過ごしたのだった。



そして、次の日。


私は、以前から想いを寄せていた慶喜さんにお祝いして貰いたいと思い、秋斉さんの元へと急いだ。中へ入ると、秋斉さんは快く私を迎え入れてくれた。


「おはようさん、どないしはったん?」
「あの……」


私が言いよどんでいると、彼は手招きをして座るように促した。私は彼の前に座ると、思いきって打ち明ける。


「あの、私……たくさん考えたんですけど…」
「……慶喜はんにお祝いして貰いたい…言うんでっしゃろ?」
「え……どうして…」
「あんさんの、慶喜はんを見る目は…恋した女子の目やったさかい」


彼は微笑みながら言うと、傍にあったお茶をすする。私は見事に言い当てられて、思わず頬を染めながらうろたえた。


「秋斉さんには何でもお見通しなんですね…」
「そうや、あんさんのことに関してはな。ほんの少しやけど、わてを選んでくれはると期待もしてましたが…こればかりは仕様が無いな」

「……秋斉さん…」


彼はまたいつもの笑顔で、当日まで楽しみにしているように私に言うと、早速慶喜さんに書状を書いてくれた。それから私は、彼に挨拶をして部屋を後にした。


「……わても不器用な男やな」


彼がため息をつきながらポツリと呟いたことなど、知る由もなかった。



そして、誕生日当日。


私の心を表すかのようなお天気に、朝から胸が高鳴る。今日は、待ちに待った慶喜さんと過ごせる日。


(どんな1日になるのかなぁ…)


私は、期待に胸を膨らませた。
すると、そこへ大好きな人の私を呼ぶ声が聞こえた。


「○○、迎えにきたよ」


声と共に慶喜さんが襖を開けて私の部屋に入ってきた。そのいつもの笑顔に、私は早速胸がドキドキし始める。


「お、おはようございます!慶喜さん」
「おはよう、○○。準備は出来ているかな?」
「はい、今日は楽しみにしていました」
「嬉しいことを言ってくれるね」


それから、私達は秋斉さんに出かけることを伝えると置屋を後にした。しばらく慶喜さんについていくと、人里離れた山道に辿り着く。そこには、一頭の馬とそのすぐ傍に一人の男性が手綱をもちながら佇んでいた。


「ご苦労だったな」
「お待ちしておりました」


慶喜さんは男性から羽織を受け取ると、私の肩にかけてくれた。


「今日は晴れてるけど、冷えるからね。俺のだから大きいけれど…」
「あ、ありがとうございます」


(これ、慶喜さんの羽織なんだ…嬉しいなぁ…)


そして、その男性に手綱を持たせたまま彼は馬に跨ると、私に手を差し伸べた。


「さ、○○も乗って」
「え……でも、私…馬に乗るのは初めてで…」
「大丈夫、この子は俺がいっぱい愛撫してきたからね。落とされることは無い」


戸惑う私を見下ろしながら、彼はまた笑顔で手を差し伸べる。私は観念し、彼の手を握りながらなんとか横向きに乗ると、すぐに手綱を握った。


すると、背後から手綱を握っていないほうの手で、胸元をしっかりと押さえられる。


(……え…あ…どうしよう?)


それを確認した男性はもう一つの手綱を外すと、慶喜さんに挨拶をしてその場を去って行った。


「寒くないかい?」
「はい、大丈夫です」
「しかし、役得ってやつかな……ずっとお前を独り占め出来るんだから」


彼は私の肩ごしでくすくすと笑った。

しょうがないとはいえ、私の胸元にある彼の手をどうしても意識してしまう…。


「それじゃ、ゆっくり行くよ」


そう言うと、彼は馬の首を軽く叩いて愛撫し、鐙(あぶみ)に乗せた足を軽く左右に動かすと馬を歩かせ始めた。


「あ……」
「怖い?」
「……少しだけ…」
「手綱を放さないようにね」


彼の掴む手綱を、私も必死に握った。


(近い……近すぎるぅ…それに、私を支える慶喜さんの手が…)


すぐ後ろで身体をピッタリとつける形になり、彼の息遣いや温もりを感じる度に私はよりいっそう緊張していった。



*艶が~る妄想小説* ~もう一つの艶物語~


しばらく行くと、回りは緑に囲まれ始める。

森林の爽やかな香り、そして、野鳥たちの囀(さえずる)声、冷たいけれど、そよぐ風がとても心地良い。


「たまには、自然に触れるのもいいものだろう?」
「はい、馬はまだ怖いけど…この空気が癒されますね」
「なんなら、俺にしがみついててもいいんだよ」
「……た、手綱は放せません…」
「もう少し慣れないと無理か…」


彼は少し苦笑しながら言うと、また鐙を動かしながら馬に声をかける。すると、馬は少しだけ早足になった。今までより揺れが大きくなって、私は思わず声を上げる。


「うわっ……」
「少し急ぐよ」


それからまたしばらく馬を走らせていると、山の頂にたどり着いた。


「うわぁ……」


馬に乗ったまま遠く離れた京の町を見下ろすと、感嘆の声を上げた。こんな素晴らしい景色は久しぶりに見たから…。すると彼は、そんな私の肩ごしに顔を近づけ、甘く囁いた。


「喜んで貰えたかな?」
「はい、ここからの眺めは本当に素敵です」
「○○の笑顔が見られて俺も嬉しいよ」


目の前にある彼の瞳に、私は釘付けになった。


(……め、目が放せない…)


彼は私の胸元を抱いていた手をゆっくりと動かし、髪に優しく触れた。私は、思いきって手綱を放すと、彼の胸元にしがみつき、広い胸に頬を寄せる。


「この瞬間を待っていたよ。これをやって貰いたくて馬に乗ることにしたんだ」


悪戯っぽく話す彼に、私の胸はまたドキドキし始める。そして、彼はまた私を見て優しく囁いた。


「あの日、じつは…秋斉と俺のどちらを選ぶかお前に聞いた時、秋斉を選んだらどうしようかと思っていたんだ」
「慶喜さん…」
「でも、良かった…○○が俺を選んでくれて」


そんなふうに思ってくれていたなんて…。
いつもストレートに思いを口にする慶喜さんが、私は大好きだ。私がこの時代にタイムスリップしたばかりの頃も、彼がいなければどうなっていたか…。


「慶喜さん、本当にありがとうございます」


私は改めて御礼が言いたくなって、彼にしがみつきながらも素直に伝えた。


「他にも連れて行ってあげたい場所があるんだ」
「え?」
「また馬を走らせるからね、しっかりと掴まってて」
「あ、はい!」


私がまた手綱を握ろうとした瞬間、彼は「このまま俺にしがみついたままでもいいよ」と、言ったけれど、私が手綱をしっかりと握り締めると、「走る時は仕様が無いか…」と、肩を落としながら呟いた。


そして、彼はまた馬に声をかけて来た道を戻り始めた。


下山しながらまた違う道に出ると遠くにポツンと一軒の大きな家が見えてきた。


その家に辿り着くと、彼は先に馬を降り、次に降りようとする私を優しく受け止めてくれた。そして、彼は馬の傍までいくと、「お前もありがとうな」と、優しく愛撫しながら語りかけていた。


(……優しいなぁ…慶喜さん)


私が慶喜さんに見とれていると、家の中から初老の男性が現れた。


「慶喜公、久しぶりですな」
「ああ、今日はよろしく頼むよ。この娘は○○と言って、俺の大切な人だから」
「承知致しました」


男性は会沢正志斎と名のり、お辞儀をした。私もすぐにお辞儀をすると、丁寧に挨拶をする。


「○○と申します。こちらこそ、よろしくお願いします」


それから、玄関先で数人の女中さんらしき人たちに迎えられた。そのうちの一人がすっくと立ち上がり、私の羽織っていた着物を受け取ると、部屋へと案内してくれた。


「うわぁ……この間の料亭も素敵でしたけど、この部屋も素敵ですね」
「今日は、邪魔者も居ないしね」


彼はテーブルの傍にあぐらをかくと、こちらを見て二ッと笑った。この無邪気な笑顔に、私は弱い。この笑顔で見つめられると、何でも「はい」と、答えてしまいそうになるくらい。


そんな彼を横目に、私はよく手入れされた庭を見てまた声を上げる。



*艶が~る妄想小説* ~もう一つの艶物語~


「綺麗なお庭……あの、ここはどなたの家なのですか?」
「……あ、さっきの会沢の家だよ」


この家は先ほどの会沢正志斎さんの家らしく、慶喜さんのお父様の知り合いで、彼も小さい頃からお世話になっていたらしい。


「少しだけれど、ここで幼少時代を過ごしたことがあるんだ」

「そうだったんですか」

「俺のちょっとした思い出の場所に、○○を招待したくてここを選らんだんだけど正解だったね」


にこにこしながら私の傍に来ると、彼は私の肩を優しく抱き寄せる。慶喜さんが子供の頃、ここで過ごしたのかと思うだけで、顔がほころんだ。どんな子供だったのだろうかと想像したりして…。


「慶喜さんって、どんな子供だったんですか?」

「……お前は笑うかもしれないが、真面目な性格だったよ。父はとても厳しい人だったから、5歳から江戸の弘道館という学び舎で教育されたりしてね」

「5歳の頃から…」


現代だと、まだ幼稚園か保育園に通っている頃だ。この時代の学び舎は、年齢は関係無く子供から大人まで同じ場所で勉強していたらしい。学ぶことに、大人も子供も無いということなのだろうか…。


「それと、肝心な贈り物だけど……俺なりにいろいろ渡したいものを考えた結果……」


そういいながら、彼はすぐ側にある鏡台の引き出しから、朱色の櫛(くし)を取り出した。


「これは、母上の愛用していた櫛なんだが…これがいいかと思ってね」
「お母様の?」

「ああ、好きな人が出来たら…いつか渡したいと思っていた…」
「……えっ?」


その言葉に、私は今までにないくらい心臓がドキドキして思わず胸を押さえる。


「喜んで貰えるか不安だったが…」
「逆に、こんな大切な物……いただいて良いんですか?」
「○○だから、渡したいんだ」
「………慶喜さん」


また無邪気に笑う彼に、私は思わず抱きついた。


「ありがとうございます!こんな素敵なプレゼント…初めてです…」
「良かった……気に入って貰えて」
「ずっと、ずっと大切にします」


すると、彼はその大切な櫛を使って私の乱れた髪を結い直してくれた。


「……綺麗だ」

「本当に嬉しいです…」

「それと……」


言いながら、彼は同じように鏡台の上に置いてあった小さなビンを手に取ると、私に手渡した。


「これは、今、江戸で人気の”江戸の水”という化粧水だよ」

「初めて見ました…」

「……今、使ってみるかい?」


言いながら、彼は私からビンを奪うと、その中に入っている水滴をもう片方の手にほんの少し垂らした。そして、ビンを置き両手で少し馴染ませ、私の手に優しく触れる。一瞬、ヒヤッとして思わず肩を震わせた。


「じつは、これもやってみたかったんだ」

「なんだか、慶喜さんのほうが楽しそうですね」


悪戯っぽい笑顔に、私はくすくすと笑った。


「○○、誕生日…だったかな……おめでとう」
「……ありがとうございます」


次、またいつ会えるか分からないから…


時間の許す限り…


私はいつまでも彼に寄り添っていた。


広くて温かい胸の中で……。





<終わり>



お粗末さまでした。・゚・(*ノД`*)・゚・。


<あとがき>
慶喜さんを書くとき、何故か純愛になるんだよなぁ涙

最近のイベでの慶喜さん……大胆だから(⊃∀`* )


ちなみに、江戸の女性達は本当にヘチマ水などでスキンケアをしていたそうです。

そして、慶喜さんは5歳の頃から弘道館で英才教育を受けていたそうですよ。

本物は結構…生真面目だったらしい(笑)



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